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星海に散った最凶バディ、転生したファンタジー世界を蹂躙する~幼児の肉体で大真面目に軍事陣地を構築していたら、母の日常動線に笑顔で粉砕されました~  作者: @のん
作戦領域『開拓村』 ──訓練・防衛・遅滞戦闘を成功させろ

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第10話 無慈悲な戦争ごっこ

(※とある村の子供の視点)


俺の村には、3歳年下に気に食わない二人組がいる。


10歳の俺は、あと2年もすれば、親父たちと一緒に森に入り魔物狩りや森の開拓を手伝うようになる。そのために、俺たち10歳組は、今日も皆で集まり木剣を使って戦闘訓練をしている。俺はガタイも良く、仲間の誰よりも強い。俺はいつか村最強の戦士になり、村をもっともっと大きくしてやる。


そんな俺には、最近少し気になる奴らがいる。

村の北東のはずれにある2軒の家の、変わった組み合わせの二人組だ。3歳年下なのに10歳の俺と同じくらいガタイのいい奴と、女かと思うほどキレイな顔の澄ました奴だ。いつも二人で対戦しているが、そのやり方がどうにも気味が悪い。


普通、戦いってのは気合いを入れて木剣を力いっぱい打ち合うもんだろ?

だが、あいつらは絶対に声を出さない。

ガタイのいい方は、大人用の重い木剣を使っている。それを、極端に低い姿勢で、風を裂くような恐ろしい音を立てて無言で振り回すんだ。正直、俺も挑戦してみたがあんな音は出せなかった。

そしてキレイな顔をした方は、木で作った短い短剣みたいなものを逆手で持って、そのデカい奴の恐ろしい一撃から逃げずに、ギリギリでかわしたり、短い剣でコツンと逸らしては、いつのまにか相手の懐に滑り込んでいる。


派手に打ち合うこともなく、ただ静かに木剣の風切り音とカッカッという打ち合う音が響いている。そして、なにより気持ち悪いのはそれと同じ動きを何度も繰り返していることだ。


が、俺が何より気に入らないのは、あいつらが村を歩いていると、村の女たちが遠巻きに見ては顔を赤くしてはしゃいでいることだ。この前はあの子も……クソッ、俺があいつらに本当の戦いを教えてやる。


「おい、お前ら。俺たちと『戦争訓練』しようぜ」


俺はいつも一緒に訓練をしている4人の仲間を引き連れ、二人に声を掛けた。

武器は泥団子と木剣。体に泥が当たるか、木剣で急所を叩かれたら「死ぬ」というルールだ。5対2。どう考えても俺たちの圧勝である。卑怯? これは訓練だ。人数は関係ない。


決戦の場は、あいつらの家の裏手(北側)にある薪取り用の雑木林だ。防壁の内側とはいえ、木立や下草が生い茂り、身を隠すには十分な場所だった。


「よっしゃ、散開して囲みこむぞ!」

「応ッ!!ぶっ潰してやる!!」


皆、いつも以上に気合が入っている。俺たちの気持ちは同じだ。

俺たちは意気揚々と雑木林の中へ駆け込み、散開した。



――そして悪夢が始まった。


林に入って数分後。完全に音が消えた。

あいつらの足音も、気配も、何一つ感じない。嫌な静寂だけが耳に張り付く。


「……おい、どこに隠れやがっ――」

バキンッ!!


凄まじい破壊音が響き、少し離れた位置で折れた木剣が宙を舞った。その後、うめき声と共に人が倒れる鈍い音が聞こえた。


「な、なんだ!?」

慌てて音のした方へ駆けつけると、もう一人の仲間が目の前で吹き飛ばされた。

あのガタイのいい奴が立ち塞がり、恐ろしい速さで木剣を振り抜いたのだ。仲間の木剣は真っ二つにへし折られ、泥の中に転がっている。


「くそっ、あいつ一人だ! 3人がかりでいくぞ!」

これではダメだと、俺は残った二人と共に大声を上げて飛びかかった。

だが、奴は一歩も引かない。俺たちが渾身の力で振り下ろした木剣が、奴の木剣の横腹に吸い込まれるように滑り、俺たちの力がそのまま自分たちの体勢を崩す。


さっきの力強い一撃とは打って変わって、奴の木剣は派手に動いていない。俺たちの剣がどこに落ちてくるかを知ってるみたいに、先に奴の木剣がそこに置かれていて、俺たちの剣が勝手に弾け飛ぶんだ!意味が分からないッ!!

3人同時の攻撃が、奴の静かで、でもとんでもなく速い木剣の軌道に全て飲み込まれ、あっという間に仲間二人を泥まみれにして地面に這いつくばらせた。


腕力だけじゃない。何が起きたか分からないが、はっきりした。化け物だ。


「この野郎っ!」

仲間がやられた隙を突き、俺が力任せに木剣を振り下ろそうとした、その時だった。

スゥ……。

俺の首筋に、静かに何かが触れた。


「……え?」

ピタリと動きを止め、俺は自分の首元に触れた。

そこには、短い木剣が当てられていた。


いつの間にか、俺のすぐ真横に、あのキレイな顔をした奴が立っていたのだ。

足音どころか、息遣いも、気配すら全くなかった。

もしこれが本物の短剣だったら、俺は間違いなく首を掻き切られて死んでいた。ここまで近づかれるまで全く気づかなかった事実に、言葉が出ない。そんなこと可能なのか?全身から一気に冷や汗が噴き出した。


正面には、俺たちの仲間を一人で全滅させたガタイのいい化け物が、感情のない目で俺を見ている。そして真横には、気配のない死神。


手も足も出ない。大人と赤ん坊以上の差があった。

俺は木剣を取り落とし、恐怖で泥の上にへたり込んでしまった。


俺は震えながら、目の前の二人を見上げた。

こいつら、絶対に敵に回しちゃいけない。


「あーら、あなたたち! みんなで林で遊んでたの? おやつにするわよー!」

雑木林の入り口から、あいつらの母さんたちののんびりした声が響いた。


「お兄ちゃんたちも、一緒におやつ食べよ」


ハッとして真横を見ると、さっきまで死神のような目をしていたキレイな顔の奴が、村の女たちを赤面させる『完璧な天使の笑顔』で首を傾げていた。その後ろで、ガタイのいい奴も大人しくコクコクと頷いている。

つい数秒前まで、俺の命を握っていたはずなのに。


「……っ」

いやいや、これはただの訓練だ。命のやり取りをしてた訳じゃない。

あいつらも3歳年下の村の子どもたちだ。


(……なんて、思えるかよッ!!)

みんなで仲良く森遊び。大人たちにはそう見えているのだろう。

だが、俺たちは知っている。あいつらは、この村のどんな大人よりも恐ろしい本物の戦士だってことを。

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