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星海に散った最凶バディ、転生したファンタジー世界を蹂躙する~幼児の肉体で大真面目に軍事陣地を構築していたら、母の日常動線に笑顔で粉砕されました~  作者: @のん
作戦領域『開拓村』 ──訓練・防衛・遅滞戦闘を成功させろ

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第23話 超高密度徹甲弾

「まずは、新しい弾頭のテストだ」


俺は立ち上がり、目の前の太い広葉樹の幹を見据えた。

右手を突き出し、特注のカランビットナイフのリングに人差し指を深く通して、グリップを逆手でしっかりと握り込む。


脳内で、極めて複雑な『定義前の存在』を構築イメージする。

ダイヤモンドの硬度。流線型のフォルム。側面に刻まれた螺旋の溝。そして、後方に配置する魔力の爆薬。


「……構造が複雑な分、構築に少し時間がかかるな」


約三秒。俺のパーソナルスペース内で完璧な徹甲弾アーマー・ピアシングの準備が完了した。


「――『ショット』」


俺の短いコマンド(実行キー)と共に、魔力が現実世界に引き渡された。

直後、魔力の爆薬が凄まじい膨張圧を生み出し、弾頭の溝を駆け抜ける。


ギュルンッ!!


空気をドリルで抉るような、これまでとは全く違う暴力的な風切り音が鳴り響いた。

強烈なジャイロ回転を与えられた超高密度の弾頭が、広葉樹の幹に激突する。


バキィィィンッ!!


硬い木材が内部で弾け飛ぶような、くぐもった重い轟音。

弾頭は木の表面で止まることなく、大人が両手を回しても届かないほどの太い幹を一直線に『貫通』した。さらにその後ろにあった別の木に深々と突き刺さり、ようやくその運動エネルギーを沈黙させる。


「……マジかよ。……いきなり成功させやがった。新型兵器のテストなんて失敗と暴発の連続が相場だったはずだがな。天才ってのは本当に理不尽だぜ」

バルドが幹を貫通した鋭く小さな穴を見て、呆れたように呟いた。


「威力は……想定通りだ。だが……ッ」


――その直後だった。


「おい! 今の音はなんだ!?」

「北の防壁方面だ!」


遠くの防壁沿いから、警戒態勢に入っていた大人たちの怒声が響いてきた。

俺とバルドは顔を見合わせ、同時に舌打ちをした。


「……威力の計算に気を取られて、発砲音のデカさを見落としていたな。こんな大砲、この村の裏庭で二発目なんて絶対に撃てないぞ」


「アル、自警団が来る。 弾頭を魔力に戻して消せるか?」

「……無理だな。一度現実世界に引き渡した物質の構造は、もう俺の支配下にはないようだ。 だが、徹甲弾の貫通痕は小さい。弾頭は二本目の木の奥深くで外からは見えない。貫通した前後の穴に泥と苔を詰めれば、簡単な偽装にはなるだろう」


俺たちは素早く足元の泥と枯れ葉を掴み、木の皮の模様に見えるよう強引に偽装した。


「マズい、向かって来てる。撤収だ」

俺たちは足跡を消し、怒声が近づいてくる前に全速力でその場から離脱した。


――それから小一時間後。

村の騒ぎが落ち着いたのを見計らい、安全な場所で俺は口を開いた。


「……それにしても、反動が洒落にならない。カランビットのリングでナイフを確実に固定し、全身で衝撃を殺さなければ、確実に手首が持っていかれてた。それに……」

「発動までのチャージタイム、だな。見ていてわかった」

「ああ。構造の定義に三秒はかかる。あのバケモノとの戦闘中に三秒も立ち止まれば、五回は殺される。強力だが、あまりにもピーキーな欠陥兵器だ」


だからこそ、バルドの言う『罠』が絶対に必要になる。


「これで完全に方針が固まったな。あいつの動きをワイヤーで完全に止め、俺のパイルバンカーで装甲と骨にヒビを入れ、そこへお前のライフルをブチ込む。……問題は、その罠を構築するための『素材』だ」


バルドが腕を組んで思案顔になる。

「村の鍛冶屋のおっさんじゃ、あの巨獣の突進を止められるような特殊で強靭なワイヤーは作れない。王都や大きな街の軍需ギルドから買い付けるしかないぞ」


「金とツテの問題だな。……それなら、心当たりがある」

俺は昨日、未踏領域で狩った獲物の入った麻袋を顎でしゃくった。


「あの『フォレスト・パンサー』の毛皮と魔石だ。中級魔獣の無傷の素材なら、相当な金貨に化ける。問題は、9歳の子供がどうやってそれを怪しまれずに取引するかだが……」

「親の使いのふりをするか……いや、流石にあとからバレるな」


バルドの懸念に、俺は頷いた。

「ああ。こんな狭い村だ、親に裏付けを取られたら一発で終わる。だから、素直に『俺たちの獲物だ』と持ち込む」


「あの行商人のおっさんか」

バルドがニヤリと笑う。


「そうだ。あのおっさんは、これまでに俺たちが持ち込んだ傷一つないシャドウウルフの毛皮を見て、すでに俺たちの異常性に薄々気づいている。だが、同時に『出所を詮索するより、この極上素材を独占する方が得だ』という商人の計算も働いているはずだ」


「確かに。あいつは将来の利を見て口を閉ざすタイプだな」

「ああ。パンサーの最高級素材を餌にすれば、王都の軍需ギルドに横流しされている軍用のワイヤーだろうと、喜んで調達してくるだろうさ」


俺たちは悪い笑顔で拳を突き合わせた。

大人たちの常識と強欲を最大限に利用し、俺たちは未踏領域に潜む絶対的なバケモノを殺すための、冷徹な『狩り(ゲーム)』の準備を着々と進めていく。

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