閑話 「六家ジュニア」達はとっても仲良し♪
以前、ブログにアップしていた番外編を閑話でアップしました。
本編の更新ではありませんが、宜しければご覧になってください。
「六家ジュニア」達はとっても仲良し♪
まず「六家ジュニア」達の中で誰が苦手?と聞いたら真っ先に上がる名前は侑一である…。
「あいつは悪魔だ!
恐怖の大魔王の転生した姿だ!
今迄彼奴の行った数々のいたずらの所為で、俺は…、俺の人生は!」
目を血走らさせ、はあはあと息を弾ませながら真摯に訴える輝に、皆、見てはならない姿を見た…と心の中で深く同情していた。
それはそうであろう。
「六家ジュニア」きっての、冷静沈着で何事にも動じない怜悧な様を醸し出している「あの」輝が侑一の事になるとまるで別人。
「鳳凰」の間で、一つも取れないクレーンゲームを必死になって行う姿は笑いを通り越して哀愁すら感じる。
余りの悲惨な姿にかける言葉が見つからない。
辛うじて豪だけが、輝の心情を慰めようと苦笑を漏らしながら言葉をかけるが。
「余り深く考えるな輝。
侑一にも良い所が沢山ある。
だからそう…」と訴える豪に鋭い一声が言葉を遮る。
「豪…。
お前、それ本心か…」
冷ややかに見つめる輝に豪が困惑しながらも「ああ…」と答える。
「豪。
お前は本当に馬鹿だ…!」
「輝」
「お前のその考えがある様で無い無責任な言葉に俺は、たまに切れそうになる」
輝の豪に対する批判的な言葉に孝治、克彦、雅弘はただただ黙って傍観するのみ。
触らぬ神に祟りなし…。
それが三人の心情だった。
ぶっちゃけ関わりたく無いというのが本心である。
「それどういう意味だ、輝」
少し不機嫌な様で問いただす豪に、輝が冷たく一言言う。
「言葉通りだ。
お前、本当に人の心情と言うモノを解っているのか?」
「輝、よせ…」
割り込んで会話を遮ろうとする孝治に、豪が孝治を制する。
「お前はどうしてそうなんだ?
何時も何時も侑一の肩を持って。
昔の事があったとしても、お前は侑一を甘やかし過ぎている。
それが侑一を更に増長させていると思わないのか…?」
輝の言葉に、一瞬、黙り込んだ豪はふと、笑う。
豪のくつりと笑う様に輝が怒りが更に高まる。
「お前も本当に馬鹿だな、輝…」
豪の言葉に、一瞬目を見張り惚ける輝。
少しの間、「鳳凰」の間に緊張が走る。
目を細め急にくすくす笑い出す豪に、ふううと輝が嘆息を漏らす。
「お前が侑一の事で過敏に反応するのは、お前も侑一が大切だから、だろう?」
豪の言葉に思わず咳き込む。
「お、お前、何たわけた事を言っている…!
冗談でも言っていい言葉とは思っていないだろうな…。」
と反発しながらもそれ以上の言葉を続けない輝に豪が優しく微笑む。
「そうやってお前も侑一が昔の様に何時、暴走しないか心配しているからいたずらに過剰反応するんだろう?
そうでは無かったらお前の性格なら、あれくらいの事では動じないだろう?
そうだろう、輝…」
苦笑まじりの豪の言葉に輝がぷい、とそっぽを向く。
豪と輝のやり取りに孝治達が空気を和らげ雑談し始める。
「やっぱり豪の方が一枚上手、か」
「輝の事に関しては、と付け加えておいた方が良いだろう…」
「ええ〜。
雅弘に関しても豪は最強だと私は思うが」
「…」
「克彦に関しては…、」
「私に関しては真季子だけだ」
けろりと真顔で発言する克彦に微妙な空気が流れる。
「…それでいいのか」
ぽそりと呟く雅弘に孝治が、「あれで克彦は幸せなんだからいいのだろう」と淡く微笑む。
「お前は誰なんだろうな」
急な雅弘の言葉に孝治がふふと笑う。
「知りたいのか?」
からかいながら問う孝治に雅弘が、無言を通す。
「…お前がその性格で良かったと俺は思うよ。」
「…」
「…そろそろ主催者が到着する時間だな…。
自分が話のネタになってるとは、思っていないだろうな。」
「いや〜、侑一の事だから何処かに隠しカメラを設置して一部始終見ているのではないのかな〜」
満面の笑みで答える克彦の言葉に、一気に部屋中の温度が下がり表情を無くす。
輝の背中にたらりと冷や汗が流れる。
「こ、今度はどんな報復を…」と顔を引き攣らせながら呟く輝の言葉を遮るかの如く扉が開く。
「遅くなってご免」と極上の笑みで輝を見つめながら言葉をかける侑一に、皆の心の中に一つの言葉が浮かぶ。
(ああ、今日もまた輝は侑一の餌食になるのか…。)
何かを察した侑一が目を細めながら言う。
「僕にとって誰が最強かは…、愚問だよね〜」
やっぱり隠しカメラで一部始終見ていたのか…。
「さて、今日も楽しく集いを始めよう」
その後、輝の身に何があったのかは…、皆様のご想像にお任せします。
「ムーン」様でアップしている「マスカレード」で春菜と侑一が登場しています。3年後の話になりますが、相変わらずな二人です♪