18-マネージャー失格
「今日の予定って何だっけ?」
「ノ~リ~!それぐらい覚えとけ。
今日はMUSIC AREAの日」
「アキラ、それ明日だよ」
「あ、そっか。今日はweb系の2本取りだっけ?」
「それと、GAMEの打ち合わせ?」
「ゲぇ~!!!」
「ゲェ~って、GAMEはキミ達の冠番組じゃない」
麗叶は笑いながら、ノリとアキラが食べ終わった皿やコップを片付ける。
カチャ
扉が開く。
「…。」
「あ、ルゥ、おはよう」
「…。」
無言のまま、テーブルに俯せになったルゥに、いつものグレープフルーツジュースを置いてやる。
カチャ
「…。」
「あれぇ~?芯も寝坊?珍しいね?」
「違ぇよ、ノリ。ほら、ルゥだろ?」
朝からの仕事でだいたい寝坊するのは、ルゥだった。
そんなルゥを、芯は時々起こしてやる。
「俺も眠ぃ~」
アキラは大あくびした。
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スタジオ奥に並べられたパイプ椅子に座り、セット交換を眺めていたルゥが、首をグルグルと回した。
「なんだかさ、疲れが取れない…」
「これでドラマ入ってたら、完璧死んでたな」
「アキラはこの前クランクアップしたばっかだろ?」
「あぁ。でもよー、芝居してぇなぁ~。映画の話とか来ねぇかなぁ~」
「ハイハイ。」
アキラのいつもの芝居談議を予想して、ルゥが軽くあしらう。
「んか~!映画、出てぇー!」
「俺が映画撮る時、絶対お前は使わないから、安心しろよ」
「芯が作った映画に出る役者なんていねぇーから、安心しろよ」
「あ?」
「あぁ?」
睨みあっていた芯とアキラが、一緒に噴き出した。
「芯ってさぁ、テレビで見るイメージと違うでしょ?」
少し離れた所に座っていたノリが、麗叶を見ずに話しかける。
「うん。やっぱりノリもそう思う?」
「人見知り、激しいんだよ、芯は」
ノリは、チョコレートをポンっと口に入れた。
「テレビの収録なのに、面白くないと愛想笑いもしてくれないっていうのも、人見知りのせい?」
「キャハハハ。芯は不器用だからね。これでも慣れた方だよ。
昔なんてさ、雑誌撮影の時とかす~~んごく大変だったんだよ!
カメラマンが笑って~って言っても、照れて、全然駄目でさ」
「なのに芸能人になっちゃう辺り、よく分かんないわ。ホント面白いね」
麗叶も可笑しそうに笑った。
「普段、一番良く笑うのは芯。
とっても優しいくせに、頑固で意地っ張りなガキだから、僕も時々困るんだ」
ノリはアメリカ人のように、両肩をすくめてみせた。
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ガタンっ!
「皆さん、お疲れ様でした」
「お疲れ様ぁぁぁ~」
「おっつ」
「ほらっ。芯、着いたぞ」
ルゥが寝ていた芯を起こした。
「…ん。」
フラフラと芯がステップを降り、トテトテ歩いて玄関に向かっている。
それを見送っていたルゥは、後部座席から運転席のシートを掴んで、麗叶にささやいた。
「風邪薬ってある?」
「あると思うけど、、ルゥ!!体調悪いの?!」
「アレ。」
芯を顎で指し、続けた。
「熱、かなり高いと思う。朝からおかしかったし」
(おかしかった?芯が?!)
麗叶は今日一日の芯の言動を思い起こしたが、全く思い当たらない。
「芯、あんなに笑ってたのに?私…全然気付けなかった…」
「麗叶さんには特に気付かれないようにしてたからね。ま、分かんなくて普通」
ルゥはスッと車を降りて行った。
麗叶はショックだった。
「私、マネージャー失格だ。。。」
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「往診が駄目だとしても、なんで救急病院に連れて行っちゃ駄目なんですか?!
……でも!…そんな……では、朝一で直接、病院に連れて行きます!!」
山内の非情な発言にカッとなった麗叶は、一方的に通話を切った。
ーーーーーー
芯の部屋の前に立った麗叶は、控えめにノックした。
「芯。具合はどう?欲しいものはある?」
「……」
麗叶は、心配でその場を離れられずにいた。
芯があんな風にフラフラになるなんて、よっぽど具合が悪いのだ。
肋骨を折っても誰にも告げず、隠して舞台の千秋楽を迎えるぐらい、芯は強情で意地っ張り。
なのに…
「芯、薬とおかゆ、ここに置いとくね。水も飲んでね」
持っていたお盆をそっと廊下に置いて立ち去ろうとした時、麗叶の後ろで静かにドアが開いた。
振り向くと、汗でTシャツを身体にはりつけた芯が、ドアに寄り掛かって立っていた。
「芯…」
息が荒い。顔も赤い。
「何やってるの?着替えは?!そんな恰好じゃますます悪くなっちゃう!」
とっさに麗叶は芯の前を横切り、開かれた部屋へ入った。
「着替えは?!どこ?」




