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チャプター5:「彼女たち」

「なんて言ったの……『エクソティア』ですって……ッ?」

「おいおい、またトンデモない名称が登場したぞッ」


 オフィサーの明かした彼女たちの身分正体。その発されたワードを受けて、次に驚く様子で言葉を零したのは基準小隊長の女ユーダイド中尉。

 さらに続けてドゥインが揶揄うような台詞で、しかし反して真剣な顔色で発する。


「エクソティア……都市伝説に聞く秘密結社だぞ」

「トンデモだな」


 さらに続けて同席していたスーパーヒューマンの本部付きの中尉が、呆れる色で発し。

 最期にアイザックにあっては、あまり驚いているようには見えない淡々とした色で。そんな言葉を零した。


 「エクソティア」。

 大戦争の以前から今日に至るまで、世の中を裏から操っているではないかと、その存在が噂されていた秘密結社。

 しかしそれはあまりに荒唐無稽な話であり。他の数ある都市伝説と共に、幽霊のような笑い話にこそなれど、本気でその存在が語られたことなど無かった。


「ホンモノか?同一の名前を引っ張ってきたとかじゃなくて」


 そんな存在を名乗られたとて、すぐに信じ呑み込むことはできず。

 ドゥインはそんな尋ねる言葉をオフィサーたちに返す。


「解釈はどうとでも、好きにすればいい。どうあれ、私たちは大戦争の前から活動してきた」


 それに、ややつっけんどんにそんなように答え返したのはまたレフィン。


「私たちは大戦争の勃発と同時に地下に逃れ、再興の時を待っていた」


 それに補足するように、オフィサーはそんな言葉を紡ぐ。


「……君たちを襲っていた、この機械のモンスターの大群は?」

「エクソティアの開発した「生体兵器」だ。人に代わり、戦いに出るために作られた」


 次には基準小隊長が、とりあえず思い当たり疑問に思った事項を。生体兵器の正体や出どころについてを尋ねる。

 それにもオフィサーは、静かに事実であろう所を回答する。


「じゃあお仲間か?そんなんに、どうして追われ襲われてたんだ?」

「あぁ……私たちは、「脱走兵」なんだ」


 そこでまた浮かんだ疑問事項をドゥインがぶつけ。

 それにオフィサーから返されたのは、そんな明かし回答する言葉であった。


「エクソティアにて、私たちは反乱分子の懸念がかけられた。それが故に、私たちは追われる身となった」


 続け、また静かに説明の言葉を紡ぐオフィサー。


「衛生班から報告は聞いている。不躾で返すわけじゃ無いが――この子たちも、ナチュラルな人じゃないな?」


 そんなオフィサーの説明に割り込み、アイザックはそんな尋ねる言葉を向ける。


「強化人間」


 それに、シンプルな一声で返したのはレフィン。


「アタシたちは、自分の体を弄って機会に変えた強化人間なのよね」


 続け、己を皮肉るような口調で、そんな回答を紡いだのはステラ。


「詳細は省くが……私とエクソティアの上層に不和が生じた。そしてこの子たちは、私を庇い上層に歯向かったことで、『不適合個体』個体として処分対象とされてしまったんだ」


 そして、彼女たちにあっての経緯詳細を、オフィサーは紡ぎ説明して見せる。


「なるほど。それで脱走から。だが追われてさっきの窮地、ってトコか?」

「そういうことだ……」


 そこからは経緯の想像は容易であり、ドゥインが紡いだ言葉を、オフィサーは肯定して見せた。


「跳ねっかえり根性逞しいコトだ」


 そんな経緯を知り、ドゥインはため息交じりにそんな呆れ半分評価半分の言葉を紡いだ。


「……アナタさんたちは、強化人間って聞いても嫌な目で見ないんだね?」


 説明が一区切りした後に、そんな尋ねる言葉を発し向けてきたのはステラ。

 少し訝しみ、そして不思議に思うように、ステラは前進観測隊の面子を見渡しながらそう紡ぐ。


「VACの在り方だ。害意を示さなければ拒みはせず、賛同するならあらゆるを同胞として受け入れる」


 それに解答したのはアイザック。

 アイザックは少女たちを見渡し返し、淡々とした言葉でそのことを。

 VACという国の、文明の在り方を伝え示して見せた。


「さらに言えば、数は多くないが、君たちみたいに体を機械に変えた者は、VACにも居る」


 続け補足する言葉を紡いだのは、ユーダイドの女中尉。

 その言葉の通り、レフィンたちとはまた形態は異なるが、自分の体を機械と変えた存在はVAC社会にもいくらか存在していた。

 先に衛生員がマエナの「メンテナンス」を行えたのも、その所からノウハウを少なからず保有していたのが理由だ。


 そんなアイザック等の回答を受け。

 レフィンたちが見せるのは、微かに驚き、そして訝しみ、変わったものを見るような目。


 方や、アイザック等はそれに不快を覚えるでも、否定をするでもなく。

 ただ、どう見られようと自分等はそうあると、静かに確たる様を見せるのみであった。


「……窮地を救ってくれたことには感謝するわ……・それで、これから私たちをどうする気?」


 次に、話題をまた移すように、いやそれが本題か。

 レフィンが発し尋ねてきたのは、彼女たちの処遇についてを尋ねる言葉。


「君らの処遇扱いは、本国首都が判断する――自分等からは、まぁ面倒さえ起こしてくれなければそれ以上は言わない。変な話かもだが、好きにしているといい」


 レフィンの、少し警戒しつつ探るようなそんな質問に対して。

 アイザックが述べて返したのは、そんな事実を伝えて、併せて「好きにしている」よう促す言葉。


「……っ」

「ありゃ」


 それにレフィンやステラなどは、「それは想定していなかった」と言うように。

 少し意表を突かれたかのように目を見開き、声を零す。


「……あなたたちは、どうするの?」


 そしてレフィンが、また探る様に。今度はアイザック等の動向を尋ねる言葉を向ける。


「自分等は、この先のフォークラン国際空港を目指してる。そこを「第一次目的地」と定めている」


 それにアイザックは、隠す事でも無いと言うように明かし回答。

 実際これにあってはVAC本国にて公約戦略としてとっくに広く発表されているものだ。秘匿事項ではない。


「あそこは、ローグ(ならず者)の巣窟よ」


 それにレフィンが返したのは、警告の意味を含めた冷たい言葉。


「承知の上さ。その上で――突き崩し、押し通す」


 しかしそれに、アイザックは淡々と、しかし確かな言葉でそう返して見せた。

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