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チャプター6:「空よりの打撃」

 翌日。


 ユニステラス大陸の中心部地域。VACの拡大進出先の一部、その上空。

 先日までに空を覆っていた薄暗く陰気な雲は、嘘のように晴れ。

 乾いた荒地大地の上空には、澄み渡る大空が広がっている。


 その澄み渡る大空の一角に――轟音を響かせ、高速にて割り入りいくつものシルエットが現れ見え始めた。


 一機、二着、三機、四機、さらにもっと。

 順に現れ、編隊列機を成す形態を見せて飛行するは。戦闘機、及び攻撃機からなる飛行編隊。


 それは他ならぬ、VAC AF。その内に編成される、「航空隊」にて保有運用されるものだ。


 内訳をみる。


 その編隊の中核を成すは――V-4L艦上戦闘機。

 逆ガルの大型主翼が特徴の、大型単発のレシプロ艦上戦闘機。

 元は大戦争以前のこのユニステラスに存在した国家の海軍の主力機。

 VAC AFはモスボール状態にあったそれを回収、もしくは破損品をレストアして運用するに至っていた。


 そしてそのV-4Lより機数は少なめだが、さらに一回り大型の攻撃機――L-A艦上攻撃機が含まれる。

 ターボプロップエンジンを備える大型単発攻撃機。

 やはり大戦争以前の航空機であり、モスボール品やレストア品をVAC AFは運用している。


 その、V-4L艦上戦闘機がメインとバックアップ隊で、五機づつ計十機。

 L-Aは完全重爆装した機が四機。


 それぞれが、美麗なまでの斜め縦隊の編隊を組んで飛行している。


「――」


 その先頭、編隊長機に収まり座す編隊長を始め。

 各機のパイロットは真剣な様相で、微かな緊張状態を保ち操縦桿を操っていた。


「――見えたぞ」


 そして次には、編隊長がキャノピー越しに眼下に「その」光景を見て。

 通信マイクに向けて声を発する。


 編隊の遥か下方の地上。

 広大な敷地を取って存在するは、打ち捨てられた空港施設。

 かつては「フォークラン国際空港」と呼ばれ、飛び交う旅客機や行き交う人々で栄えた場所。


 しかし今現在、そこはかつての平和に賑わう姿を失い。

 『ローグ』と呼ばれるならず者たちが。正しくはそれが連合体を組んだ大派閥が、占拠し根城にしている状態にあった。


「行くぞ――」


 そんな状況下にある空港施設を眼下に見ていた編隊長は、次にはそう合図の言葉を発して通信に上げ、各機に向ける。

 そして直後には、編隊の一番端に位置していた編隊長機のV-4Lは。バンクから降下行動に転じた。

 さらに次には続々と、二機目、三機目と。メイン隊を成すV-4Lの五機が、順にバンクから降下行動を開始。

 五機は、編隊長機を筆頭に、舞い落ちる木の葉のように地上に近づくべく降下していく


「――」


 やや降下確度を緩くし、わずかに散会した飛行隊形を取りながら。機首を地上に向けて降下行動を続けるV-4L編隊。


「――ッ゛」


 直後瞬間――「それ」が。無数の爆発炸裂が、飛行隊の周辺宙空でいくつも巻き起こり始めた。

 対空砲火だ。


 眼下の国際空港の各所には、ならず者たるローグたちが配置し構えた、高射砲や対空砲が存在する。

 それらが、降下し迫る飛行隊に、防空阻害砲火を射ち寄越し始めたのだ。


《来なすったッ》

「隊形を乱すな、踏ん張れッ」


 襲い来た無数のそれに、列機から誰かが通信に声を上げ。

 編隊長はそれに促す声で返す。


 無数の対空砲火の爆発炸裂を近くに受け、各機は機体を微かに揺らされながら。

 しかし臆し逃げることはせず、真っ直ぐ降下行動を続ける。


《ローグが、よくもここまでこさえたモンだッ》


 降下行動の最中に、誰かが零す。

 ローグ――その実態は多くは野盗やならず者でしかないのだが。

 それが国際空港を支配占拠し、ここまでの火力戦力を有していることへの微かな驚きと呆れを示すもの。


《はした小さなグループじゃない、複数が結託した連合体だッ。大分力をつけてるッ》


 それにまた別機の誰かが答える。

 その言葉にある通り、現在空港を支配するローグは。複数のグループが集合結託してできた大きな連合体だ。


「放置すれば、第二の『レギオン』になりかねない。ここで叩き潰すッ」


 その上がった各言葉に、編隊長が返す。


 VACは最近まで、西海岸の領土近隣にて『レギオン』と呼ばれる暴力を厭わない部族の大きな連合体との戦争にあり。

 多くの犠牲の上にそれを打ち倒し、決着を付け勝利を勝ち取ったばかりであった。


 編隊長の言葉は、眼下に巣食うローグたちの肥大した連合体が。その『レギオン』の再現となることを、なんとしても防ぐ意思を示すものだ。


 そんな会話を通信に上げ交わしながらも、各機は激しい対空砲火の最中を危なっかしくも潜り抜け。

 いよいよ地上の国際空港施設の真上に迫る。


「各機、標的選択は任せるッ」


 編隊長の告げる言葉。

 それと同時に、各機はそれぞれの動きでまた少しの距離を取り、ばらけ散会。


「――発射ッ」


 その直後に、編隊長は操る操縦桿に備わる、火器射撃ボタンに力を込めた。

 瞬間――V-4Lの主翼下に備わる無誘導ロケット弾が、立て続けに複数発撃ち出されて機より飛び出す。


 それは他各機も同じ。各機からはそれぞれのタイミングで、複数発のロケット弾が撃ち出され飛び出し。

 それぞれは地上、国際空港施設の各所。ローグたちの対空砲陣地へと振り注ぎ、飛び込み。


 ――地上、空港の各所で。いくつもの大きな爆炎が巻き上がった。


 叩き込まれた多数発のロケット弾が、ローグたちが空港各所に作り構えた対空陣地を。しかし瞬く間に悉く、破撃から無力化して見せたのだ。


「各機、離脱しろッ」


 ロケット弾を撃ち放ち、爆炎が上がり敵対空陣地が撃破されたのを見るか見ないかのタイミングで。

 編隊長は通信に張り上げ、そして操縦桿を引き起こす。


 編隊長機を筆頭に、V-4Lの各機は機首を引き上げて上昇を開始。


 撃破の爆炎が各所に描かれる地上の、その真上を飛び抜け。次にはその地上空港より離れ、背にしながら。

 各機は退避のために上昇行動へと転じ、高度を上げていく。


「敵、地上対空陣地を破壊ッ。繰り返す、対空陣地は破壊無力化ッ。攻撃チームへ、地上支援の開始に支障なしッ」


 上昇へ転じる機上から、眼下に対空陣地であった各個所が爆炎に巻かれる光景をまた見ながら。

 編隊長は通信に知らせの声を張り上げる。

 伝える相手は、L-A攻撃機からなる攻撃チーム。


《了解、攻撃チームはこれより進入から支援開始》


 それに、低い声色で攻撃チームの隊長から返答が返る。


 そして、一旦上昇退避するV-4L隊の側から。上空高度より緩降下から進入を開始するL-A攻撃機編隊の姿が見えた。


 これより攻撃チームが当たるは。

 地上からAF地上部隊によって行われる国際空港への「進行攻勢作戦」を、上空より支援するための支援行動。


 地上には、空港を目指して攻勢を開始した、AFの大部隊の姿光景が見えた。

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