たこパでも戦はできる!
マンモスうれピー奈と申します!
学業との両立を目指し『毎日投稿』を目標に掲げているので、応援の程よろしくお願いします〜〜!
※本作はカクヨム様にも重複投稿しております。
東西南北の好きな寿司ネタ。
東雲──ハマチ
西宮──穴子
江南──たまご
北上──ウニ
コンパスハウスでは日夜、夕飯会議が熾烈を極めているが、もちろんそうでない日も存在する。
「ね、今日はたこパしよーよ」
土曜日の夕方。風邪から完全回復した江南の提案を受けて、リビングで思い思いの過ごし方をしていた他の面々は顔を上げる。
「いいね、たこ焼きなら私に任せて!」
自信ありげな様子で、真っ先に賛同する東雲。
「たこパいいわね。休日なのだし、ゆっくり食べれそう」
海鮮が嫌いだが、江南にはめっぽう甘い北上。
「いや待て。たこパをするにあたって、江南と東雲の認識に齟齬があるから正しておきたいんだが……」
例の如く、掲示された案に異議を唱える西宮。
しかし。
「なに言ってんのよ西宮。たこパはたこパでしょ?」
「そーだよみや様! たこパはたこパ以上でもたこパ以下でもないんだよ?」
「今日に関しては、既に賛成多数だものねぇ」
西宮は早々に抵抗が無意味と悟り、「あー、わかったよ」と頭をぽりぽり掻く。
一見、和やかに始まりそうなコンパスハウスの夕食だが、果たして。
食材の買い出しへ出向く東南を見送った、西宮と北上。
連れ立ってリビングに戻った二人は、ホットプレートの準備に取り掛かる。
机上に鉄板の設置を進める北上を横目に、「具材のリクエストなんかあるか?」とスマホ片手に尋ねる西宮。
「江南から、『入れたい具材あれば教えて』って連絡きてんだけど」
「そうねぇ。ミニトマトとアボカドを頼める?」
健康志向の北上は、たこパといった小規模なイベント事でもその姿勢は崩さない。
たこパの具材ではまぁ妥当と言える食材を列挙した北上に対し、西宮は「やっぱりお前もこっち側だよな」と嘆息する。
「こっち側って……どういうこと?」
「いいか北上。東雲は関西出身だ」
西宮の言う通り、東雲は関西の生まれであった。ただ、親の転勤の都合で中学に上がる頃に上京したせいか、日常生活では訛りを一切見せない。
「えぇ、たしかそうだったかしら。それがどうかしたの?」
未だ意味を解さない北上の反応を受けて、西宮は「世の中にはたこパを娯楽と思わない人間もいるんだよ」と諦念を孕んだ遠い目をした。
「ま、二人が帰ってきたらわたしの言いたいことが分かる。……よし、アボカドとミニトマト頼んどいたぞ」
スマホで操作を終えた西宮に、北上は「ありがとね」とお礼を述べたものの、頭の中は疑問符が占めていた。
コンパスハウスには、なにやら暗雲が漂い始めていた。
♢
♦︎
♢
いつもより荒っぽく開けられたドアの音を耳にし、艶のある黒髪をはためかせながら「おかえりなさい」と玄関に出迎える北上。
「うんただいま。あっ江南さん『たこパで使う食材以外』は冷蔵庫に入れといて? キムチとかソーセージとか、一体なにに使うか皆目見当がつかないんだけどー。まさかそれ、たこ焼きにいれるわけじゃないよね?」
「やだなぁののちゃん、今日はたこパの買い出しに行ったんだよ? たこパで使う食材しか買ってないじゃんか。あ、きたがみただいまー」
『空気を読まない』でお馴染みの北上は、二人の間に流れる険悪なムードを馬鹿正直に言い表してしまう。
「もしかして二人、喧嘩でもしたの?」
無言で青筋を立てる東雲と、これまた無言で頬を膨らませる江南。沈黙こそが肯定と物語っていた。
「ホットプレートは用意してるわよー。生地ができたら焼き始めましょう?」
『……ふんっ』
二人揃って顔を背ける江南と東雲。リビングのソファでくつろいでいた西宮は、「喧嘩してても息ぴったりなのかよ」と密かにツッコミを入れていた。
♢
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♢
キッチンでタコをぶつ切りにする東雲に向かって、西宮は「大人気ないぞ」と苦言を呈する。
「……仕方ないでしょ。タコを入れるから『たこ焼き』と言うのであって、具材がソーセージとか明太子とか、もう別の食べ物じゃん」
すっかりいじけてしまった東雲は、それでも食材を切る手は止めずに、段々とヒートアップしていく。
「そう、そうだよ! まだ餅とかチーズは分かる。でもホットケーキミックスとチョコはなにこれ? What do you imi? 普通にフライパンで焼けばよくない!? チョコに至ってはそのまま食べればよくない!? 鉄板を甘味で汚すだなんて、たこ焼きに対する冒涜だよっ!」
「落ち着け」
声を荒げる東雲を、江南はかわいそうな人を見る目で「ののちゃんはまだ、たこパの楽しみを知らないんだ」と呟く。
「は? 誰よりも知ってるって。たこ焼きほど奥が深い食べ物はそうそうないよ? メリケン粉や出汁の組み合わせによって全く別の味や食感になるし、流派も色々あってね? 例えば私の実家では──」
生地に摺った長芋を入れたほうがいいだの揚げ玉は最初に鉄板に入れるだの云々、熱く語り始めた東雲を見て、三人の心は一つになった。
「めんどくせぇな東雲」
「ののちゃんめんどくさーい」
「何かに情熱を持てるのは良いことよね、面倒くさいけど」
「みんなひどいっ。でもいいよ、私が究極のたこ焼きを作ってあげる!」
他のひんしゅくを買ってなお、闘志を漲らせる東雲。
呆れた様子の三人は、「わたしらはわたしらで進めてよーぜ」「そーしよ! ねぇきたがみ、ちくわ切ってー」「いいわよ……このくらいの大きさでいいのかしら?」「適当でいーんだよそんなもん。てか自分でやれ」「うちは生地をクルクル回す係!」と楽しそうに準備を始める。その様子を傍目に、紅生姜をダンダンダンとみじん切りする東雲。
みんなでわいわい作る楽しさ。きっとそれがたこパの醍醐味。
最後まで読んでいただきありがとうございます✨
たこ焼きで関西の血が騒ぐのは仕方ないかな〜なんて思ってます! 作者は明石焼きも大好きです。
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※次の更新は、「11/6 19:00』を予定しております。




