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瞳孔を冷やして。  作者: 橘樹 杏果


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34-回りだした歯車


気が動転して、、、

魔が差した、、、、

一夜の間違い、、、、

そんな言い訳はもう通用しない。

他人にも。

自分にも。

朝日の中で、二人はもう一度愛し合ったのだから。

麗叶は抑えられない自分に戸惑っていた。


「ぅわっ!冷てっ!」

芯が濡れた洋服に手を通している。

「あ、じゃ後で」

低く言って立ち上がった芯が、ちょっとだけ考えて振り返った。

そっと顔を近づけ、麗叶の唇を、優しく噛んだ。


バタンと扉が閉められ、

…ッチカッチカッチ…

一人になった麗叶の耳に入る、現実。

――カチッ、カチッ、カチッ……

目覚ましの秒針が進んでいる。


(30分で、仕事の顔に戻らなきゃ…)

麗叶は、するりとベッドから降り立った。


ーーーーーーーーーーーー


「はぁーーーい! Seven C'sさん、カメリハ終了でぇ~す」

「お疲れ様でーーす!」

「お疲れ様です!」

「はぁーい!。んじゃ、次ぃ~。ポポロさん、入られまぁーす。よろしくお願いしまぁす!」


MUSIC AREAの本番前。

楽屋へ戻る彼らを見送りながら、スタジオの隅で麗叶が山内と打合せをしていると

「なんだか今日の芹沢芯、いいねー! フェロモン出まくりで、男の俺でもドキドキしちゃったよ」

笑いながらカメラマンが話しかけてきた。


その日の生放送後、同様の反響が多数寄せられた。

ファンのコメントもネット上で湧いたが、それ以上に業界からの問合せが殺到した。

「芹沢芯さんの今後のスケジュール、どうなってますか? 是非お願いしたいお話があるんですが」


山内は嬉しい悲鳴をあげている。


触発されて他の3人の個性も輝きを増す。

Seven C'sの勢いが、一気に加速する。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「ねぇ、ルゥ。相談があるの」

「何?」

「アジアワールドツアーで着る衣装なんだけど、デザインとかコーディネートとかの打合せ、参加してみない?」

「みる!!!!」

ルゥの顔がパッと明るく輝いた。

麗叶までつられて笑顔になる。


いつもは一人、のんびりと楽屋を出るルゥが、先を歩く芯の隣まで走って行った。

「どうした? ルゥ、良いことあった?」

「うん。あった」


芯も、ルゥの笑顔につられて微笑む。

「良かったな」

「……。理由、聞けよ」

「聞いて欲しい?」

「聞かれても言わない」

「お前、うぜぇ~」


大笑いしながらルゥは振り返って、麗叶を見る。

他人なのに、自分をちゃんと見ててくれている。

それが、たまらなく嬉しい。


(俺がツアーで…デザイン!!)

ワクワクする!

初めて経験する高揚感に、ルゥは胸の奥が熱くなるのを感じた。




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