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Dead or Alive  作者: 煤路山楽天
イラク ナジャフ南部
18/38

習うより慣れろ

2013年

6月16日

10:21

イラク 南部


「距離300m。 右手から強風。 幸運を祈る」


「幸運じゃなくて成功を祈るべきでしょ」


 バイポッドを展開し、固い砂の地面にそれを据える。


 M14の先には貴重なスイカが一つあり、人の顔っぽいのが描いてあった。


 銃身で目標が左斜め下に消えてしまうが、推測で的の位置を確認し向きを微調整する。


「眉間にクソッタレ突っ込んでやるよクソッタレ」


 シングルショットで弾丸が発射され、それが… 当たったかな?


「さぁ見に行こう」


「元フォースリーコンの女性PMC社員の射撃の腕は如何? レポーターは私、カール・バウアーでお送りします」


「やめいカール」


 的まで風塵を冒してダッシュし、青い皮の破片の元まで辿り着いた。


「おっと皆さんご覧下さい。 見事にこのスイカはめちゃめちゃです。 まさにジャッカルも真っ青」


「奴はサイレンサーを使ってたからね」


 鼻面から粉々になったスイカに満足を覚え、新しい顔を描いたスイカを置き直す。


「さーてカール、元SOCOMのPMC社員の実力を見せてもらおうじゃない?」


「じゃそれ貸して」


「馬鹿言わないの。 あんたの得物でやんなさいよ、そのちっぽけなクリンコフで」


「無茶言うなよ」


 走って射撃地点まで戻り、カールが地面に転がるのを見届けた。


「距離は変わらず、風も変わらず。 あんたはあたしに勝てる?」


「やってやるさ」


 セレクトファイアをセミオートに設定し、砂に肘を付けて狙いを定める。


 銃声が鳴り、弾丸が発射された。


「Let's go Let's go」


「うわぁ、すげぇ自信がねぇ!」


 再び走り、全く姿の変わらないスイカの前に立つ。


「カール、M14を一発だけ撃ってもいいよ」


「うー… 怖ぇ」


 厚い手袋を強いて付けさせ、M14を厳かに渡した。


「全て変化無し。 神さんがあんたに恩寵を与えたのかもね」


「これで外したらお前と神にシバかれるわけだな」


「一挙両得だよやったね」


 損しかねぇよ! と突っ込み、再び砂上に転がる。


「ヤベぇプレッシャー!」


「頑張れー」


 かなり気乗り薄に反応し、大事なM14を見守る態勢をとった。


 銃口が白い硝煙を吐き出し、砂煙に霞む視界の向こうに弾丸が発射される。


「さぁどうかな?」


「神よ、私を守り給え…」


 わざとらしく胸の前で十字を切るのを横目に見ながら、砕けたスイカの前に着いた。


「おっし!」


「…チッ…」


「え? 何それ」


「ほら、あたしのM14返しなさい」




「ジョナサン戻ったよー」


「ノートを忘れてないな?」


「大丈夫大丈夫」


 砂塗れのノートをテーブルに置いて、ペットボトルウォーターを取る。


「水分補給はこまめにね」


「二時間ぶりの水だ…」


 部屋にはゴリラとジョナサンしか居らず、非常にむさくるしい。


「失礼な!」


「黙れゴリラ!」


 経文を暗誦するように自然に叫んだ。


 どうすれば心の声が漏れるのを防げるのか。


 飲み干したペットボトルをゴミ箱に投げ、イスにもたれ掛かって地図を眺める。


「戻ったぞジョナサン」


「ロビン、IEDはどうだ?」


 ロビンとサムが入ってきて、空になった袋をゴミ箱に突っ込んだ。


「山に散布した。 ちゃんとメモってある」


 ノートの上にノートが叩き付けられ、砂埃が立ち上ぼる。


「ロビン、水はどうよ?」


「そういや飲んでないな、くれ」


「命の水、1mlで寿命を五年くらい伸ばします。 お値段たったの600ドルです」


「嘘つけ筋肉女」


「諸事情により6000ドルに値上げしましたよ」


 見るからに怪しい人的なポーズで差し出していたペットボトルを、苦笑しながら奪われた。


「1セントなら払ってやるさ」


「言ったね?」


「嘘だよ」




「クリス! さっさと通信繋げ!」


「クソ! 急いでるさ!」


 ルベルが叫び、岩石から上半身を露出してFAMASを撃つ。


「機械がイカれちまってる! 壊れてんだ!」


「ここは俺が防ぐ! お前は小屋に戻って状況を伝えるんだ!」


 銃弾が間断無く頭上を過ぎ、FALだのAKだのの銃声が彼らの会話を大声にした。


「わかった! 援護してくれ!」


「任せろ!」


 遮蔽物たる岩の上端が削れ、破片が頭を忙しなく叩く。


 ルベルは立ち上がって無数にはびこる敵に、指切りでの制圧射撃を加えてクリスを促した。


「さっさと行け! 共倒れはごめんだ!」


「戻ってこいよ!?」


 クリスはM4を適当に撃ちまくり、斜面を転げ落ちるように走る。


「貧弱なフランス人ただ一人だぞ! 殺してみろ!」


 クリスの言葉に応じず、ルベルはFAMASを乱射した。


 フルオートで狙いもしない分、弾を無駄に使う事になるが彼は気にしない。


 前後の岩が銃撃で削られ、弾丸が間近を通る独特の風切り音が耳を満たした。


「どうしたテロリストども! こんなものか!?」


 突っ込んで来たゲリラの体をNATO弾が貫通し、地面に引き倒す。


「そろそろ俺も戻るぞ!」


 誰にともなく叫び、後退りした途端、


「!?」


 左肩を弾丸が貫き、血が溢れ出した。


「傷は男の勲章ってな!」


 FAMASを片手で持ち上げ、適当にばらまいて撤退を継続する。


「お前ら何人死んだ? 俺は左肩持ってかれただけだ!」


 敵は撤退していると気付いたゲリラ達は、徐々に岩陰から出てきて撃ち下ろしてきた。


「おう、どうした!?」


 FAMASが銃撃を止め、引き金を無視する。


「弾切れだ!」


 後ろの何処かに投げ捨て、すかさずシグP226を構えて撃った。


「うおぉっ!?」


 が、腰に弾丸がめり込み、そのまま倒れる。


「寄るなよクソッタレ!」


 苦悶しながらも叫び、尻餅を着いたまま近付く敵を撃った。


 AK-74を向けてきた敵の顔面に銃弾を撃ち込んだが、息絶える前に乱射され、右耳がどこかに吹っ飛んだ。


 包囲環が狭まり、四方八方から弾が飛び交い、それが抵抗虚しく体を裂き、ルベルは意識を失った。

To Be Continued…

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