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武将 蒲生氏郷 第89話 柴田軍の総崩れ

大岩山の前線が崩れたことで、

その影響はすぐに木之本の本陣へ波及した。

盛政隊が押し返され、

山麓で包囲されているという報せが、

次々と勝家のもとへ届いた。

前線と本陣の距離は遠く、

援軍を送るにも時間がかかる。

利家の離脱で中央が薄くなっていたため、

盛政隊を支える部隊も残っていなかった。

木之本本陣では、

勝家が状況の悪化を把握しようとしたが、

前線からの連絡は途切れがちだった。

大岩山方面の兵が崩れたことで、

本陣の左側面が露出し、

秀吉軍が北へ向けて進む道が開きつつあった。

このまま戦いを続ければ、

木之本本陣そのものが包囲される危険があった。

勝家は撤退を決断した。

木之本に残る兵をまとめ、

越前方面へ退くための道を確保する。

北陸道を使えば、

越前の北ノ庄城まで戻ることができる。

勝家は兵を整列させ、

木之本から北へ向けて退却を開始した。

しかし、

大岩山の崩壊によって戦意を失った兵も多く、

隊列は乱れがちだった。

秀吉軍はすぐに追撃へ移り、

木之本周辺の柴田軍は散発的に抵抗しながらも、

次第に北へ押し流されていった。

勝家は本隊を守りながら退却を続け、

越前へ向かう道を急いだ。

こうして、

賤ヶ岳の戦いにおける柴田軍の戦線は、

大岩山の崩壊を起点として総崩れとなった。

勝家は北ノ庄城へ退き、

秀吉軍は長浜から賤ヶ岳一帯を掌握した。

戦場の主導権は完全に秀吉の手に移り、

賤ヶ岳の戦いはここで終結した。


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