武将 蒲生氏郷 第88話 大岩山への反撃
賤ヶ岳の山頂を押さえた秀吉軍は、
次の目標を大岩山に定めた。
ここには佐久間盛政の部隊が陣取り、
中川清秀の陣を破った勢いのまま
南へ深く食い込んでいた。
しかし、その前線は細長く伸び、
側面も背後も手薄になっていた。
秀吉はこの弱点を突くため、
複数の部隊を大岩山へ向けて動かした。
山頂を確保した堀秀政の隊が、
大岩山の側面へ回り込む。
七本槍の若手武将たちは、
山麓から斜面を登り、
盛政隊の横腹を突く位置へ進んだ。
正面からは、
中川隊の残兵と増援が押し返す形で進み、
三方向から包囲する態勢が整った。
盛政隊は、
中川隊を破った直後で勢いはあったが、
突出した前線は孤立していた。
利家の離脱で右側面は空白となり、
木之本の本陣からの援軍も届きにくい。
盛政は状況を立て直すため、
大岩山へ戻ろうとしたが、
すでに秀吉軍が山道を押さえていた。
包囲は徐々に狭まり、
盛政隊は山の斜面で分断された。
側面からの攻撃で隊列が乱れ、
正面からの圧力で後退を強いられ、
大岩山の上へ戻る道は閉ざされた。
盛政は撤退を試みたが、
兵の損耗が大きく、
統制を保つことが難しくなった。
やがて盛政隊は崩れ、
大岩山の前線は完全に瓦解した。
突出していた柴田軍の南端が崩れたことで、
木之本本陣との連携は断たれ、
柴田軍全体の戦線が大きく揺らぎ始めた。
大岩山の崩壊は、
賤ヶ岳の戦いにおける決定的な転換点となった。
秀吉軍はここで主導権を握り、
柴田軍は総崩れへ向かう流れに入っていく。




