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第21話 〜行ってらっしゃい!〜

第21話登場人物名前


小泉彼方:こいずみ かなた


小泉紗夜:こいずみ さや


安野渡:やすの わたる


日代明日葉:ひしろ あすは


連城成一:れんじょう なるい


星野檸檬:ほしの れもん

「ただいまですー!」


今は午後4時。明日葉の家から帰ってきた檸檬。大声でただいまの言い家に入ると、檸檬のお母さんがリビングから玄関に来た。


「おかえり檸檬ちゃん。どうだった、お泊まり会は?」


「凄い楽しかったです! 明日葉ちゃんの家は凄ーーーい豪邸でした!」


腕を大きく広げ、明日葉の家のデカさを表現しようとする檸檬。


「そう。楽しかったなら良かったわ」


その微笑ましい、姿を見て微笑む檸檬のお母さん。そして檸檬は、お母さんに真剣な顔をして喋る。


「お母さん、ちょっと話したいことがあるんだけどいいですか?」


その真剣な表情に、その話の事を気になるように檸檬のお母さんは喋る。


「なになに? 何か大切な事でも話すの?」


「うん、ちょっと大切な話ですね」


その声色に、本当に真剣な話を話すと分かり、何を話すか考える檸檬のお母さん。


檸檬と檸檬のお母さんは、リビングに行きソファーに座わった。檸檬と、お母さんは対極な位置ですわる。


「それで、話したいことってなに?」


優しく語りかけるお母さんに檸檬は笑顔で答える。


「私、元の私に戻るって決めました。まずはお母さんに言って、その後はお父さんに言おうかなって思ってて」


その檸檬の言葉に、檸檬のお母さんは唖然とする。それを見て、檸檬は大事な言葉を忘れたと思い出し、喋る。


「でも、大丈夫ですよ。また、私は戻れるように、元の私と今の私とで頑張りま……お母さん?」


檸檬のお母さんは泣いていた。目から雫が垂れていた。それを見た、檸檬は見慣れないお母さんの涙に困惑する。


「ごめんね。お母さん、こういう時どうすればいいか分からなくて気持ちがグチャグチャになっちゃって」


檸檬のお母さんは日々、檸檬の事を考えていた。檸檬が記憶喪失なってからずっと、ずーーーっと檸檬の事を考えていた。渡から言われた、檸檬が元の檸檬に戻るれるという可能性を言われ、嬉しいっと思った。だけど、その後に罪悪感に襲われたのだ。今の檸檬も、自分の子供。それなのに、元の檸檬に戻るということを嬉しがったことに、罪悪感に襲われた。


だが、それは何の解決にもならない。だから、日々、元の檸檬と、今の檸檬を幸せにする解決策を探していたのだ。だが、その解決策は見つからなかった。それでも、檸檬のお母さんは毎日、毎日、毎日、うつ病になるぐらい檸檬の事を考えていた。


そして、今、檸檬が言った言葉に、もうこれでこんな絶対に解けない難問に、考えると苦しくなる難問を、もう考えなくていいんだと、それを思ったことへの罪悪感に襲われ、それでも、今の檸檬とも一緒にいたいと考えてしまった。


「お母さんは、毎日私の事を考えてくれてましたよね? ずっと、知ってました。これが私の正解なんです。だから、私は元のわたしに戻ります」


それを聞いた、檸檬のお母さんは成長した我が子に対して嬉しくなった。だが、檸檬のお母さんは檸檬が元の檸檬に戻ると、決めたのだからそれを尊重しようと思ったが、家族というものはそんな簡単なものじゃない。

檸檬のお母さんは、自分の気持ちを檸檬にぶつける。


「お母さん、それでも、今の檸檬ちゃんと離れるの嫌だよ。まだ、母親らしいこともしてないよ」


泣きながら、大の大人なのに泣きじゃくれながら喋った檸檬のお母さん。


「お母さんは、お母さんらしいことを今してるじゃないですか。私の事をそんなに考えてくれるなんて、お母さんじゃないと出来ませんよ。私はそんなお母さんが大、大、大、大好きですよ!」


その言葉に涙をいっぱい流す檸檬のお母さん。


「そんなこと、言われたらもっと離れたくないよ」


決心がつかない檸檬のお母さん。だが、その決心は檸檬の言葉によって変わる。


「でも、私は戻りますよ。絶対に」


その檸檬の覚悟に、檸檬のお母さんは自分の方が子供だと自覚し、檸檬から離れ頬を叩く。


「ごめんなさい。私の方が子供だったわ」


檸檬のお母さんは、泣きながらも笑顔になり喋る。


「今日は、豪華にご飯を作っちゃう」


「やっぱり、笑っているお母さんを見ると嬉しいです」


ーー1日後ーー


「じゃあ、お母さん行ってきます!」


玄関で靴を履き、お母さんの方向を見る檸檬。それを見ている檸檬のお母さん。


「行ってらっしゃい。絶対にまた、帰ってくるんだよ」


その、檸檬のお母さんの言葉には重みがあった。絶対に帰ってきて欲しいという、母親の思いが。


「うんっ! 絶対に帰ってきます!」


「檸檬、ちょっと待って!」


檸檬が外に出ようとした瞬間、お母さんは檸檬に近づいて抱きついた。その抱擁は愛があるものだった。


「お母さん、苦しいですよ」


その言葉に我を取り戻し、檸檬のお母さんは檸檬から名残惜しく離れる。


「ごめんね。ちょっと、檸檬が行っちゃうのが悲しくて」


涙が零れる、檸檬のお母さん。


「大丈夫ですよ、お母さん。私はすぐに帰って来ます!」


「そうだよね。頑張ってね」


「うんっ! じゃあ、行ってきます!」


檸檬のお母さんに手を振りドアを開ける、檸檬。


「はい、行ってらっしゃい」


玄関出て外に出た檸檬。家の前には彼方がいた。




「おはよ、檸檬」


ここは檸檬は家の前。俺は檸檬を迎えに来た。玄関が開き、俺の方へ歩いてきた檸檬に俺は挨拶をした。


「おはようございます、彼方君!」


満面の笑みで返答した檸檬。


「それじゃあ、学校に行こうか」


「はい、行きましょう」


俺は歩きだし、檸檬は俺の後についてくる。


「そういえば、学校からこの家までの道は覚えたのか?」


「覚えました。ですけど、それが今日で意味がなくならなければいいんですけどね」


檸檬は空元気を出していることがすぐに分かった俺。


「苦しいだろ?」


こんな事を言うのは意地悪だ。ただ、俺は檸檬の気持ちを知りたい。いや、知っているはずだ、だが、俺も自覚する必要がある。


「はい、すごーーーーーい、苦しいです」


表情は見えないが、本当に苦しいと分かった。


「その苦しさは元の檸檬に絶対伝わるから、その苦しさは俺達にも伝わってるから、絶対戻ってこれる方法探すからな。だから、お前も頑張れよ」


「彼方君って励ますの凄い下手くそですね」


俺が慣れないことをするからバレてしまった。


「それは、俺もちょっと思ってる」


「「……ははは(ふふふっ)!」」


ーーお昼ーー


「今日は檸檬ちゃんのためにレモンパンを作ってきました」


その言葉にいち早く反応する、渡。


「レモンパン!? 俺、レモンパンなんて食ったことないぞ? やっぱり明日葉さんのパンが毎日食えるなんて幸せだ」


パンの事になると、性格が崩壊する渡。今もレモンパンの微かな匂いを嗅ぐために鼻をスーハースーハーしている。


「檸檬ちゃんは、酸っぱいのが嫌いだけど、このパンは酸っぱくないので大丈夫ですよ。勿論、渡君のパンはありませんけど」


冗談めかした明日葉の言葉に渡は……


「えぇぇぇぇぇぇ!? 俺のはないんですか!?」


渡の、本気の驚き。どれくらい食べたいんだよ。


「嘘ですよ。パンの事になるなら私の方が立場が上なので、やっぱり、渡君をからかうのは楽しいです」


ふふふっと笑い、喋った明日葉。その言葉に渡は安堵し喋る。


「いや、その冗談はきついですよ」


「ごめんなさい。私もからかいたい時はあるんです。まぁ、そんなことよりどうぞ、お食べになってください」


俺はこの一連の流れを見て思った事を喋る。


「たまにやるこの茶番劇ってなに?」


俺の言葉に紗夜も同感する。


「そうだな。なんで毎回、明日葉ちゃんと渡君の茶番劇があるんだろうな」


俺達の言葉に、檸檬も同感する。


「そうですね。私も明日葉ちゃんのパン早く食べたいのに」


俺達の鋭いツッコミに連城は苦笑いしながら喋る。


「それほど仲がいいということですよ。こんなことを話さず、早く食べましょうか」


俺は「そうだな」といい、5人が明日葉月机に置いた袋からパンを取り、5人で一斉に食べる。


「「「「うっ、美味い!」」」」


俺達の声が重なった。いや、このパン美味すぎじゃね?


「そう言ってくれると作りがいがありますね」


笑顔で喋る、明日葉。


「いや、毎度の事だがこれは美味過ぎないか? 俺は明日葉さんのパンがない土日は本当に最悪な2日だと思うほど、明日葉さんの作るパンは美味しいよ」


パンをまじまじ見て喋った渡。


「本当です。凄い美味しいです! 明日葉ちゃんは立派なお嫁さんになれますよ」


女の子が言われて多分、トップ10位ぐらいに入る言葉に紗夜も同感する。


「本当に分かる。絶対に明日葉ちゃんはいいお嫁さんになれるよ」


その言葉に普通に照れる明日葉。


「そんなこと言われたら照れますよ! やめてください!」


その照れる明日葉と、檸檬と紗夜が言った言葉に涙を出す連城。その姿に俺は戸惑ったが、なぜ泣いているかはすぐに分かる。


「いや、お嬢様のウェディング姿……思い浮かべるだけで涙が」


「いやいや、お前の明日葉愛やばいだろ!?」


俺の言葉に俺の方を向いて、えっ!? それマジで言ってます? ぐらいの顔をする連城。


「お嬢様は事になれば万国共通で、涙が出るのでは?」


「俺の知らない間に万国共通が増えてた!?」


このいつもの景色、見ていた檸檬は思わす笑う。


「皆さんはいつもと変わらないでいてくれんですね」


突然笑った檸檬に皆が檸檬を見た。


「当たり前だろ? 今日が最後じゃないんだから」


檸檬は皆を見て笑顔で喋る。


「本当に、ありがとうございます」


ーー放課後ーー


今は午後5時。教室には夕日の光が差し込んでいた。もう教室にはいつものメンバー以外誰もいない。檸檬とのお別れは教室でやることになった。


その時が来るまで俺達は談笑をした。だが、誰も切り出さない。いつ、檸檬とお別れするか。なぜなら、誰も檸檬と離れたくないからだ。だけど、誰かが言わないといけない。


「そろそろ、お別れしないとな」


いつもの普通の顔で、渡は言った。いつも、こういう時ばかり渡に頼りすぎている。悪い役ばかり押し付けてしまっている。だが、その罪悪感と共に皆の心中は感謝の気持ちでいっぱいだった。


檸檬が自分で今日、お別れすると言い出した。檸檬の気持ちを尊重しないといけない。なのに、俺たちはその現実が受け止めきれない。


「そうですね。そろそろ、お別れですね」


檸檬が苦しそうな笑顔で、無理やり作った笑顔で喋った。それを見て皆は苦しくなり、俺達は平常心でいろと、心に、体に訴えかける。


「だな。そろそろ、お別れか」


いつも通り平常心で喋った俺。


「どういう形でやればいいんですかね? 全然決めてませんでしたね」


明日葉もいつも通りに喋った。


「そうだな。檸檬ちゃんはどういう形がいい?」


紗夜もいつも通りに喋った。


「私は、パッと戻った方が良いと思います」


檸檬もいつもの通りに喋った。


「そうですね。ダラダラやったら、長くなっちゃいますもんね」


連城もいつも通りに喋った。


「俺もその方がいいと思うよ。パって戻って早く、檸檬さんのお母さんに会わないとな」


渡もいつも通りに喋った。


「そう……ですね。それが……いいと思います……!」


だが、檸檬は我慢できなかった。それをきっかけに連鎖するように、今まで皆が我慢してたものが崩壊する。


「なんで、檸檬ちゃん泣いてるんだよ。また、会えるんだから泣く必要なんてないだろ?」


紗夜が涙を流しならがら喋った。その目頭はずっと熱かった。今日、檸檬と喋る度に泣きたい感情を堪えてきた。だが、檸檬が泣いたことによって、いつものようにいようという決心が壊れた。

自分の弱さに呆れ、だが、自分を出せたことに後悔はしていない。


「そういう、紗夜ちゃんも泣いてるじゃないですか……!」


明日葉は涙を流しながら喋った。明日葉は檸檬をいつも通りの自分で送り出したかった。なのに、その決心は紗夜と同じく簡単に壊れた。


「明日葉ちゃんだって、泣いてますよ」


紗夜と明日葉は檸檬の近くにいき、3人はハグをした。そして、いまの檸檬の温かさにまた、涙を流した。


「くそっ! 俺は泣かないぞ!? 男は泣いたらそれまでだからな! なぁ、連城!?」


彼方の目頭は熱かった。泣いている3人を見て、彼方も我慢していた涙が、感情が出そうになった。だが、親父の教えで男は泣いたらそれまでだという事を思い出し、絶対に泣かないと決意する。だが、その決意は彼方だけのものだった。隣にいる連城を見ると……


「すいません。私は泣きます」


連城は涙を流しながら喋った。明日葉と紗夜同様に、いつもの連城で檸檬を送り出したかった。だけど、それは友情という大きい力によって壊された。男は泣いてはいけない、男は泣いたらそれまでだと、それは重々承知している連城。だが、連城は駄目だった。我慢が出来なかった。


「なんで、泣くんだよ!? 渡は!?」


彼方は後ろを向くと、そこにはいつも通りの渡がいた。


「俺は泣かないよ。彼方こそ、目頭熱くなってんじゃねぇのか?」


笑いながら言う渡に、彼方は相変わらず表情を顔に出さないなと思った。


「お前、痩せ我慢してるだろ?」


彼方の言葉に、いつもの返答て返す。


「してると思ったらしてんじゃねぇの?」


本当に感情を表に出さない渡。だが、渡は檸檬の事をずっと考えていた。それは、檸檬のお母さんと同じぐらい。博学多才の渡でさえ、檸檬の解決方法は分からなかった。それが悔しく、涙が流れそうになったこともある。

彼方と同じ、いいや、それ以上の信念が渡にはあった。そのせいで、渡は泣かない。泣いたら駄目だと、心に訴えかけている。


「それなら、いいけどな。でも、これでお前は泣けなくなったな」


「お前こそいいのか? 泣かなくて? 俺は泣いた方がいいと思うけどな」


檸檬の方向を見て言った渡。その言葉の真意が分からず、だが、泣けて言われてなく彼方じゃない。彼方は親父の言葉を信じている。

そんなことを考えていると、檸檬か明日葉達の抱擁から離れ、喋る。


「皆が泣くから踏ん切りがつけにくくなっちゃいました。でも、私は戻りますよ」


その決心に、決意に、揺るぎはない。檸檬は俺達から距離を移動し、窓際に移動する。


「檸檬」


言葉が出た。もしかしたら、これが最後の言葉かもしれない。だから、彼方は心の中にある言葉を言う。


「なんですか? 彼方君」


「また、ゲームしような」


「はい、勿論」


笑顔で言う檸檬。その顔には涙はなかった。もう、涙は要らないと、必要ないと思ったのだろう。

そして、次は明日葉……


「檸檬ちゃん。また、一緒に話しましょうね」


「はい、明日葉ちゃんも元気でね」


檸檬のその言葉に、また涙を流す明日葉。


「絶対に、元気でいますね」


その言葉には何故か重みがあった。だが、その言葉の重みに今は誰も気づかない。


「檸檬ちゃん、今度は絶対にゲーム勝つからな!」


「紗夜ちゃんが、私に勝つ事なんてぜっーーーーーーたいに! ないですよ」


その生意気な口調に、思わず笑ってしまった紗夜。


「いや、今度は絶対に私が勝つぜ?」


檸檬の挑発に、絶対に勝つと覚悟する紗夜。そして、次は連城……


「檸檬様、お元気で」


物凄くシンプルな言葉、だがそのシンプルな言葉こそ連城らしい。


「はい、連……成一(なるい)君こそお元気で」


泣いていた連城だが、成一と言われ、ビクッ! としたあと、恥ずかしそうに頭をかいた。


「その名前で言うのは本当にやめてください」


本当に恥ずかしい連城。そして、次は渡……


「檸檬さん。戻っ来たらおっぱい触らさせください」


「やっぱり、おっぱいが好きなんですね。絶対に嫌です」


真顔で言う渡に思わず、胸を腕で隠す檸檬。檸檬の言葉に対して渡は「やっぱり、皆に好きって思われてたか」と小声で言った。対して、その言葉を本当の言葉なのか、嘘なのか、考えさせられる紗夜と明日葉。だが、俺と連城、檸檬だけは、嘘だと気づいた。


一時の静寂。皆がもうこれで行っちゃうのだなと思った。


「じゃあ、私はちょっと出かけてきますね」


檸檬は俺達に手を振った。


「じゃあ、行ってきます」


俺達はその言葉に当たり前の言葉を、丁寧に一語一語、友情を紡ぐように喋る。


「「「「「行ってらっしゃい!」」」」」


そして、檸檬は目をつむった。そして、檸檬が変わった。それは、一瞬で分かった。何故わかったかは分からないが、さっきの檸檬がいなくなったのは分かった。


一時の静寂。そして、檸檬は満を持して喋る。


「………………何を喋ればいい?」


それは、本当は二重人格なんじゃないかと思ってしまった。本当はさっきの檸檬が嘘だと思うほど呆気なく声が変わり、そして、この声はさっきの無垢な檸檬の声とはかけ離れている声。どこか、懐かしく涙が出てくるようなこの声は……


皆が呆気に取られ言葉が喋れない。

そんな中、俺は意を決して喋る。


「檸檬……なのか……?」


「……彼方は変なことを言う。私は、私。勿論、さっきの私も私」


「その屁理屈な返答……檸檬なんだな?」


「……さっきからそう言っている」


もう、これは檸檬だと本当に確定した。そして、俺は帰ってきたら絶対に言おうとしていたことを言う。


「随分長い、旅行? だったな。まぁ、おかえり」


「……うん、ただいま」


無表情で喋る檸檬。その声色はいつもと同じ、懐かしく、目頭がまた熱くなる。


「檸檬ちゃん、おかえりなさい」


「……ただいま。明日葉ちゃんも、元気だった?」


「はい、元気でしたよ」


また、涙を流す明日葉。檸檬との会話は約一週間ぶり。短い期間、されど長い期間、その中で檸檬と会いたい感情は明日葉を狂わせるほどだった。


「檸檬ちゃん、おかえり」


「……ただいま。紗夜ちゃん、ちょっと太った?」


「痛いところついてくるな……」


紗夜も、明日葉と同様また、涙を流した。もう、涙は出ないと思うほど泣いたのに、また、涙が出てきた。それも、さっきから、本当に綺麗な涙が。


「おかえりです」


「……ただいま、成一君」


「いや、マジでその名前で呼ぶのやめてください……!」


顔を両手で隠しながら喋った連城。その顔は赤かった。この流れに乗じて涙を流さないといけないのかと思った、連城だが、普通に檸檬と話すと涙が出てきそうだった。だが、檸檬の言葉に気持ちが一転した。涙など出ず、恥ずかしさが感情を埋めつくした。

そして、つぎは渡……


「檸檬さん。帰ってきたのでおっぱい触らせてください」


真顔に言う、渡にクスッと笑い、喋る檸檬。


「……気持ち悪い」


その率直な意見に俺は「ブフォッ!」と吹き出してしまった。そして、女性陣からの冷たい目。されど、渡は気にしない。


「まぁ、何をともあれ……聞きたいことはいっぱいあるけど、家族に会ってこい」


「……うん。でも、まだ皆と一緒にいたい。だから、一緒に帰っちゃ……だめ?」


「そんなの、一緒に帰るよ。当たり前だろ?」


ーー下校中ーー


「渡君って、やっぱりおっぱい好きなんだな」


「いや、そうだけど……ネタで言ってたんだけどね?」


「でも、ネタって言う割に信憑性があった感じがしましたネ」


「いや、本当にネタなんだって。っていうか、俺は女の子の……いや、これ以上黒歴史を生むのは良くないな」


「女の子の、なんですか? 渡様?」


「いや、絶対に言わないからな?」


さっきから、そんな会話が繰り広げられている。そして、俺と檸檬は前にいる渡達を見て、歩いていた。


「……彼方」


檸檬の突然の呼びかけに俺は檸檬の方を見て喋る。


「うん? なんだ?」


「……前の私は変な事しなかった?」


檸檬によると、今の檸檬が戻った時に記憶が戻った。つまり、人格が戻ったと言うのが正しい。今の檸檬がいない間の記憶は遡れば、思いだす。だから、不思議な感覚らしい。


「いや、特に変な事はしなかったぞ? ……いや、そういえば俺の体に馬乗りになったな」


「……なにそれ? ……いや、それをやった記憶はある」


今みたいに、記憶を辿れば記憶が出てくるらしい。やっと一段落がついた。だから、俺は本音が出る。


「いや〜、これで安心して高校生活が送れるな」


その俺の言葉に、檸檬は苦い顔をした。


「……うん。でも、元の私の戻り方を探さないと」


「だな」


元の檸檬とか、今の檸檬とか分かりずらいから、なにかニックネームを付けたいなと思ってしまった。

そんな会話をしていると、檸檬が家の前に着いた。

だが、檸檬はなかなか玄関のドアを開けようとしない。こんな時は親友が勇気づけるべきだ。


「ほら、お母さんに会ってこい」


俺は檸檬の背中を叩いた。


「……うん」


檸檬は不安になりながらも、玄関のドアを開ける。


「おかえり、檸檬ちゃん」


玄関を開けると、檸檬をずっと待っていたかのように檸檬のお母さんがいた。


「……ただいま。お母さん」


そして、檸檬のお母さんは檸檬に思わず抱きついた。そして、涙を流した。






「はぁ〜。今日は疲れだぁぁぁぁー!」


俺は明日葉の家の車に乗って家に帰ってきた。俺はご飯を食べ、お風呂に入り、自分の部屋のベットに飛び込んだ。

それと同時に俺の携帯が音を鳴らし振動をし始めた。


「誰から電話だ?」


俺はズボンのポケットから携帯を出し、画面を見た。


「檸檬からか……どうした?」


俺は、了承ボタンを押し、耳にはスマホを持っていった。


「……夜遅くに、ごめん」


「ああ、全然大丈夫だ。なんかあったか?」


「……ううん。ちょっと、記憶を辿ったら不可解な記憶が出て」


不可解な記憶……何故、それを俺に言おうとしているんだ? まぁ、聞けば分かるか。


「それで、その不可解な記憶ってなんだ?」


「……それが、私が迷子になって彼方が来てくれたの覚えてる?」


迷子……ああ、(けん)と一緒にいた時だろ。


「ああ、覚えてるぞ。それがどうしたんだ?」


「……その帰りの事を詳しく聞きたくて」


帰りのこと? そんなに覚えてはないが、檸檬が下を俯いたのを覚えているな。


「ああ、いいぞ。なんでも答えてやる」


「……じゃあ……聞くけど……。私が、学年中の机の中に入ってたっていう紙の事なんだけど」


学校中に入ってたって紙? ああ、檸檬が入れたあの紙の事か。


「……あれ、私がやったって言った?」


「それがどうしたんだよ? あれはお前がやっじゃん」


何を言っているんだと、俺が困惑していると檸檬から思いがけない言葉が返ってきた。


「……それ……私、やってない」


「は?」


間抜けな声が出た。

どうも、絶賛今、京都観光中の犬三郎で〜す。

はい! 第1章〜完〜です! 長かった……長すぎるよ!

今回の後書きは暇な人だけ見てください。長々とむっちゃ書きます。

まず、第5話 〜分からない!〜をまた大幅に変えました。本当に見返したら不甲斐ない作品になってました。ここまで読んでくれた方に心よりお詫びします。

まぁ、誤ったところで、次は第2章! とか思ってるんですけど、当分は番外編を書こうと思います。本当ににショートストーリー的なものなので3日に1回か2日に1回投稿出来れば投稿したいと思います。この第1章のなかでの後日談とかみたいな感じです。まず、最初は明日葉が性教育をするという話にしたいと思います。一切、エロいことは書きません……多分!

まぁ、そんな感じで書きたいとおもいます。だから、第2章は5月の初めか、4月の終わりぐらいから投稿します。ちゃんと、新キャラが出ます。加奈は、ちょっとしか出ないかな? 書いてみないと分からないけど、加奈は積極的に出していきたいですね。

まぁ、そんなことはどうでもいい。書きたいことがいっぱいあったのになんにも浮かばねぇ! これも全て京都観光のせいだ! はい。大人しくします。

あ、最後にこの小説9000文字ぐらいあるので誤字脱字誤変換が多いと思いますが知らせてくれたら幸いです。

では! 3日後にお会いしましょう!


by 3日後……3日後……? 俺、今、京都観光してるんだけど? まぁ、移動中に書いてやるぞと、思っている犬三郎

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