Ivan must die!
2013年
7月1日
9:03
USA アイオワ州
SUVからガンケースを担いで降り、ガラス張りのドアを押し開ける。
「エルナさん久し振りです!」
二週間ぶりにオフィスのロビーに入り、エルナさんに挨拶の声を掛けた。
「あらディアナちゃん。 今日から復帰?」
「そうです。 お騒がせしてすいません」
「なに言ってるのよ。 私今の今まで忘れてて全く騒いでないわよ」
「そ、そうすか…」
「あ、べ、別に心配してなかったわけじゃないのよ!?」
天然ってたまに恐ろしい殺傷力発揮するからなぁ…
ガンケースを背負い直し、空いた左手で頭を掻く。
傷は二週間で無事に治り、もう包帯も巻いていない。
「ディアナ戻ったのか?」
ロビーに入ったサムが声を上げて近寄ってきた。
「傷は治ったのか?」
「まぁ治ったよ。 次からは気をつけよっと…」
「まぁお前の化物並の生命力なら問題ないだろ」
なにそれ、どういう意味?
「傷は勲章って言われるらしいよ。 議会名誉勲章は欲しくない?」
「民間企業の社員は貰えないだろ?」
サムはエルナさんの差し出す鍵を持ってロッカーに逃げた。
口を尖らせてソファに倒れると、カールが入ってくる。
「あれ、姉ちゃん今日は早いじゃん」
「うん? お母さんが早く起こしてくれたから」
この人まだ親に起こしてもらってんの…
思ったが、涼しい顔でガンケースを開いた。
ぴっかぴかのストックとフォアグリップが付いた愛銃を机に置く。
「ディアナちゃん? その銃なんて言うの?」
「M14ですよ。 スプリングフィールドが製作してベトナム戦争の頃に米軍が採用し今でもバトルライフルカスタムやスナイパーカスタムして戦場に」
「良くわかんない」
「ですよねー」
「棒読みやめろ…」
暫く銃身やアイアンサイトを撫で回し眺め回しして、再び仕舞った。
「エルナさん、鍵くださいな」
「うん、頑張ってね」
「諸君、ロシアは好きか」
ブリーフィングルームに入るや否や、ジョナサンは言った。
ラリー及び数人を除いて全員が背筋を震わせ、ヘッドバットする勢いで首を横に振る。
「そうか、好きか。 なら話は早い」
誰がそう言った! という意識が共有されるが、話は続いた。
「サンクトペテルブルクは知っているだろう。 今回の任地はそこだ」
筋金入りの無表情でモニターのリモコンを使い、ペテルブルクの地図が表示される。
「さて、関係があるわけじゃないが、新人を紹介しよう」
なるほど、新しいのが入るっつってたな。
部屋のドアが開き、長身のロシア人が腰を屈めて入ってきた。
「フョードルだ」
彼は、ジョナサンに勝るとも劣らない仏頂面でそれだけ言った。
「新顔はイカれポンチのイワンか? ええ?」
ラリーが薄ら笑いを浮かべて立ち上がり、鼻の高いロシア人に指をさして言い切る。
「貴様は何者だ? ゲイならお断りだ」
「俺も同意見だ、クソッタレ」
サムがメモを持ってしきりに周りと話始めたのは、賭けでもする気なのだ。
「イワンよ、ここに何しに来たかは知らんが、俺はイワンが気に入らねぇな?」
「残念ながら俺はイワンではなくフョードルだ」
こいつは無視すべき手合いと判断したらしく、だんまりを決め込む。
「この面子でサンクトペテルブルクに行く。 フョードルはレイモンドとバディで行動しろ」
ラリーを睨み続けるレイモンドの隣りを指示され、フョードルはこれまた無表情で人込みに入った。
なんかやたらとジョナサンに似てるような…
そうだとすればクソッタレ上司が分身したとでも?
「カール、すっごいイラついてきたんだけど… どうすれば良いかな?」
「俺に聞くな…」
カールも苦虫を味わってるような膨れっ面だった。
嫌な事になりそうね…
To Be Continued…




