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第百四十三話

<大工のあんちゃん最終章 そして、それから。。。 完結編!!>


パシ!!

なんと!あんちゃんの遺体が、突然にユダの右手を握ってきたのでした!


「本当だな?ユダ!?」

「ひーーーー!!!」


ジョ〜〜〜!ジョ〜〜〜!

ユダは余りの驚きに、小便漏らしてしまいました。亜麻布で全身ミイラ状態のあんちゃんの遺体は、ムクムクと起き出して、ユダにその顔を見せました。


「うぎゃーーーーーー!!!!」


腰を抜かして動けなくなったユダは、とにかく跪いて土下座して謝ってます。どうやらあんちゃんのミイラは、スーパーハデスがマリオネットのように操っているようです。


「頼む!ブラザー!成仏してくれ!」

「馬鹿野郎!それはブッダの世界だろうが!」

「だーーーー!そうだった!とにかく何でもいいから、ブラザーを裏切った事を許してくれ!!」

「許して欲しいか?!ユダ!」

「はい!許して欲しいですYO!たのんます!だから化けて出てこないでくれ〜!」


ハデスに操られたミイラのあんちゃんは、泣きじゃくるユダの襟首を掴みます。恐がってるユダは目を瞑って顔を避けました。


「ひーーーーー!!」

「覚悟を見せてみろ!」

「か、覚悟っすか??!」

「そうだ、本気で俺に許して欲しくば、それ相応の覚悟を見せてみろ!」


ユダは恐がって瞑っていた目を、ゆっくり開きました。なんと!そこにはミイラのあんちゃんの遺体はありません。神々しく光輝く、白いローブを纏ったあんちゃんの姿が立っているのです。


「ブ、ブラザー?!」


もちろん、その姿もハデスが見せているあんちゃんの幻影にすぎません。そしてユダに、ロンギヌスの槍を手渡すのでした。


「お前の覚悟を見せてみろ、ユダヤ」

「。。。」


その頃、やっぱりあんちゃんの事が大好きだったマグダラのマリヤは、もう一度だけ、あんちゃんの安らかな死に顔を拝む為に、あんちゃんが葬られている洞窟に向かっています。


「あれ?何の光かしら?」


遠くからあんちゃんの洞窟を見ていたマグダラのマリヤの目に、神々しい光が洞窟の扉から漏れているのが見えました。


「分かったよ、ブラザー。洗礼者ヨハネのアニキも、あんたも男気を見せて死んで行ったんだ。腐った俺でも、そんな魂はアルゼンチン!!」


しっかりと、ユダのギャグは滑りました。しかしロンギヌスの槍を持ったユダの両手は滑らず、自ら左腹部に向けて突き刺したのでした!


「ぬおおおおお!俺はもう!逃げない!逃げたくないんだ!!」


噴き出す血を物ともせず、食いしばった歯を剥き出しにして、ユダは自らの覚悟を見せます。


「憧れてたあんたにも、許して欲しいんだ!」


ユダの左腹部を、更にロンギヌスの槍が食らいつきました。ハデスはジッと静観したまま、ユダを見定めています。


「俺は!赦されたいんだ!!」


パチン!

ハデスが指を鳴らすと、神々しいあんちゃんの幻影が、ユダの自決を止めました。力尽きて地面に倒れるユダ。


「ブ、ブラザー。許してくれるのか?」


しかしあんちゃんの幻影はロンギヌスの槍を持ち替え、槍の先をユダの顔に向けました。それを見たユダは、自分が決して赦されない事を悟ったのです。


「や、やれよ、ブラザー。思いっきり、思う存分よ!」

「。。。」

「それであんたが成仏するなら、俺も本望だぜ!!」


だから成仏じゃないって。

ハデスはそれでも静観したまま、ユダを見定めていました。なぜなら、ユダは最後までずる賢い性格だったからです。だがその時でした!


グサ!グサ!


「うが!うう、まだまだ!」


グサ!グサ!


「うりゃ!これでどうだ?!」


なんと!ユダは自らあんちゃんの傷と同じ場所に、ロンギヌスの槍で両手両足をぶっ刺したのです!


"ハデス、もういいんじゃねーか?"

"あんちゃんさん"


時空の狭間からあんちゃんが、ハデスだけに話しかけてきました。


"それだけやれば、十分にユダも償ってるよ"

"そうか?あんちゃんさんの苦しみに比べたら、こんな事ぐらいは、まだまだじゃないか?"

"いいや、これからのユダは、敵には忌み嫌われ、味方からも盲信的に慕われる。そっちの方がもっと苦難の道になるだろうよ"

"なるほど。物は考えようだな"


パチン!

再びハデスが指を鳴らしました。すると洞窟からはあんちゃんの幻影は消え、遺体も何処かに消えてしまいました。残されたのはあんちゃんの遺体を巻いていた亜麻布のみ。


「ブ、ブラザー?!」


ユダは辺りを見渡しますが、誰も居ません。さっきまで両手両足、そして左腹部から流れていた血も、何故か傷だけを遺して止まってしまいました。よーく見ると、あんちゃんのヘアスタイルそっくりなカツラが、スキンヘッドだったユダの頭にすっぽり被せられています。


「分かったよ、ブラザー。俺があんたの意志を引き継ぐぜ!」


そしてユダはあんちゃんの遺体を巻いていた亜麻布を、神々しく感じさせるように羽織りました。


「これが俺の覚悟だ!」


続く

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