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【第二章開幕】エンド・オブ・クロニクル 〜神話へと続く旅路〜【2000PV突破】  作者: 百瀬 三月
第二章 大会編

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1.大会 2-1-1 お祭り

セントラル・サンクタム サンクタム学術院アカデミー


『ヴァンガード・フェスティバル』


サンクタム学術院アカデミーで年に一回行われている、戦闘で雌雄を決する祭典。

他国の学術院アカデミーからも優秀な生徒がやってくる。

今年のフェスティバルは、学術院アカデミー史上稀に見る盛り上がりを見せていた。

生徒たちによる予選が始まり、アリーナは歓声の熱気に包まれていた。


————


セントラル・サンクタム サンクタム学術院アカデミー 校門前


「行くわよ!!!」

アリスが勢いよく声を出した。

手を腰に添え、威勢よく胸を突き出している。

周りからは白い目で見られているような気がする。

視線が痛い。


「いいよ俺は……部屋で休んでるって……」

デイジーはそのまま校内へと戻ろうしていた。

そこをアリスが服の袖を掴んで引き戻す。

「ダメ!!!」

また大きな声が響いた。

視線がさらにこちらに向いている。

「せっかくのフェスティバルなのよ?」

彼女は周りの目を気にしていない様子だ。

目が光り輝いている。

「遊ばなきゃ損でしょ!!!」

「ほら!!!さっさと行くよ!!!」

アリスがデイジーの腕を引っ張って人混みの中を進んで行った。


その後を追いかけるように進む。

彼女の元気な姿とは裏腹に気は進まない。


「なんでアリスはあんなに元気なのかしらね……」

ラヴェンツァが呆れたように言いながらも、その足取りは軽いように感じられる。

いつもの緊張感が感じられない。

「そう言う割には楽しそうじゃない?」

いじるように聞いてみた。


だが、彼女は気恥ずかしくなる様子がない。

「まぁそれなりにね」

意外な答えが返ってきた。

「今日くらいは羽目を外してもバチは当たらないわよ」

「にしてもアリスは羽目を外しすぎだわ……」

「同感」


二人揃って奥を見た。

雑踏の奥にアリスとデイジーが見える。

屋台の前で何かを食べているようだ。

「祭りは食べてなんぼでしょ! 」


「歩くの速いって……」

デイジーが小さく呟きながらも、まだ腕を離させてもらえないようだ。

彼の助けを求めるような目がこちらを見ている。

「かわいそうに……」


少し遅れてその後をついて歩いていた。

大会予選まではまだ時間がある。

明日以降はさらに忙しくなるだろう。

四人揃って自由に動けるのは、この時間くらいだった。


「キースもなんか食べたら?」

ラヴェンツァが隣にある屋台を指差しながら言った。

「唐突だね」


「これから大会の予選よ?」

「今のうちに食べておいたらって提案よ」

ラヴェンツァがそう言うと、彼女の腹から音が鳴った。

その音は二人の間にしか聞こえなかったが、彼女の顔が赤くなった。

その表情を見て、なんとなく察した。

「あ〜なるほどね〜」

「じゃあ買いに行くかー」

ほぼ棒読みで言った。

「お気遣いどうも……」

彼女は顔が赤くなりながら視線を下に向けていた。


屋台でポテトフライを買い、食べながら進んでいく。

視線は自然と会場全体に流れていた。

旗、装飾、人の波。

どこを見ても祭りの熱気に満ちている。



しばらく食べ歩きを続けていると、遠くから野太い声が響いた。

「お〜い」

その声がさっきより鮮明に聞こえた。

聞き覚えのある声色に、自然と肩がぴくりと動く。

振り返るより先に、大きな手のひらが頭にぽんと乗せられた。


「久しぶりだな、キース」

「叔父さん!?!?」

思わず目を丸くする。

そこに立っていたのは、ガルトだった。

記憶よりも少しだけ日に焼けた顔をしている気がする。


「え、誰?」

アリスが目を丸くして見上げる。

「育て親だよ。俺の叔父さん」

三人に耳打ちするように言った。

それを聞いたラヴェンツァが姿勢を正した。

「初めまして、ラヴェンツァ・ヴェイルと申します」


「おお、丁寧にありがとうな」

「お前がキースのバディか」


「ええ、まあ」

ラヴェンツァが一歩引いて答えた。


「キースが友達できなかったらやばいなって思ってたけど、これなら杞憂で終わりそうだな!」

「まだまだ未熟だけど能力は確かだから!これからも仲良くしてやってくれ」

ガルトは気前よく笑った。

少し引いている三人を横目に気にする様子もない。

デイジーは黙って一歩下がり、様子を窺うようにガルトを見ていた。


「でも、なんでわざわざ来たの?」

尋ねると、ガルトは笑みを崩さずに答えた。


「んなもん、お前の晴れ舞台を見にきたに決まってるだろ」


その言葉に、少しだけ視線を逸らした。

何と返せばいいのか、うまく言葉が出てこない。

嬉しいのはもちろんなのだが、愚直に声には出せない。


「来れるのは今日だけなんだがな」

「まぁ無理すんなよ」

ガルトがそれだけ言って、また笑った。



その温かい空気が続いたのは、ほんの数秒だった。


「——ラヴェンツァ」

低く、冷たい声が割り込んだ。

その場にいた五人が同時に振り返る。


人混みの中、まっすぐにこちらへ向かって歩いてくる一人の男の姿があった。

小綺麗なスーツに身を包み、金髪を撫でつけたその男は、まるでその場だけ空気が変わったかのような威圧感を放っていた。


ラヴェンツァの表情が、一瞬で強張った。



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