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【第二章開幕】エンド・オブ・クロニクル 〜神話へと続く旅路〜【2000PV突破】  作者: 百瀬 三月
第二章 大会編

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2-1-20 役割

フィリアはかなり後方から援護射撃をしてきている。

しかし、リシアの銃のように場所がわかる射撃時の銃口閃光はない。

矢が飛んでくる軌道もほぼ見えない。

頼りになるのは弦を引いた時の音だけ。


すぐ隣ではキースが戦っている。

幸いなことに、リシアはキースにしか興味がないらしい。

援護しない限り攻撃をしてくる気配はない。


フィリアも同様に、キースだけを正確に狙い続けている。

一度でも矢を通過させてしまうと、キースは間違いなく退場となるだろう。

だからこそ絶対に守る必要がある。


その状況に唇を強く噛んだ。

相手から眼中にないと言われている気がしてならない。


そんなことを考えていると、後方から弦の音が聞こえた。

しかし、すぐ後ろではキースが戦闘をしている。


何より、さっきまで前方から矢が飛んできていたはず。

たった数秒で100メートル近く移動していることになる。


そう考えながらも体が先に動いていた。

すぐにステップを絡めて切り返し、キースの左側へと回り込む。

移動するとすでに前から矢が迫ってきている。


キースの胴体を狙って撃たれた一本を、軽くメイスで薙ぎ払う。

地面に落ちて消えていった。

それと同時に、弦の音が同じ箇所から聞こえた。

すぐに立て直して前に視線を向ける。

二本目はすでに放たれていて、木々の間を縫って向かってきているのが見える。

しかし、一本目とは速度が明らかに速くなっている。

ただ一本ずつなら安全に対処すれば問題ないだろう。


二本目は腕を狙って放たれていた。

速度に合わせて、着弾点を予測して薙ぎ払った。

カキン。

ちょうど鏃の部分がメイスとぶつかった。

振り落とすまでは行かなかったが、軌道がずれて木に刺さった。


まだ弦の音は聞こえない。

移動中なのだろうか。

一瞬だけキースの方を見る。


そこにはリシア相手に苦戦する彼の姿があった。

たった数秒の間だったが、腕にはかすり傷ができている。

しかもリシアはまだ傷を負っていないように見える。


せめて二対一にできれば楽になるはず。


そう考えていると、今度はさっきと少しズレた場所から弦の音が聞こえた。

咄嗟に足が音の方向へと動き出した。


「ダメだ!」

キースの声が突き出した足を止めた。

「それじゃあ相手の思う壺!」

「一旦は、落ち着いて矢を防いでくれ!」

メイスの柄を強く握りしめた。


言われなくてもわかってる。

二対二なのだから、遠距離攻撃ができる相手の方が有利になる。

しかも、リシアに対して攻撃する暇が絶妙にできないように攻撃を仕掛けてきている。

たとえリシアに攻撃をして、どちらかが退場したら元も子もない。

この状況で一人でも退場するというのは、ほぼ敗北を意味する。


だから、常に不利な状況から脱しようとしたのかもしれない。

せめてもう少しだけ対応力があれば、不利な状況には陥らなかったのかもしれない。


キースの言葉には直接答えなかった。

ただ目を閉じて深く深呼吸をする。



そのまま目を閉じたまま、改めて耳を研ぎ澄ませる。

木々のざわめき、戦闘音、脈拍。

さっきより冷静になったからなのだろうか。

より鮮明に聞こえる。


そして、その中に木の葉を踏む音がかすかに聞こえてきた。

しかしあまりにも微弱で、それが聞こえるという事象だけ。

どこから聞こえ、それが本当にフィリアのものなのかも定かではない。


その瞬間、弦の音が聞こえた。

今度は最初と同じ場所からだった。


地面を蹴り上げて音の方へと体を動かす。

目の前に見えるのは、ほぼ三本同時に放たれた矢だった。

一本ずつという制約があるわけではないらしい。

ただ、その三本はほぼ同じ頭部を狙っていた。

幸いなことに、完全に同時ではなくある程度の時間差があった。


それでも三本同時にだからこそ、一本ずつの時とは難易度が桁違いに跳ね上がる。

ある程度処理を失敗してもいいように、少しだけ前に出る。


一呼吸置いて、前へとステップを踏み込んだ。


まずは一本目。

空気抵抗で頭よりは少し下がっており、首あたりを狙っていた。

それをメイスで突くように押し上げ、遥か頭上へと軌道を変更させた。

一本目がこちらに当たることはないだろう。


そして間髪入れずに二本目が迫ってきている。

これも同じように首あたりを狙っている。

ただし、一本目と二本目の間には0.1秒の隙間もない。

さっき使ったメイスで頭上へは動作が追いつかない。


咄嗟にメイスの顕現を解除した。

一本目の動作が反動として残っているうちに、地面に右手を密着させた。

そのままの勢いで体を支え、側転を繰り出す。

そして両足で矢を蹴り出した。

咄嗟に思いついたことだったが、なんとか型にハマり矢の勢いを殺すことができた。


最後に三本目。

これは明確に頭を狙ってきている。

これも猶予は0.1秒ほどしかない。

体勢を立て直している余裕などない。

側転の勢いのまま空中に放り出されるのを利用して、空中でメイスを再顕現させた。

そして空中で矢を突き上げた。


なんとか成功し、三本同時を防ぐことができた。


そして、着地した瞬間に奥に人影が見えた。

「あれが……?」


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