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網目模様の途中  作者: 河野 与一
網目模様の巡
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第一歩

 アナウンスは長野駅へ到着することを知らせた。陽菜を乗せた新幹線ドアはプシューッと開き、陽菜はこれから始まる長野での生活の第一歩を踏み出した。東京より寒い。「善光寺口」を探す。ママが迎えに来てくれている予定だから。東京駅は奥の奥までビルが建ち並んでいるが長野はビルの向こうはもう山の景色。本当に長野に来たんだ。入試の時に来たきり、2回目。入試の時は緊張してまだわからなかったけど、今回は決心して長野に来たから。入試の時とは景色が違って見えた。長野駅のこの景色も日常になるのかな。

改札を抜けると笑顔で大きく手を振ってくれる人がいた。ママだった。最初、わからなかった。スボンにスニーカー姿だったから。ママは東京ではスカートにパンプス姿が多かった。髪もネイルもお洒落で抜かりなかったのに。流石に農作業姿じゃなかったけど、長野の生活感というものを感じた。

「陽菜、来てくれたのね。こっちは寒いでしょう。大丈夫?」

何年か振りのママの優しさに触れた。

「ありがと。迎えに来てくれて。寒くないよ、大丈夫だよ。」

ママは私を抱きしめた。

「お昼は?どっかで食べてく?」

「ううん、和香さんがおにぎり持たせてくれて、新幹線の中で食べたから大丈夫。ママはまだなの?」

「和香さんに感謝ね⋯ママはお昼はまだだよ。じゃあ、家に帰っていいのかな?おじいちゃんとおばあちゃんが待ってるよ。荷物の整理しなきゃね、明日もう大学のガイダンスがあるでしょ?」

歩きながらママと話し、明日からもう現実的に看護学生の日常が始まることを実感した。

車はコインパーキングに停めてるからと案内してくれたのは軽トラックだった。

「ママが軽トラ運転してるなんて。」

ちょっと、びっくりして正直な感想を言ってしまった。

「あはは、びっくりした?一応、高橋りんご園の代表だからね!おじいちゃんは引退?勇退?したから。」

おじいちゃんとおばあちゃんは一線を退き今はママが中心となって高橋りんご園をやっているとの事だった。

「いつもはモカも乗せてくるんだけどね、今ね、留守番してるよ。」

ママが農作業の時はモカを園まで連れて行くらしい。

モカ⋯私が辛いときにも側にいてくれた。早く会いたい。

駅から車で更に40分位かけ、やっと高橋りんご園に着いた。

「陽菜ちゃん、良く来たね。」

おじいちゃんとおばあちゃんも優しく迎えてくれた。お昼は食べたと言ったのに野沢菜のおやきを出してくれた。ママが私が食べる!と頬張っていた。

「これから宜しくお願いします。」

これから4年間お世話になるから。和香さんがおじいちゃんとおばあちゃんにも挨拶しなさいね、と教えてくれたから。勿論ママにも挨拶して。もうこれから4年間は頑張ってやっていかなきゃ。途中で投げ出したらかっこ悪いし和香さんとパパに申し訳ない。ちゃんと看護師になって大輝先生を迎えにいかなきゃ。その時モカがワン!と自己アピール。

「モカ!覚えてくれてたの?ありがとう。」

ちぎれんばかりに尻尾を振るモカを抱きしめた。会いたかったよ、モカ。



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