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Dead or Alive  作者: 煤路山楽天
イラク ナジャフ南部
21/38

大いに楽しめ

2013年

6月16日

13:35

イラク 南部


「やぁウィリアム君! 状況はどうだい?」


 ジョナサンの持つ衛星電話がマクナホンの声を出力し、部屋に拡声される。


「すみません、この間は無視しましたが、私はジョナサンです」


「ん? ああすまない! ウィリアムというのは私の孫でな、誰を呼ぶときもウィリアムと呼んでしまう! これが良い子でなぁ」


「状況ですが、小屋にアイオワ分社の社員はみな集まりました」


「あ、あぁそうか! テロリストが来たのか?」


 孫の自慢話を中断されて困惑したようだが、説明を聞く気はあるようだ。


「爺ちゃんの話を無視しない良い孫なのかね」


「言ってやんなよ…」


 二人も仲間が死ぬような状況で、なんて涼しげな態度だよ…


「ディアナ! 手伝え!」


「おっしゃ! 行くよカール!」


「へいへい!」


 サムの呼び掛けに応じ、パイプイスを出てドアを出る。


「MGトラック! ラリー対処しろ!」


「黙ってろクソッタレ!」


 RPKの7.62mm弾が走行する軽トラを襲い、装甲板代わりの鉄板を貫いて停止させた。


 小屋は敵の部隊に包囲され、敵を近付けまいと応戦する同僚の声や、けたたましい銃声が耳を刺激する。


 これぞ絶体絶命って奴?


「ぼんやりしてんなディアナ! 掘削施設に行くぞ!」


 リュウが耳元で叫びAKで近付くゲリラを撃った。


「あそこまで敵が来てるの?」


「今のところはまだのようだがすぐに来る!」


 掘削施設までは100mくらいで、そこまでは社員の手が回っていない。


 だが施設では警備員がいて、剥き出しの空中廊下からP-90を撃ち下ろしていた。


「ジャクソン! 行くぞ!」


「はい!」


 リュウがM16A2を指切り射撃していたジャクソンを呼ぶ。


「人使いが荒いねー」


「なんだと? 聞こえん!」


「何でもなーい!」


 なんだよと呟いたが、四人は土嚢を乗り越えて施設に駆け出した。


「cover me cover me!」


「イェア!」


 ゴリラが応答を返してきて気分が悪くなったが、目の前の敵に集中することにする。


 M14を腰に構えてゲリラの集団に弾の雨をお見舞いした。


 二十発の鋼鉄が前列の数人に食ってかかり、それらは砂上に崩れ落ちる。


「何やってるディアナ! 弾幕は大きく厚く綿密に張るんだ!」


 QBBが猛烈な射撃を始めた。


「クソッタレゴリラァ!」


 カールの頭を掴み地面に叩き付けるように共に倒れ込む。


 ゴリラの言う弾幕は行く手を遮るゲリラ達を弾き、薙ぎ倒してリロードの隙を与えた。


「止めろディアナ…! 俺を殺す気か…」


「あんたまるっきり気付いてなかったじゃん」


 カールの頭を離してやり、離したついでにM14のマグを外す。


 視界の隅には血のシャワーを流して倒れる敵が写った。


 視線の先には同じくリロードの動作をしているリュウがある。


「リュウ! 援護射撃終わったら突撃で!」


「イェア! 突っ走るぞ!」


 どうせゴリラの事だから弾倉を使い切るつもりだろう。


「弾切れだ! 幸運を祈るぞディアナ! リュウ!」


 頭上を覆っていた弾幕が終わりを告げ、一斉に立ち上がり、走り出す。


「fuck'n mother fuckar!」


 ボルトの世界記録を戦場で打ち破る気分で全力疾走した。


 目茶苦茶に撃ちながら。


 なにしろ敵がわらわら湧いてくる。


 銃身を思いっ切り引き、次いで一気に押し出す。


 FALを構えていたゲリラの腹をナイフが貫き、生温かい鮮血が辺りに散った。


「クソッタレ! クソ食って死ね!」


 死に切れず悶え苦しんでのたうち回る肉体を、銃剣で右に左に引いたり押したりと捻くり回す。


 鋭いナイフが動く度に赤黒い血が流れだし、切り裂かれる本人はなす術も無く、自分が刺身になるのを見つめていた。


「お遊びはそこまでだ! さっさと来い!」


 カールに呼び掛けられ、正気に返りミンチの製造を止めて倒れるゲリラの頭に、一発ぶち込んだ。




 今のところ巨大な油井は動きが止まっていて、地面をほじくっていないらしい。


 しかし警備員が構造物の上を這いずり回って客に対応していた。


「コンカッション!」


 カールがポーチをごそごそしながら叫び、やっと掴まった円筒の物体を、適当に遠くに放る。


 それに合わせてこっちを狙う敵に銃撃を加え、僅かに目を逸らした。


 円筒が炸裂し、発生した衝撃がゲリラを数人吹っ飛ばす。


「リローディング!」


「イェア!」


 リュウの叫びに応じ、立ち眩んでいる敵を放っといて、元気に攻撃してくる敵に矛先を向けた。


 ゴリラの射撃で夥しい死体や肉片、まだ生きている瀕死者が転がっているが、戦意のある奴はまだまだ沢山いる。


 アイアンサイトを覗き岩に隠れて射撃しているゲリラを狙って撃った。


 そいつが体を逸らしてぶっ倒れるのを確認し、介抱しようと近寄る敵も撃ち殺す。


「階段を上がれ!」


「おぉっといつの間に」


 撃ちながら走っていたら知らない間に油井に辿り着いていた。


「行くぞ!」


 リュウが先導し、階段を駆け上がる。


 しかし外から丸見えなので、弾が飛来しては階段の鉄板を激しく叩いた。


「リュウさっさと上がって!」


「わかってる!」


 目の前を鈍色の弾丸が通過し、顔を引いてその弾が鉄骨を叩くのを見守る。


「ヤバい! これはヤバい!」


 たった数mの階段を数十秒かけてやっと上がりきり、地図に見た外を眺めた。


 施設の周りは岩が無数に転がり、ゲリラどもにとって丁度良い遮蔽物となっている。


「敵はまだ入ってないな!?」


「はい! まだ防げています!」


 リュウがP90を撃ちまくっている警備員に問い質した、が、警備員の頭が弾け飛んだ。


「クソッタレ!」


「RPGだ!」


 カールが指差す先にRPGをこっちに構えたゲリラがいた。


「get down!」


 硝煙の筋が僅かに見えた。


 空中通路が崩れ落ち、体が空に投げ出された。




「What a fuck! suck my dick!」


 カールがあらゆる罵声を上げて、クリンコフを撃ちまくっている。


「うるさい… カール…」


 目の前が奇妙に歪み、聴覚が少し鈍い。


 ああ畜生…


「ディアナ! 大丈夫か!?」


「ああうるさい… ちょっと待ってて…」


 頭の回転が鈍ってるならいい直し方がある。


「クソッ… タレが!!」


 地面を思いっ切り頭突きした。


 最初は鈍く、やがて激しく、悲鳴を上げたくなるような痛みを感じた。


「おい、大丈夫か!?」


 目を回すと、自分が空中通路の金属を背にしていることに気付く。


 手足が二本づつあることを確認し、指が全て付いてるのもわかった。


「おい、血出てるぞ?」


「今さら気にすることじゃないでしょ…」


 左足の腿にやや大きめの鉄片が刺さり、赤い血を流している。


「クソッタレ…!」


 奴等ぶっ殺してやる…


 地面にM14が転がっていたので、それを掴んだ。


 幸いストックの先が千切れたくらいで殺すには全く障害が無い。


「ちょ、待て!」


 心配そうにこっちを覗くカールを振り払い、無理矢理立ち上がった。


「チッ…」


 案の定、血が流れ出し足を伝って砂に零れる。


 銃弾が通せんぼするように殺到し、左肩に弾丸が命中した。


「おい! 戻れ!」


 バイポッドを握り、グリップを掴んで引き金に指を当てる。


 存外軽く感じ、適当に撃ちまくった。


 遠くで四人のゲリラが前のめりに倒れる。


 マグをポーチに入れ最後のマグを入れた。


 それをあっという間に撃ち切り、五人くらいを地獄か天国に招待する。


 右腕を弾がかすり、血が噴き出した。


「戻れディアナ!」


 背中をカールが掴み、引き摺り戻された。


「あんた弾ある?」


「持っててもやらねぇよ!」


 チッ… クソッタレが…


「あいつらを殺す…」


「その前にお前が死ぬだろ!」


「おい! 本社が来たぞ!」


 知らぬ間に隣りに立っていたリュウが叫ぶ。


 ハインドの三機編隊が現れ、機銃掃射を始めた。


「やっとか! 死ぬ所だったぞ!」


 砂塵が濛々と立ち上ぼり、晴れると無数の死体が転がっていた。



To Be Continued…

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