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Dead or Alive  作者: 煤路山楽天
イラク ナジャフ南部
20/38

ダビデとゴリアテ

2013年

6月16日

13:31

イラク 南部


 傷口を覆う野戦服の袖を破り取り、血を流す銃創を露にする。


「まぁ問題無いんじゃない? 後送には変わりないけど」


「畜生、敵は?」


「さぁどうかなぁー」


 岩陰から顔を上げて戦闘の現場を見た。


「頑張ってますねー、たましもさっさと行かないと…」


 バッグから滅菌されたナイフを出し、傷口を開いてみる。


「うおっ!?」


「我慢!」


 やはり弾が残っていたので、ナイフを突っ込みほじくり出した。


「ぬぅぅ…」


「OKOK、これで大丈夫」


 血塗れの弾をそこら辺に捨て、消毒液を適当に掛ける。


 苦しげに呻くレイモンドの肩を叩いて、ガーゼで傷口を抑えた。


「大丈夫、心配いらないよ」


「あぁ…」


 銃声がやや小さく少なくなり、ちょっと気になったが無視して包帯を取り出す。


「ディアナ、ちょっと聞いてもいいか?」


「なに? もちろん死なないからね?」


「それは知ってる、そうじゃなくて、島を覚えてるな?」


「あれから何回聞かれたんだか…」


 狭い社内で噂は一瞬で広がるらしい。


 幸い死ぬべき人間を助けたというのは、まだ漏れてないが。


「なんで助けた?」


 包帯をぐるぐる巻き付け、ガーゼをしっかりと固定する。


「そりゃ、ガキの頃の自分のそっくりさんが死にそうなら助けるでしょ?」


「そうか?」


「無駄話は後々! あたしはあっちに戻るから水筒飲んでな!」


 残った包帯は仕舞い、水筒を岩にもたれたレイモンドに投げて、M14を肩に掛けた。


「待ってろよクソッタレども、ジャイアントキルだ」




「ディアナ! レイモンドは?」


 カールが目の前の剣を手にしたゲリラを捌きながら叫ぶ。


「今んとこあんたの方が心配なんだけど!」


「大丈夫だ、問題無い」


 一文字に降り下ろされた剣の一閃を、AKS-74Uの金属部で受け止めて火花が散る。


 大丈夫じゃ無さそうだし、仕方ない。


「下がってカール!」


「マジか!」


 あたしの構えたM14の巻き添えにされたくはないらしく、カールは素直に横っ飛びした。


 急に敵を失ったゲリラは体勢を崩して砂に転がり、そこを狙い指切り射撃する。


「敵はあらかた片付いたな。 レイモンドはどうだ?」


 リュウがまだもぞもぞ動いている敵を射殺しながら近付いて来て、あたしに聞いた。


「全く問題ないよ。 でも後送だね」


「ビリーは死体を確認しました!」


 ジャクソンが遺品らしきM27を持って現れ、それを渡してきた。


「いや、渡されても迷惑なんだけど…」


 カールにそれを押し付けて文句を垂れる。


「だからって俺に渡すな。 LMG担いで喜ぶのはFPS好きの気違いだけだろ…」


「ほうほう! ラリーがさぞや怒るだろうね!」


「いや、それとこれは…」


 ジャクソンのM16が遠くで喚いていたゲリラを排除し、新戦場は静かになった。


 リュウが無線を出してジョナサンと回線を繋ぐ。


「オールクリア。 ジョナサン」


「了解した。 しかし敵の増援が向かっている。 撤退しろ」


「なんだと?」


 おぉうふ…


「レイモンドー、帰るよ」


 何をしに治療をさっさと切り上げたんだか、レイモンドのいる岩まで走った。


 地雷はかなり遠くまで大量に張ってあり、さっきの敵が全部踏み抜いたとは思えない。


 多分、敵が来たら地雷が知らせてくれるはずだ。


「さあ立って! トンズラするよ!」


「あぁ、問題ない」


 MASADAを持ってやり、歩けと急き立てる。


「ディアナ! お前速い!」


「ノロマ男子二人! あんた達が遅いの!」


「逃げ足の速いアマだ…」


 日光が降り注ぐ中を小屋に向かい歩き、水筒を口にした。


 戦闘なんてほぼしてないけど、砂から反射する光のせいで居るだけで汗が流れる。


「そういやお前ジャクソンに返してやったのか?」


「ああ、水筒だっけ?」


「まだ返してもらってないですよ。 私物なのに」


「まあまあ落ち着きたまえ新人君。 その内返すよ…」


「忘れるなジャクソンよ、こないだも言ったがこの女はそうやって返さない」


「このM14が久し振りに敵を殺したいんだと、どう思うカール?」


「いやちょっと待てよ、普通に返してたな…」


「…」


 特に何かあるわけでは無いので漫ろ歩いて喋っていると、後ろから爆音がして一斉に安全装置を外した。


「get down get down!」


 一声叫ぶと五人はもう地面と同化している。


「ディアナ! 俺の銃を!」


「あいよ!」


 数m前方まで這って行き、レイモンドにMASADAを渡した。


「片手で撃ってね」


「努力する」


 断続的に爆音が発生している、これぞ入れ食いというか何と言うか。


「敵はまだ遠いぞ」


「じゃあさっさと逃げる? 間違なくさっきより多いでしょ?」


「だろうな。 逃げるか」


 リュウが素早く腰を上げ、爆煙の方向に一瞥をくれて走り出した。


「ちょっ、走るんかよ…」


 カールも遅れて立ち上がり、リュウを追う。


「より多く、地雷が殺しますように…」


 ムスリムのように祈りを捧げてから、走る二人を追った。

To Be Continued…

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