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第八話 戦闘

三体が、同時に動いた。

一体目が正面から腕を振り下ろしてくる。

横に跳んで軽々と躱す。

腕が地面を叩いた。

石畳が砕けた。

怪物バンキッシャーの小柄な見た目によらず、力は相当強いらしい。


間髪入れずに、2体目が飛びかかってくる。

それを右手の剣で受け止める。

「っ…重い」

受け止めている隙に、3体目が追加で飛びかかってきているのが見えた。

「まずいっ!」

左の刀で受け流す。

そのまま、全身で受け流して回避する。


あまりの衝撃に、弾き飛ばされた。

廃墟の壁に背中がぶつかる。

「くっ!」


痛がっている暇などない。

三体目が上から来た。

両刀を交差させて受け止める。

膝が折れそうになる。

そのまま力任せに弾き返す。

体はなんとかその場で留まっている。

一度、体制を立て直すために森の中へ走り出す。


茂みの中で様子を伺う。

怪物バンキッシャーはこちらを探しているようだ。

見つかるのも時間の問題と言ったところだろう。

「一体…ずつ…片付ける…」

すでに息が切れてきている。

三体同時は無理だ。

実力差があろうと、人数差は流石にきつい。

散らす必要がある。


「よしっ…!」

息を整え、茂みの中から颯爽と抜け出す。


バァーン!

右の剣で石畳の地面を叩き、怪物バンキッシャーの意識を動揺させる。

音の衝撃波が広がって、三体のうちの一体に僅かに隙ができた。

それを逃さずに、一体目に踏み込む。

二刀を交差させて、首元を薙いだ。

深く入った。

怪物バンキッシャーが崩れ始める。

霧のように散って、消えた。

まずは一体。


顔を上げると、二体目がこちらを向いている。

大きく腕を振り上げているようだ。

しかし、造作もない単純な動きだ。

素早く躱して、背後に回る。

右の剣を背中に突き立てた。

断末魔の音が響いた。

霧になって、消えた。

二体。


三体目が来た。

さっきより動きが速い。

左右に動きを散らし、こちらに向かってくる。

他の怪物バンキッシャーの死に様を見て、学習しているとでも言うのだろうか。

腕が来た。

受け止めようとして、間に合わなかった。

「ぐっ…!」

腕が脇腹をかすめた。

吹き飛ばされた。

衝撃で遠くまで転がった。

「ちっ…!くっ…」


立ち上がろうとした。

三体目が迫ってきていた。

体の奥から、ソウルを引き出す。

赤いオーラが濃くなった。

両手が熱くなる。

ここでソウルを増幅させるのはまずいのかもしれない。

しかし、死ぬよりかは幾分かマシだ。

消耗する感覚が、全身に巡っている。


三体目が腕を振り上げた瞬間。


「そこを右に!」

廃墟群の中から声がした。

重たい足をなんとか動かし、反射的に右に跳んだ。

怪物バンキッシャーの腕が空を切った。

振り返ると、廃墟の影から人影が現れた。


灰色のロングヘア。

綺麗な装い。

ラヴェンツァだった。

「意外とやるじゃん」

冷静な声だった。


すでに魂の武器(ソウルアーマメント)を顕現させていた。

メイスに似た重厚な武器。

紫色のオーラが、静かに滲み出ていた。


「…助かりました」

「お礼は後」

「くるよっ!」


三体目がこちらに向き直った。

ラヴェンツァが正面から踏み込んだ。

ドレスを纏っているはずなのに、風のように速い。

そして、無駄な動きが全くない。

攻撃も一撃一撃が正確で、確実に怪物バンキッシャーの体力を削って行ってる。

「右から来ます!」


「わかって…るッ!」

既に躱していた。

ラヴェンツァが右から颯爽と怪物バンキッシャーに向かって行っている。

それを見て、左から徐々に踏み込んで行く。


攻撃が来たのはこっちだった。

二刀を交差させて、怪物バンキッシャーの腕を受け止める。

その隙に、ラヴェンツァが側面から重厚な一撃を叩きつけた。

怪物バンキッシャーが、よろめいた。

大きな隙ができている。

「キース!」

ラヴェンツァが言った。

「はい!」


二人で同時に踏み込んだ。

怪物バンキッシャーの体に、深い傷が走った。

断末魔の音が響いた。

霧になって、消えた。

静寂が戻った。

荒い息が、廃墟に響いた。


「…強いですね」

思わず言った。

ラヴェンツァは少し間を置いた。

「あなたもね」

「いい共闘だったよ」

それだけだった。


「そういえば、脇腹は?」

「見ていたんですか」

「少し前から」

「なんで助けてくれなかったんですか」


「最初に会ったら、そこでコンビが確定してしまうじゃない」

「コンビとして共闘する前に、戦闘能力を見ておきたかったのよ」

「合理的な理由でしょ?」

つまり、助けに来てくれたと言うことは認めてくれたと言うことの裏返しでもある。

ここは静かに肯定しておこう。

「そうっすね…」

適当に肯定した。

「反応薄…」


「そういえば、赤いのね」

ラヴェンツァが魂の形(ソウルレムナント)を見て言った。

「珍しいですか?」


「そんなことないと思うけど…」

「言われてみれば、あんまり見ないのかもね」

廃墟に風が吹いた。

二人で向き合った。

どちらも言葉を出さなかった。


「…ラヴェンツァさん」

「そんな重そうな武器持って、よくあんなに速く動けますね」


「…ラヴェンツァでいいわよ」

「年下に呼び捨てで呼ばれるのは癪だけど…」

「これからコンビになるんだし」

「あ、敬語はつけなさいよ?年功序列よ!」


「呼び捨てはいいのに、敬語はダメなんすね…」

思わず本音が漏れる。

「なんか言った!?!?」

ラヴェンツァがその発言に異様に突っかかってくる。

「なんでもないっす…」


「とりあえず」

ラヴェンツァが口を開いた。

「ここから出よう」

「まずは脱出が最優先よ」

「ですね」


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