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第百四十一話

<大工のあんちゃん最終章 そして、それから。。。 完結編!!>


「うーん」

「あんちゃんさん、ようやく起きたか?」


そこにはあんちゃんとロボスだけが二人ポツリ。ただ、真っ黒い世界が、だだっ広くあるだけでした。


「おー、ロボス。ここは?」

「時空の狭間だ」

「な、なんだそりゃ?」

「あんた達の言葉で言えば、肉体を離れた魂が留まる場所、煉獄とも言われているがな」

「へ〜」


キョロキョロ辺りを見渡すあんちゃんですが、なーんもありません。


「なんだ、俺の魂は消えちゃうのか?」

「そうだな。残念ながら、お前の魂は無に帰還する」

「つまり地獄に落ちるってわけか?」

「いや、地獄も天国も人間が作り出した罪の概念でしかない。多くの人々の命を奪った火山や津波が、地獄に落ちると思うか?」

「あれはポセイドンやハデスの仕業だろ?」

「フフフ、確かにな。でも流石に冥府の神でも、チェリーくんを地獄に落とすほど、落ちぶれちゃいないさ」

「だーーー!ロボスもそのこと知ってたのか?!」

「まーな」


しかし、あんちゃんは妙な事に気が付きました。


「ちょっと待った!今、冥府の神って言わなかったか?まさかロボス、お前は」

「そうさ。この俺はハデス様ってわけだ」


そうだったのです!ロボスの正体とは、ウロボロスでもディアボロスでも無く、天空神スーパーゼウス、大海神スーパーポセイドンと兄弟だった、冥府の神スーパーハデスだったのです。


「マジかよ〜!」

「あははは、マジだぜ。あんちゃんさんがいくらスーパーゼウスの名前を呼んでも、全く答えなかったろう?」

「おお、そうだった。あれは何でなんだ?」

「それは俺達兄弟にとって、この星での役目が終わったからなのさ」

「この星での役目?」


あんちゃんは???でしたが、ハデスの横顔は何やら寂しげな瞳を浮かべながら、あんちゃんに自分達の生い立ちを話し始めます。


「その昔俺達三兄弟は、タイタンという連中から命令され、この星で生態実験と監視していたんだ。ところが連中はこの星の生態系に異常があると主張し始め、破壊を命じてきた」

「うっひょ~!」

「我ら三人は断固としてそれを拒否し、タイタンの連中と長き戦いを繰り広げ、ようやくこの星を守ったのだ」


あんちゃんは頭の中がこんがらがっていましたが、なんとか理解しようとしています。


「まぁ~ハデス。細かい設定は良く分からないが、とりあえず、あんた達は俺達人類を守ってくれたわけだな?」

「フッ。そう思ってくれると光栄だ。時に生態系の実験が失敗すれば、ミノタウロスなど、お前達からすれば化け物を作り出したのも事実さ」


するとあんちゃんはハデスの肩に手をまわして、同情をし始めました。


「俺も分かるよ、ハデス。幼い頃、結構おねしょしちゃったからさ。でもよ、過ぎた事をクヨクヨしても仕方ねーよ」

「え?」


別にハデスはクヨクヨしているわけじゃないのですが。。。


「ほれで、ハデス。役目が終わったスーパーゼウスやスーパーポセイドンはどうしたんだ?」

「そうだな、いうなればもう別の星に行っちまったのさ」

「星?なんじゃそりゃ?」

「まぁ、そこら辺の説明は面倒だから、とにかくこの地上にはいないって事さ」

「へ~。どうして役目を終えたのさ?」

「そうだな。この宇宙には、俺達を必要とする他の星が、山ほどたくさんあるからさ」

「そっか。良く分からねーけど、助けが必要なら行って来いよ!」


あんちゃんは満面の笑みを浮かべ、快くハデスを送ることにしました。すると、スーパーハデスはあんちゃんにある提案をしてきます。


「それでだ、あんちゃんさん。俺もそろそろ、兄貴達と同じくこの地上からオサラバしなきゃいけない。だが、それには後継者って奴が必要なんだ」

「何の為に?」

「まー、人類を統率する為にだな」

「へー」

「それで、あんちゃんさんには是非、俺の後継者になって欲しいのさ」

「ええ!?俺が!?」

「どうだ?世界中から慕われるし、スーパー有名人にもなれるし、多くの女性からも好かれるんだぞ?」


しばらくあんちゃんは腕組んで考え込みます。結構考え込みました。本気で考えました。だってチェリーが卒業できるかもしれなかったからです。


30分後……。


「うーん、俺はパスするよ」

「な?!どうしてだ?だって、あんちゃんさんは、世界中でビッグに成りたかったんだろ?」

「なんちゅうか、そういうのって、俺の柄じゃねーんだわ」

「へ?柄じゃない?」

「ああ。むしろユダの方がいいと思うんだ。あいつガッツもあるし野心もあるしよ、もうちっと真面目になってくれれば、上手くみんなをまとめてくれるさ」


ハデスは険しい表情で、あんちゃんを睨み返します。


「また、お定まりのお人好しかい?」


しかし、あんちゃんは笑顔でニコニコ答えました。


「いや、ハデス。世界中にたった一人ぐらい、俺みたいなバカがいてもいいだろう?」


その表情には、一点の曇りはありませんでした。


「フッ、負けたよ、あんちゃんさん」

「勝った負けたじゃねーさ、ハデス。あるかないかなのさ」


人差し指をピンと伸ばしたあんちゃんに、ハデスは完敗でした。あんちゃんの前向きで陽気で優しい性格を認めるしかありません。


「分かったよ、あんちゃんさん。俺の後継者はユダに任せる」

「ありがとう!これであいつも満足だろう」

「ただし、あんたの名前と肉体を使ってだ」

「おう、いくらでも自由に使ってくれい」

「ではあんちゃんさん。あんたの魂はこれでゲームオーバーだ」

「フッ、仕方ねーよ。始まりがあれば、終わりもくるだろ」


あんちゃんは目を閉じて、自分がいなくなる事を覚悟します。しかし、ハデスは一つなにかを思い出したようです。


「あんちゃんさん」

「うん?なんだ」

「もし自分が生まれ変わるとしたら、何になりたい?」


するとあんちゃんは再び腕を組んで、真剣に考え込みます。考え込んだ末に、ポーンと手を叩いて答えました。


「やっぱり俺は俺のまんまがいいぜ。大工の息子でよ。今度はこんな面倒な事に巻き込まれない感じでさ」

「なるほど」

「それと、できれば、その〜」

「うん?」


あんちゃんは赤面とモジモジしながら、何か言いにくそうにしてます。ハデスはじっと待ってます。深呼吸をしたあんちゃんは目を閉じて大声で叫んだのです。


「生まれ変わったら、チェリーじゃない人生も送りたいっす!!(≧∇≦)/」

「あっはっはっは!やっと正直になったな?!」

「う、ういっす(o^^o)」


ハデスはあんちゃんの天真爛漫な姿に、心から笑いが込み上げてきました。こんなに面白い魂を、このままゲームオーバーにするのはもったいない気がしたのです。


「よーし、いいだろう」


するとハデスはあんちゃんの両肩に手を乗せて、おでことおでこをくっつけます。


「ば、ばか!ハデス、お前とじゃなくて!」

「あははは、分かってるよ。黙って目を閉じてろ」

「そうやって、俺の唇を奪うつもりなんだろ?!」

「違うって。メディテーションをだな」

「いいや!俺は騙されねーぞ!俺が目を開けたままやってみやがれ」

「それじゃ輪廻転生ができないんだって」

「輪廻転生?ブッダみてーな事を言いやがって!この異端野郎」

「うるせ〜!今さら異端もくそもねーだろ」


30分後……。


シュビビビーーーーン!


やっとこさあんちゃんに納得してもらったハデスは、ようやくあんちゃんの魂をある時間軸に届ける事ができました。


「全く、最後まで笑かしてくれる魂だったぜ」


ハデスは地上の世界を見下ろしました。そこには地面から石を取り、十字架で磔にされたあんちゃんへ石を投げつけようとしているカヤパの姿がありました。


「さてと、あとは、あんちゃんさんの肉体をどうするかだな」


続く

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