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腹が減っても戦はできる!  作者: マンモスうれピー奈


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病人がいても戦はできる!

マンモスうれピー奈と申します!

学業との両立を目指し『毎日投稿』を目標に掲げているので、応援の程よろしくお願いします〜〜!


※本作はカクヨム様にも重複投稿しております。

 東西南北の家族構成。

 東雲──5つ上に兄

 西宮──2つ下に妹

 江南──3つ下に双子の弟妹

 北上──1人っ子



 今夜のコンパスハウスは、通常とは異なる様相を見せていた。いやリビングでテーブル越しに対峙しているその様はいつもと変わりないのだが、一人、ムードメーカの甘ギャルである江南《えなみ》の姿だけがどこにも見当たらない。

 元気印の江南は、病に侵され病床に伏して自室で寝ているのだった。


 コンパスハウスの愛されキャラである江南の身を案じて、残りの面々は一丸となる。


「もちろん、今日は私が栄養たっぷりのご飯を作るから。二人もそれでいいよね?」


 そう、一丸となって……。


「冗談はよせよ、江南はわたしの子分なんだ。あいつがいま一番食べたいものを理解しているこのわたしに任せろ」


 一丸となって……。


「悪いけどミヤちゃんにだけは任せられないわ。ここは健康食品マニアのあたしが主導するべきじゃないかしら?」


 まったく一丸となっていなかった。



 今夜は、変則的な夕食会議が行われるようです。





 まずは東雲《しののめ》と北上《きたがみ》が結託し、西宮《にしみや》を弾圧にかかる。


「西宮に任せられないって意見には私も完全に同意。西宮《あんた》のせいで江南《えなみ》さんの風邪は悪化したのよ?」

「は? なんで江南の風邪の悪化がわたしの責任なんだよ」

「ミヤちゃんが行きも帰りもタクシーを使わなかったのがいけないのよ」


 いつも通り口調が強い東雲と、今日は一段と言葉が刺々しい北上。江南の身を案じて口火を切る。


「ベッドから動けないほどの高熱があったのに、片道20分もの道のりを病人に歩かせるってどうなのかしら?」

「……金がなかったんだよ。タクシー代も診察代もいくら掛かるか分かんなかったし」

「せめてバスを使えば良かったのに」


 東雲のその一言は盲点だったのか、西宮は「ぐっ」と悔しそうに唇を噛む。

 好機と見て、東雲はおどけながら攻め立てる。


「あ、そっか。西宮《あんた》の家、お金持ちだもんね。バスを使ったこともなければ、家に医者が来るような家庭だったんだもんね。ごめーん、なら常識ないのもしょうがないか〜」

「缶詰じゃなくて生の桃が出てくるお家の子なら仕方ないわねー。ノノちゃん、二人でエナちゃんに食べさせるご飯を決めましょ?」


 蚊帳《かや》の外にされた西宮は、冷静に「待てよ」と二人を諌《いさ》める。


「お前らが仕事でいないからわたしが連れてったんじゃねーか。本気で江南が心配なら、有給を使ってでも病院に付き添えばよかっただろ?」

「これだから会社の看板を背負ったことがない人間は。大体ね、出勤前ならともかく江南さんが体調を崩したって知ったのは会社に着いた後なの!」

「いーやもしわたしが職に就いてたら、江南のためにどんな手を使ってでも休んでたね」

「はぁ? ニートは年中無断欠勤してるのと同じでしょ! 『もしわたしが職に就いたら〜』なんて机上の空論を綴るより先に履歴書を埋めてみなよ!」



 西宮の反論は東雲には刺さらなかったようだが、北上は思うところがあるのか「でもそうね……」と目線を下げた。


「ミヤちゃんの言う通りね。仕事なんかより、エナちゃんを優先するべきだったわ」


 ヒートアップしていた東西ペアは、北上の殊勝な一言で怒りの溜飲《りゅういん》を下げる。


「そもそもあたしたちが今するべきことって、責任を押しつけて言い争うことなのかしら?」

「たしかにな。わたしたちがすべきことは、一刻も早く江南の元気を取り戻すことだ」

「そうだね……。こんな状況で口喧嘩するなんて、私達がどうかしてた。江南さんが元気になるように、美味しい食事を考えないと!」


 三人は向かい合い、同時にうんと頷く。江南を回復へと導くために、今度こそ全員の心が一丸に……。


 ♢

 ♦︎

 ♢


「あーもうなんっっでわかんないかなぁ! 弱りきった体に精をつけるには、『ニンニクマシマシ二郎系粥』しかないの!」

「馬鹿たれが。辛いものを好む江南には『激辛火鍋』以外あり得ないだろ! 汗もかけて一石二鳥だ!」

「二人とも口を開くと馬鹿がバレるわよー? あたしが愛用している料理研究家のレシピ本には、風邪は『青汁で煮たマシュマロ』が一番いいって──」

「「バカはお前だ!」」


 やっぱり一丸となっていなかった。

 ぐぬぬと睨み合う三人は、しばらくしてふと解決手段に思い至る。



「つーか、江南に食べたいもの聞けばよくね?」


 ♢

 ♦︎

 ♢


 三人が足音を立てないように江南の自室へ訪れると、苦しくて寝付けないのか、横向きになって休んでいる彼女と目が合う。


「あっ、みんな……」


 いつもより精彩のない江南だったが、他の住民の姿を見て、気丈にニカッと笑ってみせた。


「どしたの、みんな暗い顔して! 熱も下がってきた気ぃするし、うちはぜんぜんへーきだよ!」


 東雲は部屋に散らばっているプリントやぬいぐるみを避けて病床に近づき、江南に体温計を差す。


「江南、あんま無理すんなよ」

「エナちゃん、なにかして欲しいことがあったらなんでも言ってね?」

「そうだよ、遠慮しないでね。熱は……うん、夕方よりかは下がってるかな」


 しかし表示された江南の体温は、高熱とまではいかないものの未だ高い水準にあり、数値を目にした三人は更に顔を曇らせる。


「でしょー!? まじヨユーだって」

「そうか……。江南、食欲はあるか?」

「ん! めっちゃある! かなりグーペコ!」


 その言葉を聞いて、幾分か皆の顔が和らいだ。そしてここぞとばかりに自分の案を発表する。


「江南がいま食べたいのって辛い料理だよな? わたしは『激辛火鍋』がいいと思ってるんだが、どうだ?」

「いーや江南さんが求めてるのって『ニンニクマシマシ二郎系粥』だもんね? この前ジロリアンを自称してたし!」

「違うわ、エナちゃんが欲してるのは『青汁で煮たマシュマロ』よねー? 淡い緑で、視覚的にも優しいのよぉ」


 どれがいいんだと言わんばかりに詰め寄る三人に対して、江南は困り眉になる。



「その中から選ばないとダメなん?」



 自己が前面に押し出されてはいるものの、なんやかんや今日もコンパスハウスは優しさに満ちていた。


 ……ありがた迷惑というやつだけど。

最後まで読んでいただきありがとうございます✨


更新するの忘れてました! 申し訳ございません…!


これからの展開に興味を持ってくれた方は、ブックマークや⭐️など応援していただけると嬉しいですっ!


※次の更新は、『11/4 19:00』を予定しております。

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