第百三十九話
<大工のあんちゃん最終章 成就!ゴルゴタ丘での最期のライブ編!!>
「ご婦人よ!!!!鎮まるのだ!そこにあなたの子がいる限り、そこにあなたの母がいる限り!」
ぽか~ん。
あんちゃんの言葉に、マリア母ちゃんも、マグダラのマリヤも、カヤパもロンギヌスもカッシウスも、ゲスタスも、チェリー臭いディスマスもチョ~~~~~~~~~意味不明です。
「フフフ、勝負あったな」
あんちゃんは不敵な笑みを浮かべながら、場の雰囲気を掻っ攫った自分の発言に自惚れ状態です。
ポカ!
「あいた!だ、誰だ!?サンダル投げたのわ!?」
「自分の母親に向かって、ご婦人だって??一体どういうつもりなんだい?」
「な、母ちゃん!?」
そうです。マリア母ちゃんは、もう一個のサンダルをあんちゃんの頭にめ掛けて投げてました。
ポカ!
「あいた!な、なにすんだよババア!?」
「今度はババアですって!?この馬鹿息子は!」
「くっそう!ババア!自分の息子の言葉も信じられねーのかよ?」
「信じるも何も、あんたの予言めいた言葉は意味不明なのよ!」
「ウソ。。。」
「本当よ!大体、あんたの虚言癖でみーんな迷惑しているのがわからないのかい!?」
これはロボスの言葉よりもボディブローが強烈でした。実の母親からズバっと虚言癖と言われちまったのです。因みに虚言癖とは、虚偽性障害、統合失調症、妄想性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害などなど。チェリーで中二病なあんちゃんは、ズバリ!全部入ってます。
「くっそう!ババア!俺は今磔にされてるんだぞ!少しは自分の可愛い息子を、労わったらどうなんだよ?」
「自分の母親をババア扱いする放蕩息子なんて知りません!」
「そんな~!母ちゃん~!」
「少しはその十字架で頭を冷やしたらどうだい?」
「それはソクラテス先生のエピソードだっちゅーねん!」
あんちゃんはなんだか寂しくなりました。自分は元ニートで大工のあんちゃんだったのですが、なんちゅーか世界中でビッグになることを夢見ていただけだったのに。
「そうさ。俺がどんな思いで哲学ラッパーから、ロックスターを目指したことか。。。」
気が付いたらミラクルを起こしたと崇められ、世界を救う救世主と叫ばれ、気が付けばローマ帝国に反逆した罪で磔刑。自分はただ、愛と平和を高らかに謳い上げたかった、愛の伝道師ロックスターに(ついでにチェリーも卒業して)なりたかっただけなのに。
「畜生、なんだか喉が渇いてきたぜ」
そんなあんちゃんを不憫に思ったロンギヌスは、槍の先にスポンジを付け、八年物のヴィンテージワインを染み込ませ、あんちゃんの口元に近付けました。
「さぁ、飲め。ナザレの大工」
「ロンギヌス旦那、ありがとうな」
「男は落ち込んだ時には、やっぱり酒だよ酒」
「だよな~。最近肝臓の値が高くなってから、ずっと禁酒禁煙でよ~」
実は作者と同じく熱が上がったり下がったりを繰り返してたのです。久しぶりのワインにあんちゃんはぐびぐび飲みました。
「おお?大工、結構いける口じゃねーか」
「だっはははは~。これでもアニキからは大酒飲みって非難されたぐらいだからよ~」
実はあんちゃん、ヴィンテージワインで悪酔いする性質なのです。だんだん酔っぱらってきたあんちゃんは、次第にむかっ腹を立てて怒りだしたのです!
「だいたいよ!俺はロックスターになりたかったの。分かるか?ロンギヌスの旦那。それなのになんだって、こんな所で磔にされなくちゃいけねーんだよ」
「うんうん、そうだな。分かられれるるぞ~」
結構ローマ兵の隊長ロンギヌスは下戸でした。既に酔っぱらってます。
「こんな所に磔にされたら、おしっこしたくてもできねーじゃんか!」
「うんうん、そうりゃな、分かるぜろろ~」
おしっこ我慢してだんだんイラついてきたあんちゃんは、自分を陥れる運命にも嫌気がさしてきて、遂に罰当たりな事を叫び出したのです。
「やい!天空の神よ。あんたが本当に正しい事をする神様なら、今行われている不正をただして見やがれ!」
しかし天は何も答えません。いくらコメディ小説でもそんな都合良い展開は訪れません。さらにイラついたあんちゃんは、今度はスーパーゼウスに喧嘩を売り始めました。
「ちっくしょう!この野郎!なんとか言ったらどうなんだ?!神様って言われているわりには、随分と自分勝手に女とヤリまくってるそうじゃねーか!くっそう!羨ましいじゃねーか!一度くらいよ、神憑り的な奇跡を起こしてみやがれ!」
ポカン!ベチャ!スカターン!
「あいて!誰だ!?腐ったミカンを投げつけたのは?」
あんちゃんのセリフを聞いた民衆が怒りだしました。
「それはこっちのセリフだ!偽善者め!」
「お前こそ奇跡を起こして、その磔刑から脱出してみろ!!」
これに耐えきれなくなったあんちゃん、すかさずロンギヌスに助けを求めました。
「すまねー!ロンギヌスの旦那。またもやらかしてしまった!助けてくれー!」
しかし下戸のロンギヌスは既に出来上がってて、あんちゃんの十字架の下で、カッシウスとサイコロ賭博でチンチロリンをしている始末。
「おれの勝ちられ~カッシウス!」
「さすがロンギヌス隊長。酔っぱらってても、チンチロリンは強いですね~」
「感心してないで、さぁさぁ賭け金の12アスを出しやがられれれ~!」
それを見たあんちゃんは、もはや落胆しかありません。なんだってこの期に及んで、この酔っぱらいローマ兵士達は、自分の十字架の側で、チンチロリンなんかで遊んでいるのでしょうか?もはや民衆にも母ちゃんにも、ロンギヌス達にも見捨てられたあんちゃん。嘆きのあんちゃんは、十字架で磔になりながら、一筋の涙を流して天を仰ぎました。
「ああ!天空の神スーパーゼウスよ!何故、何故、あんたは俺を見捨てるんだ?!」
しかしそれでもなお、天は何も答えません。もともとスーパーゼウスなんていないんじゃないか?ってなぐらいに雲一つない青空。するとあんちゃんの右隣にいたゲスタスが叫びました。
「そんな情けねえ事を言うなよ!ナザレの大工。一念発起で男気を見せたんだろ?!」
「ゲ、ゲスタス、お前って奴は!」
一念発起
意 味: 仏門に入り、悟りを開こうと固く決心すること。転じて、あることを成し遂げようと強く決心すること。まぁ、あんちゃんは仏門には入っておりませんが。。。そして左隣のディスマスも叫びます。
「そうさ!ゲスタス兄さんの言う通りさ!バラバやユダを救うためだったんでしょ?僕たちは牢屋からちゃんと見ていたよ!」
「ディスマス!お前はなんて優しいチェリーなんだ!」
あんちゃんは二人の強盗達に勇気付られ、涙を流して感謝しています。
「大工のあんちゃんよ、今この状況こそが雲外蒼天!一世一代の大舞台。このゴルゴダの丘から、思いっきり世界中に叫んでみろ!」
「そうさ!それで、僕らを天空の城へ連れてって頂戴!」
雲外蒼天
意 味: 困難を乗り越え、努力して克服すれば快い青空が望めるという意味。
「そうだな、最後のライブだ」
ゲスタスとディスマスは、あんちゃんにニヤっと笑いました。その時、あの洗礼者ヨハネであるアニキの声が囁きます。
"ナザレの大工よ、お前にしかできない一発をかませ!"
「アニキ!!」
あんちゃんは目を閉じて、何度も深呼吸します。そしてアニキの言葉に導かれるように、腹式呼吸でシャウトして大声を出しました!
「みんな!ありがとう(^_^)Y」
あんちゃんの顔文字つき感謝の言葉が、そこにいたみんなの心を捉えました。
「センキューベリーマッチ!(≧∇≦)Y」
更に人懐っこいあんちゃんの陽気な笑顔が、みんなの心を癒したのです。そこには自分の復讐心を必ず成就しようとしていたあんちゃんはいません。そこには爽快な青空で、心地良い夏の微風が心の全てに流れているあんちゃんだけがいるのです。
「全てが終わった。これで良いんだ」
するとあんちゃんが微笑みながら、ロンギヌスにあることを頼みます。
「ロンギヌスの旦那。その槍で思いっきり俺をぶっ刺してくれ!」
続く




