地球のもたらすクソッタレな恵み
2013年
6月15日
12:14
イラク 南部
「要するにさぁ?」
「ん?」
イラクの荒野、一見荒れ果てたこの土地は巨万の価値を持つ。
「石油なんざあるからいけないんだよね」
「まぁ… そうだな…?」
「明らかに反対って顔だね」
石油をふんだんに含んだ土が、ここを買収した資本家に富を与えるのだ。
まさに地球46億年が作り出した液体の資産と言える。
「石油があるから金持ちが出て、それを欲しがる奴がいるから争うんでしょ?」
「それは… 穿ちすぎじゃないか?」
「そういう見方だってあるでしょ?」
まぁ無かったら無かったで困るんだけどね。
「ディアナ、カール。 こっち来い」
「ロビン治ったの?」
どうやら戦線復帰したらしく、元気に呼びかけてきた。
「ま、お前のお陰だな」
ロビンに付いて、石油の掘削施設に向かう。
「いやでも、あんたじゃなけりゃ死んでたと思うよ」
「そうかもしれないが、お前がいなけりゃ死んでた」
ウインクして握手を求めてくるので、それに答え手を握った。
「しかしお前、こんなとこでもM14なのか?」
「カールは臆病虫のせいでクリンコフ持ってるけど」
「悪かったな!」
「あんたはテロリスト?」
謝って追撃を避けようとするが、私には通用しない。
施設にはプレハブがあり、遠慮なくそこに入った。
「ディアナ、偵察ご苦労」
「砂、砂、どこ見ても砂よ」
「おいディアナ、今のセリフ聞いた事が…」
「それ以上は止せ」
二人の忠告に従いこれ以上は言わない。
ジョナサンがiPhoneでどこぞに通話を始めるので、長テーブルに敷かれた地図を見た。
「もしもし、マクナホンさん… ええ、今のところ問題ありません」
地図は南イラク全体の地図が半分と、施設周辺の地図がある。
「なんですと? …そうですか…」
施設の周辺は、西に平らな砂場が広がり、東に丘陵があるらしい。
「なぁディアナ…」
「なに?」
突然、カールが小声で問うてきた。
「マリーはどうした…?」
「あんたはマリーちゃんと呼びな… 今ジャックのとこ。 あの親父は信頼できる」
「なんで俺、あの人に嫌われてんの?」
「あんたはあたしに馴々しいからね。 アレは親バカだから」
「それは分かるけどな…」
「ジャクソン、そろそろ戻ってこい」
「了解。 丘陵は安全です」
無線からジャクソンの声が流れる。
「ジョナサン、あいつ一人で行ったの?」
「いや、リュウが一緒だ」
リュウって言うと…
「リュウ、確か、王劉明、だっけ? 中国人ねぇ…」
「ディアナ、確かにリュウは入社こそお前より後だが、軍隊経験は長いぞ」
「知ってるけど、イエローねぇ?」
あんな小柄で銃が振り回せんのかな?
密かな疑問を抱きつつも、国際性豊かだなと受け取ることにした。
窓から荒涼とした砂漠が見え、そこから数人が歩み寄ってくるのが見える。
「株主のマクナホン氏だ。 いつも通りの態度で当たるなよ、クビになるからな」
「おー怖い怖い。 じゃ隅で黙ってるから」
「俺も」
そういやカールいたな、と思いながら壁に寄った。
「やぁ、ウィリアム君! 会えてうれしいよ!」
ドアが開かれ、皺くちゃの小さな老人と知らない同僚が入って来る。
多分本社か、他の支部の社員だろう。
「おや嬢さん! どうしたのです?」
部屋に入ったとほぼ同時にあたしに気が付き、話を振ってくる。
「私は偉い人と話せる性格じゃないので」
「そんなことは無いですよ! どうぞこっちへ!」
「…」
老人の小さな手に引かれ、テーブルに付いた。
予想外…
「マクナホンさん、そいつは金持ちに殺意を抱いてる人間ですよ」
おいおいジョナサン、なんだそれは?
「そんな事は無い! そんな目をしていない!」
目って…
「私は目を見れば人がわかります! ズル賢い奴、人格のある奴、殺人衝動が多すぎる奴…」
「…」
「…」
「…」
「…」
あたしの見る限り、嘘をつく奴じゃないけど…
雰囲気の凍結には気付かないらしく、水筒に口を付けてグビグビ飲み始める。
「さ、話し合いですよ! 私は戦いの事はちんぷんかんぷんなのでお任せします!」
「……了解。 本社の方々は何人いるのでしょうか?」
To Be Continued…




