結果オーライ
「しかし、なんでこんな所に穴が開いているんだろう。まるで、中から何かが出てきたような開き方だな……」
完全に骨になったダークタイガーを検分していたサクセスは、疑問に思う。棺の底には大きな穴が開いていて、内側から外に向かって開いていた。
「おい。そんなのいいから。帰るぞ」
レオンがそういったとき、何かの叫び声が聞こえてきた。
「オオーム」
慌ててそっちを見ると、先ほど倒されたはずのアイスゴーレムが復活している。
「よし。次こそ俺に任せろ」
レオンは光の剣を振りかざし、切りかかっていった。
「えいっ!『太陽剣』」
剣から出た光がゴーレムを切り裂き、その体を作っている氷を溶かす。
しかし、溶けた氷は一瞬で再び凍りつき、切断された手足も元どおりになった。
「くそっ!」
焦ったレオンは狂ったように切りかかるが、アイスゴーレムはそのたびに再生を繰り返す。
「無駄だ。あの石炭で出来た核を砕かないかぎり、何度でも復活する」
『鑑定』のメガネでゴーレムを見たサクセスは、そう分析する。
「どうやって核を砕くの?氷が厚すぎて、剣で刺しても届かないよ」
エリサベスは焦った声を上げる。その隣でシャルットも震えていた。
「まてよ。あのゴーレムの動力源が石炭ということは、動くには補給しないといけないわけだよな」
冷静に観察していたサクセスは、そう結論づける。考えていると、ゴーレムを倒す方法を考え付いた。
「ええい。仕方ない」
サクセスは、ガス灯の下部についている箱を開け、中の魔石を取り出す。それはエレルの風魔法を付与されたものであり、大量の石炭ガスを蓄積していた。
「ほら、餌だぞ!」
魔石を放り投げると、アイスゴーレムは拾い上げて体内に入れる。
「思ったとおりだ!よこせ!」
疲労のあまり肩で息をしているレオンの手から『光の剣』を取りあげる。同時に自分の体に魔力を『付与』した。
神経を通じて肉体に魔力が供給され、一時的に筋肉を強化する。
「えいっ!」
光の剣を投げつけると、意外な勢いでとび、アイスゴーレムの胸に突き刺さった。
「グゲッ!」
口から大量のガスを噴出していたゴーレムは、熱に引火して大爆発を起こしてしまう。
ゴーレムの体は木っ端微塵に砕け散るのだった。
「よし。これが核だな」
サクセスは砕け散ったゴーレムの体から核を取りだし、地面に叩きつける。
パンという音を立てて、核は爆発した。
「あれ?王子が倒すはずなのに、執事が倒しちゃった。こういう分岐ルートもあるのかな?」
それを見て、シャルロットは首をかしげている。
「どうですか?サクセスって結構強いでしょう」
「う、うん」
そんな彼女に、エリサベスは自慢そうに笑いかけた。
「まあ、小さい頃から自分なりの戦闘訓練を続けていたからな」
「私を守るためによね」
エリサベスはサクセスに信頼しきった目を向ける。
「違う。商人には体力も必要なんだ」
「またまた。そんなこと言っちゃって」
上機嫌な彼女を放っておいて、サクセスは光の剣を拾い上げる。そして呆然と立ち尽くしているレオンに話しかけた。
「レオン様。ありがとうございます。あなたが勇敢に戦ってくれたおかげで、アイスゴーレムを倒せました」
そう褒められて、レオンは自信を取り戻した。
「そ、そうだよな。実際に戦ったの俺だもんな。お前はちょっと止めを刺しただけだよな」
「ええ。この剣の所有者にふさわしい戦いっぷりでした。これはあなたのものです」
サクセスから差し出された光の剣を、レオンは意気揚々と受け取った。
「よし、帰るぞ」
剣を振り回しながら帰途につくレオンを、シャルロットは複雑な目で見つめていた。
(ううーん。確かに結果だけみればゴーレムは倒されて、光の剣は王子のものになったけど、果たしてこれでいいのかしら。あんまりシナリオルートから外れると、私の婚約破棄の未来が……)
自分の未来に不安を抱くシャルロットだった。
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