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万年を生きる平和主義ヴァンパイア、いつの間にか世界最強に ~俺が魔王軍四天王で新たな始祖? 誰と間違ってんの?~  作者: 葉月双
アマラントスの花束を君に

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10話 結婚!!


 その夜、俺はサビナの寝室で一緒に寝ることになった。

 え? なんで?

 あれよあれよと言う間に、マイルズに上手く誘導されたような?


「あああああ、アルト君」


 ベッドに正座しているサビナが俺を呼んだ。


「なななな、なんだい?」


 なんか緊張して変な喋り方になっちまった。


「いいんだよね!?」

「何が!?」

「婚前交渉!!」


 なんだっけそれ!?

 結婚の前に結婚後のことを交渉しておくことだっけ!?


「ああ、もちろんだ! サビナの好きにしていいぞ!」

「わたしの好きに!?」


 サビナが顔を真っ赤にして叫んだ。

 種族のために側室に来てもらうわけだし、サビナの要望はなるべく叶えたい。

 どんな交渉でも俺は「いいよ」と言うつもりだ。


「じゃあ脱いで!」

「ああ、いいよ」


 ん?

 えっと?

 何を脱ぐの?

 俺が混乱していると、サビナが立ち上がる。

 そして。


「まどろっこしぃぃぃぃ!!」


 そう言って俺に飛びかかって来た。


「ちょ!」


 俺はサビナを抱き止める。


「わたしが、脱がします!」


 そして半神の力を存分に使って、サビナはパパっと俺の服を脱がした。

 ええええええええ!?


「アルト君!」

「ん!?」

「大好き!!」


 言いながら、サビナが俺を押し倒してキスをした。

 あれ?

 サビナ俺のこと好きなの?

 マジで?


 いや俺もサビナのことは好きだよ?

 好きだけど、え?

 そういう好き?

 え?


 混乱している間にサビナが俺をお姫様抱っこして、ベッドに放り投げる。

 投げられたぁぁぁぁぁ!!

 そしてサビナも飛んでくる。

 サビナは俺に覆いかぶさるような体勢で俺をじっと見詰める。

 そしてウルウルした瞳で、頬を染めながら言った。


「好きなの……」


 あ、こいつ可愛いわ。

 俺の中の理性とかいうなんかアレな奴が消し飛んだ。


◇


 朝、起きると隣でサビナが眠っていた。


「結婚しましたぁ!」


 俺は一人で力強く言った。

 ヴァンパイア式の結婚である。

 これでサビナは俺の正式な側室だ。

 ヴァンパイア的にはもうこれでオッケーである。

 まぁ今回はエレノアの希望もあるので、結婚式を行うんだけどな。


「わたしも結婚しましたぁ……」


 サビナが照れながら宣言した。

 起きたの!?

 あ、俺の宣言で起きたのか。


「あー、夢みたい……」


 サビナが頬を染めながら言った。

 俺はサビナの頬をつまんだ。


「あや?」

「夢じゃないだろ?」


 言ってから、俺はサビナの頬をつまんだ指を放す。


「う……うん……」


 サビナがガバッと布団に潜ってしまう。


「か……かっこいいことしないで……」

「んん!?」


 今のかっこいいか!?

 ちょっとした悪戯のつもりだったんだが!?

 これも神視点……いや関係ないかさすがに。


◇


 そしてサビナの家に入り浸ること10日目。


「アルト君はなーんにもしなくていいんだよ?」サビナがニコニコと言う。「ぜーんぶ召使いがやってくれるから……」


 サビナは俺と違って多くの召使を抱えていた。

 家のことも地下帝国のこともそいつらとマイルズが本当に何でもやっているのだろう。

 それこそ、サビナが2000年ぐらいニルヴァーナしてても滅びてなかったし。


「だから、ね? 今日もベッドから……出ないよね? えへへ」


 あれ?

 俺これ軟禁されてね?

 自分の妻に軟禁されてね?


「どこにも……行かないよね?」


 サビナの目が据わっているように見えるのだが?


「行く必要……ないもんね? ふふふ」


 まさかサビナ……はぁちゃんの同類!?

 結婚相手を監禁しちゃう系のお嫁さん!?

 結婚したら女は変わるってよく聞くけども!

 って待て待て。


 ここははぁちゃんの部屋と違って、俺はいつでも自由に【ゲート】できる。

 ……できるよね?

 これ、できなかった時に受ける俺のショックが大きすぎて安易に試せないんだが!?

 しばらく様子を見よう。


 そうして軟禁20日目。

 さ、さすがに部屋の外に……出たいのだが?

 人間だったらトイレどうしてるのって思うじゃん?

 俺とサビナはこの20日、お互いの血を吸血しただけなので、排泄とかないんだよな。


「サビナ……あの……」

「なぁにアルト君」


 ピトっと俺に張り付いたサビナが穏やかな口調で言った。

 ちなみに今は服も着ているし、ソファに座っている。

 一人用のソファに二人で!

 俺がソファに座って、その上にサビナが座っているという体勢だ。


「……散歩に行かないか?」

「えー? わたしは……こうしてたいなぁ……」

「そ、そうか?」

「うん」


 よく考えたらサビナも部屋から出てねぇな。

 俺は引きこもりだけど、それって自由が保障された引きこもりなんだよな……。

 ふと散歩したくなった時は自由に外に出れるし、好きな物を食べられるし、村の様子が気になったら見に行けるっていうね。


 そういう自由な引きこもりなわけよ。

 あ、そうだ、ここに来る前に抱えていた魔神どうこうの恥ずかしさは、普通にもう消えた。

 そしてサビナの部屋生活30日目。


「あー、俺そろそろ……領地を見に戻りたいんだけど……」

「アルト君の領地なら大丈夫……だよ?」

「そうなの!?」

「エレノアが……ちゃんとしてる……」

「連絡取ってるの!?」

「【念話】できるから……」


 そっかぁ!

 お互いを登録してるのか。

 俺もエレノアとは【念話】の登録しておくか。


「もしかしてアルト君……帰りたいの……?」


 サビナが半泣きで言った。

 ぐぬっ……。

 言い辛い、そろそろ帰りたいって言い辛い!


「もー! 言ってよぉ!」


 サビナが俺の胸を拳でガンガンと殴る。

 痛い、痛いぞサビナ!

 それはもう凄まじく痛いぞ!


「わたしったら……アルト君もずっとこうしていたいのかなって……思ってた……」

「いや、これも悪くないんだけど、ちょっと様子を見に、ね?」

「はぁー、そうだよね、領地大切だもんね……」


 言ってから、サビナが俺から離れて背伸びをする。


「次はいつ来る?」


 サビナがニコッと笑って言った。

 え? いつだろう?

 俺とサビナの会うペースって最近多いだけで、普段だと数百年から千年とかのレベルだよな?

 いやでも結婚したし、年に一回ぐらいは来た方がいいのか?


「サビナはいつ来て欲しい?」


 ペースがさっぱり分からなかったので、サビナに委ねることにした。


「じゃあ明日」

「明日!?」

「冗談だよ……そんなに驚かなくても……」


 サビナは少しムスッとした様子で言った。


「ま、気が向いた時でいいよ。わたしたちって……ずっとそんな感じだし」

「そうだな。それじゃあ、もう行くよ」


 俺は【ゲート】を使おうとして、だけど魔力が霧散した。

 おっとぉ!?


「あ、ごめんアルト君、結界……張ってた」


 てへ、とサビナ。


「そそ、そうか……えっと、何のために?」

「念のためだよ」

「へ、へぇ……」

「だって……アルト君との時間、邪魔されたくなかったもん……」


 サビナがもじもじと照れながら言った。

 うーん、可愛い。

 そういう理由なら、仕方ないか!


「結界……解除したからもう魔法使っていいよ」

「ああ。じゃあまた来るから」


 俺が手を振ると、サビナも小さく手を振った。


◇


 俺が自宅に戻ったその瞬間、エレノアが駆け寄って来た。


「アルト様! いくらなんでも30日は長いです!」


 ガバッとエレノアが俺に抱き着いてきたので、俺はよしよしとエレノアの頭を撫でた。


「その間に、一体何回、あの魔王と勇者が訪ねてきたことか……」


 魔王!?

 起きたの!?

 いや、でも俺魔神だしな……怯える必要はないか。


「てか魔王がなんでニナと?」

「分かりませんが、どうせよからぬことですよ。ロザンナのことですから」


 え? ロザンナ?

 うん?

 魔王の話じゃなくて?

 もしかしてロザンナ、代理から正式に魔王になったのか??

 俺って神視点だから気付いてなかっただけで、ロザンナもめっちゃ強いんじゃ……。


「あ、それとアルト様」


 エレノアがスッと俺から離れ、丁寧に礼をする。

 ん?


「ご結婚、おめでとうございます」

「あ、ありがとな。サビナから聞いたのか」

「はい。無事、サビナを側室に迎えて頂き、感謝しております」

「うん、ああ……」


 えっと、俺は何て返せばいいの?

 どういたしまして?

 俺、サビナが可愛くてむしろ感謝したいぐらいなんだが?

 ちょっと軟禁されたとか勘違いしちゃったけど。


「千年後にはわたくしですね!」


「ああ、そうだな」と俺は頷いた。


「それで結婚式のことは決まりましたか?」


 あああああああ!

 何も決まってねぇぇぇぇ!!

 俺もサビナも、ただ堕落していただけの30日だったぁぁぁ!!

 まぁ、俺たち闇の住人だし堕落するのは別にいいけども。


「サビナからは全て順調と聞いておりますが?」


 サビナーーーーー!!

 テキトー言ってるぅぅ!

 サビナ意外とテキトーな性格してるぅぅ!!


 また近いうちにサビナに会いに行くか。

 結婚式、段取りしねぇとな。

 ああでも、その前にロザンナとニナは何の用だろう?


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