表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万年を生きる平和主義ヴァンパイア、いつの間にか世界最強に ~俺が魔王軍四天王で新たな始祖? 誰と間違ってんの?~  作者: 葉月双
ExtraStory

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

114/118

5話 騎士ブルクハルトの結婚・前編


 俺は自宅の衣装室で、フロックコートを着て身なりを整えた。


「どうだ鏡? 似合うか?」と俺。


「いいですねぇ。大きな犯罪組織のボスみたいですねぇ」


 姿見が若い男の声で言った。

 この大きな姿見は真実しか話さない。

 金色の枠に、アンティークっぽい装飾が施されていて、見た感じ高級そうな姿見だ。


「……着替えるか……」

「いえいえ、結婚式ならそれでオッケーですよぉ。てか、村の結婚式はいつもそれじゃないですかぁ。なぁんで今更、似合うか聞いたんです?」

「今日はどっかの城なんだよ、会場が」


 俺はタイを直しながら言った。


「城ですか。いいですね。近くに鏡があれば覗き見……いや、見学しましょうかね」


 姿見が言って、俺は肩をすくめた。

 こいつは確か、世界中の鏡と繋がっているとかなんとか言ってたな。

 事実かどうかは知らねぇけど。


「アルト様、どうですか?」


 赤い子供用のドレスに身を包んだエレノアが衣装室の奥から出てきた。

 騎士ブルクハルトの結婚式には、俺だけでなくエレノアも招待されている。


「いいと思うぞ」と俺。


 エレノアの隣にはうちの旅団のレヴァナントの少女も一緒だ。

 レヴァナントの少女は結婚式には呼ばれていないけど、エレノアの着替えを手伝いに来たのだ。

 ちなみにレヴァナントは種族名で、動く死体のことだ。

 ゾンビと違って綺麗な死体なので、パッと見ると生きているようだ。


「そうですか? こう、ヒラヒラスース―してわたくしはあまりいいと思いませんが……」


「馬子にも衣装」とレヴァナントの少女がボソッと言った。


 こいつ辛辣だな!

 しかしエレノアは意味が分からなかったのか聞こえなかったのか、スルーした。


「それにフードもないですし……」とエレノア。


「ドレスコードがあるからフードはダメだぞ」

「しかしアルト様、いざ誰かが光ったり輝いたりしたらどうすれば!?」

「人間は急に光ったりしねぇから!」

「しかし結婚式というのは、キラキラ輝くものだと旅団の連中が言っていました!」

「そりゃ物理的な意味じゃねぇよ!」


 新郎新婦の未来とか心とか、そういうのが輝いてるって意味だろ!


「そうですか……」エレノアが小さく息を吐く。「とりあえず、夜会だというのが救いですよ、わたくしには」


 エレノアは未だに太陽を完全に克服できていない。

 ビーチで肌を小麦色にできる日は遠いな。


「アルト様」レヴァナントの少女が言う。「結婚式って人間は昼間にすると思っていたんですけど、違うんですか?」


「あー、いわゆる『誓いの儀式』は昼間に家族だけで済ませるって招待状に書いてあったな」俺が言う。「その後はパレードがあって……これはブルクハルト……新郎が勇者パーティの騎士で、更に騎士団長という立場で、国を挙げてどうとかってポンちゃんが言ってたな」


 ちなみに勇者パーティはこのパレードに参加したようだ。

 ニナは数時間前に俺の衣装室で綺麗な服を着ていた。

 着ていたというか、ニナの母が着せてあげていた。



 ニナの母は「あんたは本当にもう、20歳も超えてどうしてドレスの一つも着れないのよ……」と溜息混じりに言っていた。

 ちなみにニナは「斬ることは得意だもん……」とはぁちゃんみたいな返答をしていた。


「ほうほう」とレヴァナントの少女が頷く。


「で、そういうのが全部終わって、仲のいい連中に新郎新婦を披露する場がこの夜会だ」


 すげぇハードスケジュールだよな。


「昼間に派手にパレードを行って権威を示したわけですね」エレノアがうんうんと頷きながら言う。「ではアルト様、わたくしたちの結婚式は魔界を挙げて行いましょう」


「ん?」


 わたくしたち?


「……アルト様、わたくしと婚約していること……もしかしてお忘れで……?」


 エレノアが半泣きで言った。


「おおお、覚えているさ! 当たり前だろ!? ヴァンパイアの未来がかかっているからな!」


 危ねぇ!

 普通に忘れてた!

 まぁどうせ1500年は先の話だしな!


 と、広間にポンちゃんの【ゲート】の反応があった。

 夜会のある城まで、ポンちゃんが連れて行ってくれるのだ。

 俺とエレノアは広間に移動し、レヴァナントの少女はブラピと遊ぶため別の部屋に移動した。


「あら、今日のノアちゃんは素敵ね」


 ポンちゃんがエレノアを見て言った。


「当然だ。わたくしはいつだって素敵なのだ」


 エレノアが小さい胸を張ってドヤ顔で言った。

 ちなみにポンちゃんは黒いドレスを着ていて、同じく黒い髪飾りを装備している。

 いつものとんがり帽子はドレスコードに引っかかるのだろう。


「アルト師匠も素敵よ」とポンちゃんが微笑む。

「ポンちゃんもな」と俺。


 ポンちゃんが照れたように頬を染めた。

 そしてコホンと、咳払い。


「それじゃあ、早速行きましょう」


 ポンちゃんが俺とエレノアを含めて【ゲート】を発動。

 次の瞬間には、綺麗な広い部屋に移動していた。


「やっほー」


 いい感じのドレス(俺の衣装室の)を着たニナが飛びついてきたので、俺はニナを受け止める。

 お前、20歳になっても俺に飛びついてくるのな。

 20歳って人間だと普通にお姉さんだと思うのだが。

 俺はニナを引き離したあと、部屋を見回す。

 質のいい調度品が複数置いてあり、柔らかそうなソファにロジャーが座っていた。


「ういっすアルトさん」


 俺と目が合ったロジャーが右手を上げる。

 俺も「うい」と右手を上げておいた。


「アルト様、お久しぶりです」


 ロジャーとは別のソファに座っていたカリーナが立ち上がり、深々と頭を下げた。

 めっちゃ礼儀正しい!

 さすが聖女!


「ああ、久しぶりだな」と俺。

「ここはわたしたち勇者パーティの控室なの」とポンちゃん。


 俺とエレノアは勇者パーティ枠なのか。

 魔王軍四天王と旅団長なんだけどな!

 そういや四天王としては何も仕事してねぇけど、まぁいいか。

 そもそも魔王城にすら行ってねぇしな。


「しっかし、ブルクハルトが結婚かぁ」とロジャー。

「その上、騎士団長で侯爵でしょう?」とポンちゃん。

「ふふっ、出世しましたねぇ」とカリーナ。

「ねー」とニナ。


 あれ?

 ニナだけニート……なのでは?

 確かロジャーが就職したとかポンちゃんが言っていた気がするけども。


「ん? オレに何か?」


 ロジャーが俺の視線に気づいて首を傾げた?


「いや、仕事を始めたって聞いて」


「ああ、仕事って言っても道場を始めたってだけだ」ロジャーが肩を竦めた。「教えることで、オレにも何か気付きがあると思ってな」


「なるほど。趣味と実益ってやつか」と俺。

「大繁盛してるのよね」とポンちゃん。


 へぇ。

 そうなると、やっぱりニートなのはニナだけか……。

 と、誰かが控室のドアをノックした。


「はぁい」とニナが返事をすると、「そろそろ夜会が始まります」と女の声がドアの向こうから聞こえた。

 どうやら、メイドが呼びに来たようだ。


「行きましょう」とカリーナがドアを開けた。


 俺たちはメイドに案内されて会場へと移動。

 大きな両開きのドアの前で一度立ち止まる。

 ちなみにドアは開いていて、両側に綺麗な鎧を着た兵士だか騎士だかが立っている。

 メイドが頭を下げて、俺たちから離れた。


「ブルクハルト様の仲間である、勇者パーティと大聖者様親子の到着です!!」


 右側の騎士が大きな声で言って、左側の騎士がラッパを吹いた。

 そして拍手喝采の中、俺たちは会場へと足を踏み入れる。

 俺たちが結婚するわけでもねぇのに、すごい歓迎だな。

 さて、会場はいわゆる大広間で、二階席に王族とブルクハルト夫妻の姿が見える。


「おお、色々な料理がありますね」


 ずっと黙っていたエレノアが、ウキウキした様子で言った。

 どうやら会場への入場は俺たちが最後だったらしい。

 国王が立ち上がってみんなに挨拶をして、次にブルクハルトが挨拶をした。

 そして音楽が流れ、二階席から降りてきたブルクハルト夫妻がファーストダンスを踊る。


 それが終わると、次は俺たちが自由に踊る番だ。

 まぁ俺は壁の花にでもなっておくか。

 とか思っていると、ニナがまるで紳士のように俺に手を差し伸べる。


「アルト、あたしと踊ってくれる?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ