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星海に散った最凶バディ、転生したファンタジー世界を蹂躙する~幼児の肉体で大真面目に軍事陣地を構築していたら、母の日常動線に笑顔で粉砕されました~  作者: @のん
作戦領域『開拓村』 ──訓練・防衛・遅滞戦闘を成功させろ

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第24話 裏取引と共犯者

数日後。

村の広場に、月に一度訪れる行商人の馬車がやってきた。

日用品や農具、そして王都の珍しい品々を積んだその馬車の周りには、すぐに村の大人たちが群がり、活気ある声が飛び交う。


俺とバルドは、大人たちの買い物が落ち着き、広場に夕暮れの影が伸び始めた頃合いを見計らって行動を起こした。


「こんにちは、おじさん。片付けの途中に申し訳ないですが、少し時間いいですか?」


馬車の裏手。売上金を計算し、荷台の整理を始めていた行商人の男に、俺はいつも通りの礼儀正しい声で話しかけた。


「おや、アル君にバルド君。久しぶりだね。今日はご両親のお使いかい?」

人の良さそうな商人の笑みを浮かべながらも、男の目は鋭く、バルドが担いでいる麻袋の膨らみと重さを値踏みしていた。

以前の取引から、この男は俺たちを「ただの子供」とは微塵も思っていない。


「いえ、今日は親の使いじゃありません。俺たちの品を買い取ってほしいんです」

俺がそう言うと、バルドがズシリと重い麻袋を男の足元に丁寧に置いた。


男はさりげなく周囲に誰もいないことを確認すると、しゃがみ込んで麻袋の紐を解く。

中から現れたのは、美しい深緑色の毛皮と、濃密な魔力を発する中級魔獣の魔石だった。


「こ、これは……『フォレスト・パンサー』じゃないか……! しかも、この毛皮……」

男の顔から、商人の愛想笑いが完全に消え失せた。


「傷一つないでしょう? 剣で斬りつけた跡も、魔法で焼いた跡もない。最高品質だと自負しています」

俺が淡々と事実を告げると、男はこめかみに冷や汗を浮かべながら、震える手で毛皮を撫でた。


「……信じられん。あの樹上の悪魔を、どうやってこんな無傷で……。いや、君たちが持ち込む獲物の異常な質から、薄々感じてはいたが……。君たち、一体どこまで規格外になるつもりなんだ……」


男がゴクリと唾を飲み込み、俺たちを――ただの9歳の子供を、得体の知れない存在を見るような目で見上げる。


「おじさん」

俺は一歩だけ前に出て、男の目を見据え微笑みながら伝える。

「おじさんは、村の皆に良心的な商売をしてくれる、腕のいい誠実な商人です。……だからこそ、無粋に詮索するリスクと、この極上の素材を独占する利益、どちらを取るべきか、すでに計算できているでしょう?」


「……ッ」


「俺たちは、このクラスの素材をあなたにだけ卸す。おじさんは、村の大人たちには絶対に内緒で、俺たちの欲しいものを用意する。……シンプルな取引です」

バルドが静かに、だが絶対の圧を込めて交渉のカードを切る。


男は数秒間、毛皮と俺たちの顔を交互に見比べた。

得体のしれない恐怖。だが、それを上回る商人としての野心。

商人の頭の中で猛烈な計算が弾き出され――やがて、男は深く息を吐いて、覚悟を決めた「プロの商人の顔」に戻った。


「……わかった。出所は問わん。王都の貴族や大棚に流せば、相当な金貨になるし、これほどの品質なら、ギルドとの交渉でも強力なカードになる。……で? 君たちはこれと引き換えに、何が欲しいんだい? おもちゃや飴玉じゃないんだろう?」


「金貨はいりません。代わりに、次に来る時までに『品物』を用意してほしいんです」

俺は声を潜め、明確な要求を口にした。


「大型の攻城兵器を固定する時や、ワイバーンを拘束する時に使う、軍需ギルドの『強靭な鋼線ワイヤー』です。それと、重荷重に耐える滑車をいくつか」


「なっ……!? 軍用のワイヤーだと!?」

男が再び目を見開いた。

「馬鹿を言っちゃいけない! あんなもの、王都の軍需ギルドで厳重に管理されているんだぞ! 辺境の村の子供に横流ししたとバレたら、私の首が飛ぶ!」


「バレなければいいのでは?」

俺は微笑みながら商人に迫る。


「それに、今回のパンサーの毛皮だけではありません。俺たちは並のハンターには絶対に真似できない極上の素材を、今後も安定してあなたに卸します。……あなたが、俺たちの優秀な『調達役パートナー』でいてくれる限りは」


俺の言葉に、行商人の男は完全に沈黙した。

礼儀正しい言葉遣いの裏にある、自分をただの道具サプライヤーとして、同時に「対等な共犯者」として扱う冷徹な合理性。その事実に戦慄しながらも、提示された利益と商機はあまりにも莫大だった。


「……三週間だ」

男が、絞り出すように言った。

「三週間後の次の訪問の時、用意して持ってくる。だから……この取引は、絶対の秘密だぞ」


「交渉成立ですね。よろしくお願いします、おじさん」


俺たちは軽く頭を下げて麻袋を男に預け、何事もなかったかのように馬車の裏から歩き出した。

これで、あの理不尽な巨大獣を罠にハメるための、最強のワイヤーが手に入る。


「三週間か。……それまでに、俺のパイルバンカーの精度と、お前のライフルのチャージタイムを極限まで詰めるぞ」

「ああ。準備期間としては十分だ」


夕暮れの村を歩きながら、俺たちの思考はすでに、三週間後の「決戦」へと飛んでいた。


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