第2話 〜邪魔なんです〜
ーー昼休みーー
「今日はチョコクロワッサン作ってきました」
そう言い明日葉は、パンが入った袋を机に置く。そして、いつもの様に俺達は明日葉に感謝しながら袋からパンを取る。そして、口にクロワッサンを運ぶ。食べた瞬間、口に広がるサクサク感と、丁度いい甘さ。いつもの如く美味すぎる。
「いや、なんでこんなに美味いのか……俺は本当に分からない……。なんでだ……? 水分量が違うのか? 折っている回数が違うのか? もしかすると、明日葉さんが作ってないのか?」
渡が、半分食べた、クロワッサンの断面を見ながら考察をする。
「それは、私も思った! 絶対に明日葉ちゃんのお手伝いさんに作ってもらってるよな!?」
「……それは、私も思ってる。こんなに美味しいパンが簡単に作れるはずがない」
3人が同意見になり、ちょっと怒る明日葉。
「本当に、美味しいと思ってくれていて嬉し反面、私がこれぐらいの普通のパンを作れないと思ってるのが心外です」
「いや、これは普通じゃないんだけどな?」
いつもの、ごく普通の会話。檸檬が戻ってまだ24時間も経ってはいない。なのに、俺達はこんなご普通な会話をしていても物凄く楽しい。
だが、そんな幸せは一瞬のうちに無くなるは俺は知らなかった。
「すいません、先輩方。私も会話に入ってもいいですか?」
俺の机の横から顔だけがひょこっと、出した誰か。だが、その顔は違和感があった。その、顔にはひょっとこのお面を被っていた。
声と服装で判断するが、女の子だろう。容姿は、髪がピンクで、小柄な体格としか分からない。
しかも、この制服は中等部の子だ。そんな、突如として現れた、変な女の子。皆はその女の子に困惑する。
その困惑を慣れているのか、普通に自己紹介をす?。
「あー、すいません。まだ、自己紹介がまだでしたね。私は、中等部3年、小林鈴です。このお面はひょっとこが大好きなので。そして! 新聞部の仕事できました」
「新聞部だって!? 新聞部が、私達に!?」
席を立ち上がり、大声を出して、鈴を警戒する紗夜。何故、そんなに警戒する理由が分からない。
そんな、紗夜を落ち着かせる為に、鈴は来た理由を喋る。
「大丈夫ですよ、紗夜先輩。今回の新聞部の仕事は、紗夜先輩達の、密着です! その意味は分かりますね?」
密着か……朝の檸檬の人気があれ程なら理由は分かる。だが、紗夜がそんなに慌ててる理由が分からない。
「まぁ、新聞部が密着ってことは何となく理解出来るけど、なんで、紗夜は新聞部にそんなに、警戒してるんだ?」
「そうですね。私も何故、そんなに警戒しているか分からないのですが……」
皆の顔を見ると、俺と明日葉だけが、新聞部について知らないと分かる。あの、渡でさえ、顔が暗くなっている。
そして、渡は俺と明日葉に新聞部の事を説明する。
「新聞部って奴は、鳩背高校の3大勢力の1つのグループだよ」
3大勢力? アニメとかに出てきそうな言葉だな。だが、それだけじゃあ、意味が分からない。俺は、その疑問を口に出すのを止め、渡の話を聞きつづける。
「新聞部の、活動は多岐に渡ると言われててな。まずは、生徒への取材や、密着。それを新聞にして、学校内で売っている。1つ500円もするが、それほど価値のあるものだと俺も思っている」
1つ500円か……高すぎないかと思う自分がいる。
「そして、新聞部の宣伝の上手さがこの学校を支えている1つの柱だ」
「宣伝の上手さ? そんなの、大人に任せとけばいいんじゃねぇのか?」
「それが、生徒の方が宣伝活動のやり方が上手い。だから、県外からこの学校への入学の応募が後を絶たない」
俺は、また1つの疑問が浮かんだ。この学校の生徒数は一般の学校と変わらない。しかも、試験の内容も普通だった。俺はその、引っかかる謎を考えながら渡の話を聞く。
「そして、3大勢力と言われいる最大の要因は――――」
「私達が全体生徒の9割の人達の、秘密を知っているからです」
渡の言葉を遮り、話し出した鈴。生徒の9割の秘密を知っている? その俺の謎は一瞬で解決する。
「例えば、檸檬先輩は学級崩壊を起こしたとかですかね?」
その鈴の言葉に体をビクンっ! と震わせる檸檬。
「今回の密着では、高等部に突如として現れた、才色兼備のグループ、そのグループの謎を暴く! という記事にしたいのですが……彼方先輩は物凄く、顔が平凡なので、普通に邪魔なんですよね」
体をつかって、演劇のように説明した鈴。最後の俺のディスリにツッコもうとしたが、この先の展開は大体読めた。
「なので、檸檬先輩の秘密をバラされたくなかったら、数週間、学校にいる時や、放課後の時間に先輩達と話さないでください」
思った通りだ。こういう事に、他人の秘密を使わなければ使い時なんてないだろ。タチが悪いな新聞部は……
「……彼方、この申し出は受けなくていい。私は、そんな事をバラされても痛くも痒くもない。彼方と、数週間も一緒に居れないのは絶対に嫌」
無表情で言う檸檬。そんな檸檬を見て俺は笑う。こんなに、苦しい秤をするなと。
「馬鹿だな。お前が苦しむくらいなら、俺は別にいいよ。分かった、お前の申し出を受けるよ、鈴」
檸檬は、俺の言葉に猛反対する。
「……彼方! それは―――」
反対しようとする檸檬だからこそ俺は、檸檬に優しく、暴言を吐く。
「黙れ。俺はお前が苦しむ方がもっと嫌だから」
俺達の会話が終わったと察知し、鈴は喋る。
「あ、因みに電話ぐらいはいいですけど、私がもう会ってっていいよって言うまで、絶対に会わないでくださいね」
「分かった。お前のことだから一緒にいちゃいけないのは今からだよな?」
「良く分かってるじゃないですか。その通りです」
「分かった。じゃあ、俺は1人でご飯を食べるよ」
俺は席を立ち、教室を出ようとする。
「……彼方……!」
檸檬の寂しそうな声に俺は、檸檬達の方を向いて喋る。
「同じクラスなんだし、喋れないけど会えるだろ? 数週間ぐらい我慢しろよ」
俺はそう言い、教室を出た。
どうも、明日も投稿する犬三郎で〜す。2日連続投稿なのに、明日の小説はまだ全然書いてない犬三郎です。
はい、今回はクロワッサンが美味しそうな回でしたね。これを機に、明日葉達はでる回数が減ると思います。その代わり、加奈や、美咲、そして健が出てきます。
後、鈴の喋り方が突然変わるかもしれませんがご了承ください。
by ちょっとスランプ気味の犬三郎




