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もふもふとスローライフ、たまに世界を救うくらいで 〜ちょっとおかしなもふもふと暮らしています〜  作者: はかんどぅ


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5.少しだけいつもと違うもふもふ

朝、目が覚める。

いつも通り――と言いたいところだけど、今日は少し違った。


顔にしっぽが乗っていない。


「……珍しいな」


起き上がる。

横を見ると、ユラはいた。

ただ、いつもより少し離れた場所で座っている。


「どうした」


声をかけても、すぐには来ない。

しっぽが、ゆっくり揺れる。

でも、その動きが少しだけ固い気がする。


「……なんかあったか?」


立ち上がると、ユラは視線を外に向けた。

そのまま、すっと外へ出る。


「おい」


慌てて後を追う。

外に出ると、ユラは家の前で止まっていた。

じっと、森の方を見ている。


動かない。

しっぽも、あまり揺れていない。


「……そっちか?」


なんとなくそう言うと、耳がぴくりと動いた。

でも、それ以上は反応しない。


「……行くのか?」


少し考えてから、歩き出す。

ユラは少し遅れてついてきた。

いつもの距離。

でも、空気が違う。




森に近づくにつれて、妙に静かなことに気づく。


「……こんなに静かだったか?」


鳥の声も、ほとんど聞こえない。

風の音だけが、少しだけする。


ユラは前を歩いている。

昨日と似た動き。

でも、もっと慎重だ。


何度も立ち止まる。

周囲を見る。

それから、また進む。


「……いるのか?」


小さく呟く。

答えはない。


でも、ユラの様子がそれを示している。

しばらく進んだところで、ユラが止まった。


完全に止まる。

その場から動かない。


「ここか?」


近づく。

特に何もない。普通の森だ。


……いや。


「……なんだこれ」


地面の一部が、少しだけ荒れている。

踏み荒らされたような跡。

でも、足跡がよく分からない。

形が曖昧だ。


「動物か?」


しゃがんで見る。

新しい。

ついさっき、って感じだ。


ユラを見る。

しっぽが、ゆっくりと揺れている。

でも、完全にリラックスしている動きじゃない。

少しだけ、警戒が混じっている。


「……あんまり良くないやつか?」


そう言うと、ユラが一歩だけ前に出た。


それから、すぐに戻る。

それ以上は進まない。


「……行くなってことか」


その場で立ち上がる。

少しだけ考える。

無理して進む理由もない。


「戻るか」


そう言うと、ユラはすぐに向きを変えた。

迷いはない。

帰る方向だけは、はっきりしている。




村に戻ると、いつも通りの空気だった。

人の声もするし、子供も走っている。


「……こっちは普通だな」


軽く息を吐く。

気づかなかったが緊張していたらしい。

横を見ると、ユラのしっぽがいつも通りに戻っていた。

ゆっくり、大きく揺れている。


「さっきの、なんだったんだろうな」


軽く撫でる。

ユラは何も答えない。

ただ、しっぽで軽く触れてくる。

気にするな、と言っているようにも見える。




家に戻る。

少しだけ考える。


さっきの跡。

あれは明らかに普通じゃなかった。

でも――


「……まあ、いいか」


深く考えても仕方ない。

今すぐどうこうなる感じでもない。


そういうのは、大体そのうち分かる。

横を見ると、ユラがいつもの位置にいる。

さっきまでの様子が嘘みたいだ。


「お前、分かってるんだろ」


そう言うと、しっぽがゆらりと揺れた。

肯定なのか、ただの癖なのかは分からない。


「……まあ、いい」


そのまま座る。

しばらくすると、ユラが隣に来る。


自然な動きで。

しっぽが、軽く触れる。


「いつも通りだな」


呟く。

さっきの違和感は、もう薄れている。

でも、完全に消えたわけじゃない。


「……そのうち、か」


小さく言う。

ユラは何も答えない。


ただ、しっぽがゆっくりと揺れていた。

いつもと同じ動きで。

それが少しだけ、安心できる気がした。

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