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万年を生きる平和主義ヴァンパイア、いつの間にか世界最強に ~俺が魔王軍四天王で新たな始祖? 誰と間違ってんの?~  作者: 葉月双
ExtraStory

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4話 ポンちゃんの魔法探求


 俺がエレノアとチェスで遊んでいると、ポンちゃんが【ゲート】でやってきた。

 ここは俺の家の広間。


「我が義妹ではないか。どうしたのだ?」


 エレノアが偉そうな口調で言った。

 そういや、ポンちゃんとエレノアって義姉妹の契りだか何だかを交わしたんだっけ?

 ポンちゃんがニコッと笑う。


 意外と可愛いんだよな。

 出会ってから数年経過しているので、ポンちゃんの見た目は20代半ばのお姉さんって感じになっている。


「わたしの師匠が引退したから、アルトさんに新しい師匠になってほしくて」


 なんでだよ!?

 ビックリするわ!

 えっと、ポンちゃんの師匠って確か七大魔法使いの次席だったか?

 あと、いつの頃からかポンちゃんは俺のことを『アルトさん』と呼ぶようになっていた。

 出会った頃は『大聖者様』だったなぁ。


「アルトさん?」


 俺が返事をしなかったので、ポンちゃんがジッと俺を見つめる。

 エレノアがさり気なくチェスの駒を動かそうとしたので、俺は自分の目を指さしたあと、エレノアを指さした。


 見てるぞ、という意味だ。

 エレノアは慌てて手を引っ込めた。

 なんせ俺のターンだからな。

 つまりエレノアは不正をしようとしたってわけだ。

 俺はポンちゃんに視線を戻す。


「ポンちゃんってそもそも七大魔法使いだろ? 弟子を取る方じゃねぇの?」


「うっ……それはそうだけど……」ポンちゃんが視線を逸らしながら言う。「わたしはもっと魔法を探求したいのよ……」


「ふぅん。てか、エレノアが教えるとか何とか言ってなかったか?」


 俺は視線をエレノアに移す。


「すっかり忘れていました」


 はっはっは、とエレノアが笑った。

 だよなぁ!

 ポンちゃんに何かを教えている様子なかったもんな!


「とにかく、アルトさんはロジャーには武術を教えたでしょう? だからわたしには魔法を教えて欲しいの!」


 ポンちゃんが両手を胸の前で組んで言った。


「つっても、ロジャーに教えたのは村の子供らに教える護身術だぞ?」


「では」エレノアが淡々と言う。「村の子供たちに教える魔法を教えればいいのでは?」


 まぁ確かに。

 俺としても別に教えるのはいいんだけど、七大魔法使いのポンちゃんに得るものがあるのだろうか?


「それでいいか?」


 俺が聞くと、ポンちゃんが大きく頷いた。

 本人がいいならいいか。



 数日後、村の広場で俺は魔法の講義を始めた。

 子供たちに交じってニナとポンちゃんとエレノアも地面に座っている。

 俺が村で子供たちに何かを教える時、だいたいニナもいるんだよなぁ。

 なんかもう勇者パーティの再結成はなさそうな気がする。

 休戦だか停戦だかが延々と続いているし。

 なんとなくだけど、このまま終戦するんじゃねぇの?


「じゃあ、まずは俺が作った魔力を少し増やすポーションを配るぞ」


 俺は『異次元ポケット』から水色のポーションを取り出して、みんなに配った。

 そうすると、みんなグビグビとポーションを飲み始める。


「ぷはー、このために生きてるぜぇ!」とケンチー。

「この味が忘れられないのぉ」とエリザ。

「さすが領主様、美味しいです」とアナト。


 ケンチーとアナトが男の子で、エリザが女の子。

 この三人は世代が同じなのでよく一緒にいる。


「って! めちゃくちゃ魔力が増えたんだけど!?」


 ポンちゃんが大きな声で言った。

 それはさすがに大げさじゃね?

 俺が錬成したポーションだし、そんなすごいもんじゃねぇぞ。


「美味しいのでおかわりが欲しいぐらいです」とエレノア。


 ああ、味は保証するぜ!

 美味しさ重視なんだ。

 とはいえ、一気に飲みすぎない方がいいので、おかわりはナシだ。


「よぉし、じゃあみんな前に教えた蒼炎は使えるようになったか?」

「「はーい」」

「ええ!? 蒼炎!?」


 子供たちは元気よく手を挙げて、ポンちゃんが酷く驚いた風にビクッとなった。


「先生、使えません!」


 ニナがキリっとした表情で言った。

 ああ、うん、ニナは魔法苦手だもんな。

 それでも勇者なので、【浄化】とか【ヒール】とかは使えるようになったみたいだけど。


「ニナは普通の炎でいいから、みんな【ファイアーボール】を作ってみようか」

「「はぁい!」」


 子供たちが一斉に蒼炎の【ファイアーボール】を作る。



 ポンティは激しく動揺していた。

 蒼炎はそんな簡単に使えるような魔法じゃない。

 少なくとも、ポンティが子供の頃には使えなかった。


「見て見て!」エリザが言う。「二つ同時に作ったよ!」


「その年齢でデュアルキャスト!?」


 ポンティはまたまた激しく動揺した。


「ふっふっふ、わたくしなど四つだ!」


 どやぁ、とエレノアが蒼炎の【ファイアーボール】を4つ浮かべた。


「すっげぇ!」と子供たちが目をキラキラさせてエレノアを見た。


「うぅん、難しいよぉ……」


 ニナの普通の【ファイアーボール】はとっても変な形をしていた。


(そうよね!? 普通そうよね!? あっさり蒼炎を使う子供たちがおかしいのよね!?)


「ポンちゃんどうした? 蒼炎は使えるだろ?」とアルト。


「も、もちろんよ! わたしも四つよ!」


 ポンティは蒼炎の【ファイアーボール】を4個同時に創造した。


「「おぉ!」」


 子供たちが再び目をキラキラさせてポンティを見つめる。


(なんとか七大魔法使いの威厳は保てたわね)


「ポンちゃんそれ一個にまとめられるか?」

「え? ええ……」


 ポンティは4個の【ファイアーボール】を一つの大きな塊にして少し高い位置に滞空させる。


「黒炎にできるか?」

「それはちょっと……」


 ポンティが苦笑い。


「ふむ。ちょっと背中に触るぞ」


 言って、アルトがポンティの背後に回り、右手をポンティの背中に当てた。

 その瞬間、ポンティの中の魔力の流れが急激によくなり、ポンティの蒼い炎が黒く変化する、


「こ、黒炎!?」


 ポンティは黒炎の壁をずっと超えられなかったのだが。


「今の感覚を覚えておけば、一人でも黒炎を使えると思うぞ」


 アルトが淡々と言って、ポンティの背中から手を放す。


「す、すごい……ありがとうアルトさん……いえ、これからはアルト師匠と呼ぶわね!」

「ん? ああ、別に何でもいいけど……」



 ポンちゃんはとっても喜んでいるようで、俺も嬉しい。

 というか、七大魔法使いなのに黒炎を使えなかったのか。

 あれなのか?

 使える魔法の種類は多いけど威力はいまいち、みたいなタイプか?


「ところでアルト師匠」ポンちゃんが急に真面目な表情で言う。「これどうすれば……?」


「これって?」と俺。


 ポンちゃんが空中で黒々と燃える大きな【ファイアーボール】に視線を向けた。

 え? 消すなり空に放つなりすればいいのでは?

 子供たちもエレノアも(なんならニナも)すでに自分の【ファイアーボール】を消している。


「う、うまく制御が……できなくて……どこかに放ちたいのだけれど?」


 えへへ、とポンちゃんが引きつった笑みを浮かべる。


「へいへーい、こっちパース!」


 ニナがニッコニコで言った。


「よろしくニナ!」


 ポンちゃんは一切迷わずニナに向けて黒炎の【ファイアーボール】を放った。


「サマーソルトキック!!」


 ニナがぐるんとバク中するように【ファイアーボール】を蹴り上げた。

 そうすると、【ファイアーボール】は天高く舞い上がり、そこで炸裂した。


「ニナ姉ちゃんって、やっぱイカレてるよなぁ」とケンチー。

「さすがに黒炎は蹴れないよぉ」とエリザ。

「ニートでも勇者ってことだね」とアナト。

「……やはり恐ろしい相手……まだわたくしより強いか……」とエレノア


 他の子供たちも口々にニナを褒める。

 そういやニナはまだ定職に就いていないようだ。

 いや、時々は勇者としての活動をしているみたいだから、ニートってわけじゃなさそうだけど。


「ふふん」


 ニナが小さい胸を張ってご満悦。

 ポンちゃんがホッと息をついて、俺を見る。


「アルト師匠、本当にありがとうございます」


 そして深々と頭を下げた。


「ああ、いいさ」


 実際のところ、俺は大したことはしてねぇんだよなぁ。

 ポンちゃんの魔力の流れを良くしたのと、黒炎を作るのを手伝っただけなんだよなぁ。

 その後、俺は【ヒール】を教え、最後にみんなに白炎を自慢した。

 そして講義が終わって解散する頃、ポンちゃんが「そういえば」と前置きして言う。


「近いうちにブルクハルトが結婚するわ」

「ええ!? 誰と!?」


 前はニナといい感じだったのでは!?

 でもニナに結婚するような様子はないっ!


「どこかの貴族令嬢よ」

「そ、そうか……」


 政略結婚ってやつか?


「幼い頃からの婚約者で、とりあえず結婚式の招待状がアルト師匠にも届くと思うわ」

「お、おう……分かった」


 村でも結婚式にはいつも呼ばれているので、ある意味俺は結婚式参加マスターだ。


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