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第15話 ~おかえり~

第15話登場人物名前


小泉彼方:こいずみ かなた


小泉紗夜:こいずみ さや


安野渡:やすの わたる


日代明日葉:ひしろ あすは


連城成一:れんじょう なるい


星野檸檬:ほしの れもん


最原健:さいはら けん

彼方は檸檬に謝ったあと、すぐさま渡達に連絡した。


「よしっ! これで渡達に檸檬が居たって連絡したし、檸檬帰るぞ」


今はもう6時、辺りは暗くなり始めていた。


「健さんでしたっけ? 自己紹介がまだでしたね。鳩背(はとせ)高校1年生の小泉彼方(こいずみかなた)です」


普段は彼方は初対面で同じ歳ぐらいの人には敬語を使わないが、健の不良っぽさにちょっとびびっている。


「敬語で話さなくていいぞ。俺は村山(むらやま)高校1年生の最原健(さいはらけん)だ。呼び捨てでかまわねぇ」


俺がお辞儀をすると健も立ち上がり、お辞儀をした。


「分かりまし……分かった。檸檬を今から家に送るが一緒に来るか?」


「いいや、俺は今からダチとの先約があるんだ」


「そうか。それは分かったけど……なんでさっき檸檬は泣いてたんだ?」


檸檬に向かって話す彼方。

それを聞かれた檸檬は困った顔をしたが、直ぐに喋る。


「健君から貰った梅干し味の飴がすっぱくて涙が出てしまったんですー」


確実な嘘だと思った健。健は泣いていた理由を檸檬は言いたくないんだな瞬時に理解した。


「そうなんだよ。俺も良かれと思って飴を渡したら泣くもんで困っていたら彼方が来てな……」


健はヒヤヒヤしながら嘘を言った。健は正直者で嘘を言うのは苦手だ。たがら今、好きな人の嘘を成立させようとしている。


「そうだったのか。確かに檸檬は酸っぱいものが嫌いだもんな」


成立した。健はふぅーーとため息をつこうとしたがため息つく寸前に息を止めた。


「それじゃあ檸檬、帰るぞ。渡達が心配してるからな。じゃあ、ありがとうな健」


檸檬話しかけた彼方だが、何故か気恥しさがあった。


「分かりましたー。では、健さんありがとうございました!」


檸檬は健の近くに行き、健の両手を自分の両手を包み込みお礼を言った。

その後にウインクをして、彼方と一緒に公園を出て行ってしまった。公園を出る直前にもありがとうございましたー! と手を振り檸檬は行ってしまった。


健は直立不動になり、そこへ1人の男性が近づいてきた。


「健ちゃん! 謝り大作戦大成功でやんすね! 明日は俺も謝り行くんでやんすから健ちゃんも手伝うでやんすよ?」


健と健の友達の男性が健に喋りかけたが健は応答をしなかった。


「あれ? 健ちゃん? どうしたんでやんすか? そんなに顔を赤らめて」


その男性が言うように健の顔は真っ赤っかだった。でも、その赤い色は綺麗な赤色だった。


「もう、俺一生手洗わねぇ」


健が惚れたS級美少女から伝わった手の温もり。それをやられたら、誰でも惚れる。しかも、あの笑顔。健からしたら檸檬をずっと前から好きだった。

中学二年の時のあの過ち……あれからずっとずっと檸檬の事を考えていた。


今日、檸檬に会ってまた恋の炎が燃え上がり、記憶喪失は嘘かもしれないがそれでも、それでも、謝れた事が何よりも嬉しかった健。そこに追い討ちをかけるような、あの行動。

健の心はもう持っていかれていた。


「手がどうしたんでやんすか?」


健の手を触ろうとした健の親友。


「ばっか! 触ろうとすんな!」


その手から手を無理やり離し、逃げる健。


「いいじゃないでやんすか~!」


それでも、追いかける健の親友。


「やめろって! やめろぉぉぉぉぉぉぉ!」


男二人の見臭い攻防戦は続いた。





「彼方君に聞きたいですけど、前の私ってどんな感じだったんですか?」


もう日も暮れ当たりが暗くなり、街頭がつき始めた頃、俺と檸檬は帰路についていた。

そんな中での突然の質問。その質問に戸惑い、10秒間考え答えを出す。


「ホントーーーーーに、馬鹿な奴だったよ」


俺の本心の事を言った。これは本当に俺が思っていることだ。


「何が馬鹿って学校に来たと思ったら、学年中の机の中に、星野檸檬は暴力を振ったことがあるとか、中学生の頃生徒を不登校にさせたとか……そんな嘘っぱちを書いた紙を入れやがったんだよ」


「へぇ~そんの事があったんですねぇ~。それを聞くと前の私は本当に馬鹿でしたね」


笑いながら言う檸檬に俺は檸檬の顔をまじまじ見た。

その行動に檸檬はうん? 首を傾げた。


「いや、前の檸檬はそんなに笑わなかったから。今の檸檬がそんな笑うなんて新鮮だなって」


それを聞いた檸檬はまた、笑いながら言った。


「昔の私はそんなに笑わなかったんですか?」


「笑わなかったよ。本当に笑わなかった。だから、檸檬が笑うと何か嬉しんだよな。今の檸檬が幸せなんだなって」


「なんですか? それ」


檸檬は下を向き喋った。檸檬の顔は見えないが何故か声は弾んでいた。


(だめだめだめ。顔が熱い。今、彼方君に見られたらダメ!)


彼方が檸檬の気持ちを知るはずがなく、そして、檸檬が自分の気持ちに知るはずがなく、片方は不思議に思い、もう片方は恥ずかしさと胸の高鳴りに……両者は不器用者だった。






「檸檬ちゃん! 大丈夫でしたか!?」


檸檬の家に近づいた時、明日葉が俺達を見つけ走ってきた。そして、檸檬に抱きついた。


「大丈夫だよ明日葉ちゃん。明日はちゃんこそ大丈夫だった? 迷子になっちゃって」


その言葉の意味が分からなかった明日葉だが、直ぐに理解し言葉を述べた。


「本当に心配したんですよ……!」


明日葉の目には涙が浮かんでいた。本当に心配していたのだろう。そこへ、渡や連城、紗夜もやってきた。


「檸檬ちゃんー!」


明日葉が檸檬とハグをしているが、そこへ紗夜も加わった。紗夜も明日葉と同様、涙を流していた。


「紗夜ちゃんも泣いてどうしたんですか?」


「うるさい! 本当に心配したんだからな!」


俺がそれを少し離れた所から見ているとそこへ連城と渡が近づいてきた。


「よっ、小泉君。元気にしてたか?」


「彼方様、今日どうやって過ごしてたんですか?」


ニヤニヤと話す連城と渡。俺はこの野郎と思いながら渡に喋る。


「渡、申し訳なかった!」


俺は上半身を90度にして謝った。


「俺はもう許してるし、別に気にしてなんかいないよ。それと、約束してた小泉券をくれよな」


その言葉に俺は安心感より罪悪感に襲われた。俺があんなに酷い言葉を投げかけたのに渡は笑顔で許してくれた。


「それだけで、本当に許してくれるのか?」


「いいよ。俺はさ、お前が親友として本当に好きだから、息子の反抗期みたいに観察してたから楽しかったぞ」


渡は俺の心情を分かってこんなことを言っているのだろう。本当にいい親友だ。本当にいい友達に恵まれた。

これから、俺が渡に恩返しをしよう


「なんだよそれ」


俺が笑いながら言うと次は連城が話してきた。


「彼方様、一日不良は楽しかったですか?」


「なんだよその嫌な言い方。まぁ、楽しかったと言えば……」


そして、俺は今日の事を考えた……酷い夢を見てクタクタになるまで走って、心の底から檸檬を心配して……


「いや、最悪の1日だったな」


連城は笑いながら喋る。


「そうですか。これがざまぁねぇよって感情なんですかね


いつも敬語の連城がそんなことを言うのは予想外だった。連城も親友として俺を心配してくれたのか……一日不良はもうやるべきじゃねぇな。


「ざまぁねぇよってより、馬鹿だなっていう気持ちの方が大きんじゃねぇか?」


「それは正解かもですね」


俺はその解答に「やっぱりか」と笑いながら言った。


「檸檬! 大丈夫だった!?」


そんな中、檸檬のお母さんが走ってきた。檸檬のお母さんは明日葉達同様、檸檬に抱きついた。


「もう、心配かけないでよ! お母さんの心臓がもたないよ」


檸檬のお母さんは誰よりも重い言葉で誰よりも心がこもっている声で喋った。

やはり、一番心配するのはお母さんだよな。

お母さん……か。


「ごめんなさい、お母さん」


檸檬は素直に謝った。

それを見て本当に今日は謝る人が多い日だなと思った。これからまた、俺は紗夜や明日葉に謝る。もちろん”あいつ”にもな。


「長いようで短い1日だったな」


俺は星が輝く空にそう呟き、一日の幕を下ろした。




まじで三人称の偉大さを知った犬三郎で~す。

すいません、昨日寝落ちしてしまって投稿出来ませんでした。

謝罪が済んだところで本当に三人称ってやべぇなって思いました。片方の気持ちを書けるし主人公の気持ちも書けるし、でも、一人称の良さもあるよ? だから、一人称多めのこの小説にちょくちょく三人称が入ると思いますがご了承ください。

次回の話を書いてるんですか最後のあいつを書いてて楽しんですよね。だから、手がすらすらと進むから怖い。


by 待って待ってブックマークがものっそい増えてて驚いている犬三郎

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