37-輝く日々
トントントン。
ノック音で目覚めた麗叶は、跳ね起きて時計を見た。
9時半。
「うそっ!」
あと30分で出発。
トントントン
焦った麗叶は、無意識のうちに椅子に掛けてあった芯のシャツを羽織り、扉へと向かおうとした。
「はぁーい!!」
「ちょっ…!!」
芯はパッと起き上がり、追いかけて麗叶を後ろから抱きしめる。
「その恰好で開ける気かよ!」
耳元で叱る。
「…あ…」
下を向いて、伸びるはずもないシャツの裾を下げようとした。
トン…トトトン
仕方なく扉の近くまで行き、大声で返事をする。
「はい!」
「起きてんの?」
ルゥの声。
「…たり とも」
「え?」
「行ける?」
「ん。ありがと!!すぐ行くね!」
トトトンとノックで返事をして、ルゥは階段を下りていった。
振り向くと、背を向けた芯がベルトを締めていた。
差し込む朝の淡い光が、芯の美しいシルエットを浮かび上がらせている。
背中の筋肉がしなやかに動いていて…
昨夜触れた、広い背中の感触がよみがえる。
ブワッと顔に熱が集まり、耳まで赤く染まっていく。
(私…朝からなに考えてるの!し、しっかりしなきゃ)
芯に背を向けると、ふぅと息を整えた。
芯が振り返った。
麗叶が、自分の洋服を着て俯いている。
素肌に羽織った白いデザインシャツがうっすら肌色にそまり、下から長い足がなまめかしく覗いている。
昨夜、あの足に何度も顔をうずめた。
(麗叶ぁ~、朝からその格好はヤバイって!)
気持ちを抑えながら麗叶に近づき、華奢な肩に両手をかけながら耳に口をつけた。
「麗叶、俺の服、返して」
麗叶は顔を赤らめ
「あ! そか。ごめん!!」
とバスルームへ走って向かう。
(ったく、どっちが年上だか分かんねぇよ)
愛おしそうに目を細めた芯の視線の先に
整理された机が映る。
2、3枚の洋楽CD。
「手帳といい、CDといい……
あいつ、結構アナログだよな」
苦笑しつつ、そのうちの一枚を手に取る。
懐かしい曲……
(よっぽど好きなんだな……)
鼻歌を歌いながら、麗叶の帰りを待っている。
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(ここは?)
ルゥは靄の中で周りを見渡し
(これ、夢だ)
いつもの夢だと気が付いた。
『た、助けて!!』
やっぱり…。あの日の、、、
『キャッ、イッタ~!! ぶつかっといて無視かよ?』
『ね、なんか付いてない?!』
『え…これ…血……?!!』
『ちょっ、ヤバイ、ヤバイって! こんなんに関わっちゃ。行こっ!!』
『お、お願い。。誰か助けて…』
『うわ、見てみろよ。あの女、すげー顔』
『殴られまくりじゃね?』
『お願い…誰か…』
「こっち!!」
『ぇ?』
「早くこっち来いよ! 早く! 走れ!!」
『ねぇねぇ、あれってSeven C'sの』
「走れ、センセイ!!」
分かっているのに、俺はまた、センセイと一緒に走ってしまう…。




