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Dead or Alive  作者: 煤路山楽天
イラク ナジャフ南部
14/38

里親

2013年

6月14日

08:00

USA アイオワ州

「うるせぇ!」


 威勢良く朝を知らせていた目覚し時計が、繰り出されたチョップに砕け散る。


「………あっ」


 パーツの破片と、驚いて目を覚ましたマリーが見えた。


「どうしたの?」


「いや… ごめん…」


 嫌な夢を見たもんだ…


 ジャックと一緒に並んで笑顔を浮かべている、少女の頃の自分の写真を見つめて思った。


 ああ、殺ったよ。


 昨日も殺った…


「今何時?」


「…… 八時だよ、朝の八時」


 一昨日まで自分が寝ていたベッドはマリーが使い、自分は地べたにマットレスを敷いて使った。


「朝飯作るから…」


 寝たのに、夢のせいでずっと起きてた気分だ。


 すっごく疲れている。


「なに食いたい? って卵しかねぇや!」


「私はなんでもいいよ!」


 良い子だね…


 適当に卵をフライパンにぶち込み、こないだと同じように混ぜる。


「ディアナさん! ケータイ鳴ってるよ!」


「呼び捨てで良いよ! ちょっと取ってくれる?」


 ベッドルームからマリーが走ってきて、iPhoneを渡してきた。


「サンキュー」


 もうベッドに入る気が無いらしく、イスに座ってテーブルにもたれかかる。


「どうしたカール? こっちは忙しい」


「ああ、昨日はいったいどうしたんだ? ジョナサンが俺に聞いてくるんだが」


「敵が爆弾抱えてた、だから急いで逃げた。 って言い訳しといて」


「ああ? わかった?」


 釈明しなくちゃいけないかな。


 でも今日くらいはのんびりさせてもらおう…




「マリー、行くよ」


「へ? どこに?」


 食後は一時間くらいテレビを見てのんびりしていた 着替えを促す。


 自分もクローゼットから私服を出して着替える。


「挨拶だよ」


 昨日大急ぎで子ども用の服を買っておいたので、問題はない。


「挨拶?」


「あんたの爺ちゃんになるかな」


 カールを召喚し、到着を待つ。


 あいつは足としてかなり有用だと思う…




「足? ふざけんな…」


「事実じゃん」


「ありがとうおじさん!」


「お、おぅ…」


 ふふ、あたしの言葉に反論したいけど、ガキの手前何とも言えないといったところか…


「今回限りだぞ…」


「この子の為に呼んでるんだから拒否はできんよ」


「ぬぅ…」


 SUVがオフィスとは真逆の方向に走り出す。


「どうせジャックのとこだろ」


「よくわかったね? 頼むよ」


「ジャックって誰?」


「あたしの親父だよ」


 ジャック、親を亡くしたあたしを引き取った。


 元SEAL'sの隊員、あたしの里親、あたしの師匠…


「親があれなのに娘がこれってなんだよ?」


「それはどういう意味?」


 SUVは郊外に向かって砂を蹴った。




「どうしたクソッタレ、ホームシックにでもなったか?」


「あと四十年はそんなことないから、気にしなくていいよ」


 郊外の農場にジャックはいた。


 ジャックはもう引退して、農場を買ってのんびり暮らしているのだ。


「じゃあなんだ? 解雇されたか?」


「喜べ、初孫だぞ」


 縁起でもない冗談を無視して本題を切り出す。


「へ? …カール・バウアー! 出てこいクソッタレ!」


「違う俺じゃな」


 如何にも農夫な格好をしたジャックがカールの胸倉を掴み、パンチパンチ、キックを繰り返す。


「ディアナ助け」


「黙れケダモノ!」


 面白いので見ていたが、十秒以上放っといたら殺されるので止めに入った。


「ジャック落ち着いて、まず話を聞きなさい」


「は?」


「止めるのが遅す…ぎ…」


 畑の前の乱闘に数人の野次馬がいたが、追いやって説明を始める。


「まず、こんなムサい野郎とは孕めない」


「うむ、その通りだ」


「俺は心身共にボロボロだよ…」


「次、そもそも孕んでない」


「孕まずに子ができたと?」


「馬鹿」


 SUVのドアを開け、マリーをやっと出す。


「マリー挨拶して、クソッタレな親父だよ」


「こんにちは!」


 野郎二人の殺伐とした場に、マリーが降臨する。


「おお、マリーというのか!」


 十二のもう一端に体重のあるマリーを赤子かのように持ち上げる。


「土引っ掻いてるだけなのに怪力は変わんないな」


「失礼な、これでもお前の親父だぞ」


 こいつは死なないな…




「さて、どういうことだ?」


 農場に併設されたジャックの屋敷に入った。


 あたしの育った家だ。


「こないだ仕事でヤバい所に行った」


「ふむ」


 話してはいけない場所であるとはジャックに察してもらう。


「あんたがあたしを見つけた場所」


「なるほど…」


 親父の目が遠くを見つめる。


 往年の鋭い目で。


「そしてあの子はあたしに似てる」


 カールは変な気遣いをして家に帰って行き、マリーは別の部屋でのんびりしてもらっている。


「まぁ、見た目もなんか似てる気がするんだが… やっぱりカールに襲われたんじゃないだろうな?」


「そしたら殺してるから」


「だよな」


 なんでそんな疑る?


「親が殺されたっぽいし、カールに調べさせたら引き取る人もいないらしいから」


「養うと」


 後の言葉を引き継ぎ、珍しく神妙な顔をした。


 で、一番の本題。


「あたしは家開けるのが多いから、いない間引き取ってほしいの」


「良かろう」


 この親父は回想状態だと答えも何も、軍隊に戻るんだよな…


「何を考えてんの?」


「ああ、お前がウチに来た時だ…」


 昔を懐かしがるような上の空状態になっていた。


To Be Continued…

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