武将 蒲生氏郷 第116話四国の地形・街道の調査
(四国・街道沿い/1585年)
城の明け渡しが終わると、
氏郷と左馬允はすぐに街道の調査へ移った。
兵を城下に待機させ、
必要な人数だけを連れて街道へ出た。
街道は城下から北へ伸び、
谷へ向かって緩やかに登っていた。
左馬允が地図を広げ、
街道の幅を測り始めた。
縄を地面に伸ばし、
足で押さえ、
数字を記録帳に書き込む。
「幅、三間弱。
槍隊は二列で進めます」
氏郷は街道の両側を見渡し、
斜面の角度、
木々の密度、
伏兵が潜める影の位置を確認した。
左馬允が続けて分岐を調べ、
道の角度を地図に書き込んだ。
「ここで二つに分かれます。
右は谷へ、
左は港へ戻る道。
補給路として使えます」
氏郷は左の道へ入り、
足元の土の硬さ、
荷駄が通れる幅、
馬の足取りを確認した。
道は緩やかに下り、
遠くに海の光が見えた。
「港までの距離を測る」
左馬允が縄を伸ばし、
歩数を数え、
地図に数字を書き込んだ。
「ここから港まで、
およそ四町半。
荷駄の往復に問題なし」
氏郷は道の両側を歩き、
水場の位置を探した。
しばらく進むと、
斜面の下に小さな湧き水があり、
桶を置いた跡が残っていた。
「水場、ここに一つ」
左馬允が記録帳に書き込み、
地図に印をつけた。
次に谷へ向かう道へ戻り、
峠の位置を確認した。
道は細く、
両側に岩が迫り、
風が抜けていた。
峠の頂上からは、
山の向こうの街道が見えた。
左馬允が峠の高さを測り、
斜面の角度を記録した。
「峠の幅、一間半。
鉄砲隊は横に並べません。
槍隊を前に出すべきです」
氏郷は峠の先を見渡し、
街道が再び広がる地点を確認した。
そこには小さな平地があり、
荷駄を休ませるのに十分な広さがあった。
「ここを中継点にする」
左馬允が地図に丸をつけ、
補給路の線を引き直した。
次に、
城と港の距離を測るため、
街道を戻って城下へ向かった。
途中で橋を渡り、
川の深さと幅を確認した。
橋は木製で、
荷車が通れる強度があった。
「橋、問題なし。
増水時は注意が必要ですが、
今は安定しています」
城下へ戻ると、
左馬允が測量結果を隊の地図へ反映した。
街道の幅、
分岐の角度、
水場の位置、
峠の高さ、
補給路の距離。
すべてが一つの地図にまとめられた。
氏郷はその地図を広げ、
進軍の流れを確認した。
街道の線が山を越え、
港へ戻り、
城へ続き、
補給と進軍の両方を支える形になっていた。
左馬允が記録帳を閉じ、
短く告げた。
「これで、
四国の街道の骨格は把握できました。
進軍も補給も問題ありません」
氏郷はうなずき、
地図を巻き、
隊のもとへ戻った。
四国の地形が、
氏郷隊の手の中に収まった。




