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瞳孔を冷やして。  作者: 橘樹 杏果


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23/58

23-ご褒美だとしても…

「…芯?」

「ん。…ほら。持てるか?」

「ぅん。。。おかゆ、もうちょっと食べていい?」

「ハイハイ♪」


ついつい、嬉しさがにじみ出てしまう。


(もっとワガママになればいい。俺だけに)

麗叶の頭を、ポンポンと指で触れた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


数日後、社長が合宿所にやってきた。

初めて入る、社長のプライベートルーム。


「キミ達、しっかり反省しているようですね?」

大きな机の前で、社長はひとりひとりを舐めるように見回した。

「ダンスもボイトレも頑張ってるそうじゃないですか?

マーミヤさん、褒めてましたよ」


「嘘つけ」

アキラが口の中で反論する。


「本当ですよ」

社長が地獄耳を発揮しながら、不気味に笑いかけた。

「しっかり反省もし、お仕事もレッスンも頑張ったキミ達に」

もったいぶって、一呼吸おく。


「ご褒美です。」


8つの目が、パッと社長に集まった。


「さぁ、キミ達!!コンサート会場は、決まりましたよ!」

「ぇ?!」

「まずは、台湾からスタートです」


「え?!海外?!!」

と、アキラが叫んだ。

「まずはってどういう意味?」


「アジアワールドツアーだ。今回はアジア5カ国だな」

「山さん、マジで!!?」

「その模様を、欧米21カ国で生放送する予定だ」


アキラは前のめりになっている。

「生放送?アメリカとかも?!!」


「ぅわっ!鳥肌立った!!それってちょっと凄くない?!」

「だよね、だよね!!ルゥ!どうしよう!ねぇねぇ、すごいよ!」


3人の喜びようを見て、社長は満足そうに頷き、

1人だけ反応の薄い芯に微笑みかける。

「芯。海外進出ですよ。楽しくなってきたでしょう?」


「え?…あ、まぁ、はい。そうですね」

芯は大人びた微笑みを浮かべてみせた。


「おーーい。まだ極秘だからな。

許可出るまで身内にも言うなよ!

それからレッスン、気合入れてやるんだぞ!」


山内の言葉なんて、誰も聞いていなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「やっぱり…現地集合?迎えに来なくていいの?」


「うん。」


ルゥにこれ以上言っても無駄だと、麗叶は知っている。


「じゃ明日」

そう言うと、ルゥはさっさと車を降りた。


アジアワールドツアーを知らされ、他の3人は外泊しなくなった。

ルゥだけは、今も時々、地元の友人に会いに行く。


麗叶は、ルゥが闇に溶け込むまで見送り、エンジンをかけた。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


いつもの場所。

二人は、

別々にホテルに入る。


女はチェックインを済ませ、部屋へ。

ダテ眼鏡にマスク、帽子で素性を隠した男が、フロントの前を素通りする。


ブルブルブル。

スマホを見ると 


『502号室。』


エレベータで、5を押した。



コンコン。


「センセイ?俺。」


パタン。


来栖直弥(くるすなおや)は、音もなく部屋に滑り込んだ。



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