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星海に散った最凶バディ、転生したファンタジー世界を蹂躙する~幼児の肉体で大真面目に軍事陣地を構築していたら、母の日常動線に笑顔で粉砕されました~  作者: @のん
作戦領域『開拓村』 ──訓練・防衛・遅滞戦闘を成功させろ

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第14話 魔法の最適化と魔法士たちの弱点

「さて、この無駄だらけのマニュアルを最適化する」


専門書を地面に広げ、俺たちは魔法発動の『6つのシーケンス』の解体に乗り出した。 まずは最初の工程だ。


① 体内の魔力活性化(魔力炉をONにする)

② キーワード詠唱による意識化(魔法を使う意識に切り替える)


「この①と②だが……俺たちにとっては不要だな」

「ああ。3歳の頃から、息をするように常時接続アイドリングさせているからな。わざわざスイッチを入れる必要がない」


俺たちは物心ついた頃から、歩く時も、飯を食う時も、寝る時でさえ、体内で魔力を循環させるマルチタスクを日常化してきた。今や俺たちの体内には、常に熱を帯びた魔力が血液と共に循環している。魔法発動までのリードタイムは、この時点で一般の魔法士より圧倒的に短い。


「だが、このマニュアルと、あの魔力を動かす『激痛』のチュートリアルだ。アル、これが実戦で何を意味するか分かるか?」

「……シーケンスを踏むための集中と、痛みに耐える動作。つまり、この世界の魔法使いのほとんどは――」

「『立ち止まって』しか魔法を使えない」


バルドの指摘に、俺は深く頷いた。

足を止めて精神を集中し、長々と呪文を唱えなければ撃てない兵器。

圧倒的な火力があったとしても、戦場において機動力を捨てた固定砲台など、現代戦においてはただのマト(的)でしかない。実戦の真っただ中で数秒立ち止まれば、俺たちなら相手が詠唱している間に死角から距離を詰め、喉笛を掻き切って終わりだ。


「俺たちが目指すのは、全力疾走しながらでも的確に撃てる『機動魔法アサルト・マジック』や近接戦闘しながらでも即座に撃てる『魔法版CQC』だ。となると、おそらく次の工程が壁になる」


③ 体内魔力炉から魔力を必要箇所に動かす

④ 属性への変換


俺たちはこれまで、体内で魔力を『動かす』ことには慣れている。だが、それを魔法という現象に『変換して使用』するのは今日が初めてだ。


俺たちはそれぞれその工程を試行してみる。


だが――結果は不発だった。

二人とも何も変化が起こらない。属性変換に失敗したのだ。


「……やはりそうか」

予想通りの失敗に、俺は舌打ちをした。


「どうした、アル」

「俺たちは魔力を常に体内で『循環』させている。例えるなら、激流の川だ。その流れる水の中で、適切なタイミングと場所で『一定量の水(魔力)だけを、色(属性)を変える』ような精密な操作が必要なんだ」


普通の魔法士は、止まっている水を移動し、貯まった水をすくい上げてから色を変える。

だが俺たちは、高速で流れる魔力の血流の中で、一瞬のタイミングを合わせて着火させなければならない。タイミングがズレれば一瞬で濁流にのみ込まれ、量が足りなければおそらく発動に至らない。


「この世界の魔法使いがぶつかりえない壁にぶつかった、ということか。……面白え」


バルドが獰猛に笑い、再び右足に意識を集中させた。

バルドは得意の身体操作を『強化する』魔力運用で試すようだ。

逆に俺は、感覚の合う『放出する』魔力運用を試す。


何度も、何度も失敗を繰り返す。

だが、俺たちの前世の経験値が、この未知の感覚を急速に身体へ適合させていく。


俺は目を閉じ、体内を巡る魔力の脈動を三次元の流体シミュレーションとして脳内に展開した。流体力学と弾道計算を応用した『高速思考』によって、体内の魔力の流量と流速を逆算し、最適なタイミングで魔力を変換する数式を脳内に組み上げた。幼少期から高負荷を与え鍛えてきた脳は、すでにこの程度の負荷には耐えられるようになっていた。


一方のバルドはアプローチはまったく異なる。あいつは血液すら魔力すらも身体の一部と捉え、その流れさえ圧倒的な『身体操作センス』と『感覚』で掴み取る。流れる魔力の波を捉え、CQC(近接格闘)で敵すらも、そのすべての動きをコントロールするかのように、一瞬の魔力のピークを手繰り寄せていく。


数時間の試行錯誤の後。


「……捉えた」


俺の右手の指先に、重く冷たい密度を持った『土』の魔力が的確に属性変換されたことが感覚で分かった。


「こっちもだ」


バルドも成功したようだ。

まだ、発動工程に移行していないが、この時点で一般的な魔法使いとのスピードは桁違いになっているだろう。


「……常時接続の魔力流からの、ゼロタイムでの変換。クリアだな」

「ああ。これでようやく、実戦レベルの魔法士のスタートラインってわけだ」


滴る汗を拭いながら拳を突き合わせる。

さて、いよいよ、詠唱工程のカスタマイズだ。

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