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「昴離してよ!!」
「離さない!!」
「じゃあせめて止まってよ!
由利亜が」
「止まらない」
これの繰り返し
何一つききいれてくれない
「そんなに悲しいなら…」
ボソッと言われた言葉
でもきこえない
「なに?」
「泣くほど悲しいなら…俺んとこに来いよ!!
俺はいつでもお前のこと受け止めるつもりだ
なんで頼らないんだよ
小さいときからずっと一緒だったくせに!」
気がつくと昴は止まっていて
もう瑠璃の家の前だった
けど手を離さないことは変わらない
頼れるわけなんてない
今までは知らなかったで片付いたかもしれない
でも由利亜の気持ちを知った今
これ以上傷つけるなんて出来ない
それにみんなを想ったまま飛び込むなんて
昴をも傷つける
黙り込む瑠璃
そんな2人の前に一台のワゴン車が止まる
もしかして…
思った通りで中からはみんなが出てくる
昴がいるのに…どうしよ…
「あれ…この人達って瑠璃の好きな…」
驚きを隠せない昴など
さもいないように
みんなは瑠璃に近づき
愁が瑠璃を抱きしめた
「別れるなんて…二度と言わないでくれ
俺らは瑠璃を本気で愛してるんだから」
だめ!!
引き離そうと暴れる瑠璃を
さらに強く強く愁は抱きしめた
「なんで…瑠璃まさか…瑠璃の彼氏って…」
全てに気づいたように昴がつげる
昴は大丈夫かもしれない
でも私達の関係がもっと多くの人にばれたら?
間違いなくそれはみんなに悪影響を及ぼす
「そうだよ俺らが瑠璃の彼氏
前にちょっと電話で話したよね?
その節はどうも」
和やかな感じになるわけもなく
キスマークをつけた昴に
みんなは敵意むき出しだった
まだ間に合う否定しなきゃ
離れようと暴れながら
「あのね…私達はね…別に…」
言い訳しようとする瑠璃に
愁は
「瑠璃ちょっと黙ってて」
「ん…むぅ…や…ぁ」
口づけをする
そして耳元で誰にもきこえない声で
「それとも瑠璃が俺らとしたことは…ぜーんぶ別になんてことなかったの?」
顔がぼっと赤くなり瑠璃は黙り込んだ
「あんた達が瑠璃を泣かしたのか…」
昴も敵意むき出しで
さっきまで有名人が目の前にいた驚きは嘘だったみたいだ
「だったらなに?
瑠璃が俺らに焦がれて泣いてたって?
それだけ俺らを愛してるからでしょ
君には関係ないよ」
「関係あるし!!
俺は瑠璃が好きだから!」
みんなに焦りはなく
昴ばかりが取り乱してる気がする
「関係ないよそんなの
瑠璃と俺らの問題だからね
君が好きだろうと嫌いだろうと関係ないんだよ
もういいかな?
俺らは瑠璃と話をするために来たんだ」
「話なんてありませんから!!
電話でも言ったじゃないですか
もう一緒にいられない
もう一緒に…いたく…ないんです」
一瞬緩んだ愁の腕からすり抜けて
瑠璃は家の中に飛び込む
ドアを背にもたれかける
みんなの顔をみたくない
これ以上…決心を鈍らせたくない
「瑠璃…」
みんなの切なげな声が背にかかると
やっぱりまだ抱きしめたくなる
でも…私は今日ちゃんとみんなとの関係に終止符をうつ
誰かがポストから封筒をいれ
封筒が床におちるおとがする
それを入れて、みんなは去って行った
全部終わったんだ…
泣き崩れる瑠璃
目の前にある封筒は
みんなからの最後の贈り物
愛しい…強いおもいで抱きしめる
「瑠璃あの…」
行き場を失った昴の声がきこえる
「ごめん…今日は帰って…」
誰もいなくなり訪れた静寂のなか
瑠璃は声をあらげて泣いた
泣いて泣いて泣きくれた
涙がかれるまで
聴くつもりはまだないタイトルのないCDには
for you
とだけ書かれていた




