三日後 グループ決め
「雫ちゃん、キャンプファイヤーの、グループ決めについてなんだけど――、ごめん、あたしと梨瑠香のところには、入れられない」
摩希は、抑揚のない声で告げた。
登校するなり、摩希と来栖梨瑠香は、雫ちゃんの件をどうするか話し合った。二人の意見は、やはり合致した。そのため、授業が始まる前に、二人は、茂川雫ちゃんを廊下に呼び出したのだった。
雫ちゃんの目は泳いでおり、相当、動揺しているらしいことが覗える。
「え、ど、どうして……?」
「ねえ、そもそもさあ――、あたしたちと、グループを組みたいっていうこと、なんで、自分の口から言えなかったの? その程度の勇気も出ないって、いくらなんでも、気が弱すぎない? あたし、雫ちゃんの、そういう、臆病なところ、どうにも好きになれないんだよね」
摩希は、雫ちゃんの顔を、冷ややかに眺める。
いつにも増して、スクールカーストの底辺だという先入観が働くせいか、雫ちゃんの容姿の、欠点ばかりが目につく。
ブサイクだな――。
「ご、ごめんなさい……。そうだよね……。あたしって、本当に、情けないよね……。自分の、こういうところは、変えていかないとダメだって、ちゃんと、自覚してる……。
でも、あ、あの、でも……、摩希ちゃんとは、本のことで、話が合うから……、それで、色々と喋れるかなって――」
「あのさ、お願いだから、勘弁してくれないかな? キャンプファイヤーの夜に、みんなが、賑やかに楽しんでるなか、あたしたちだけ、暗く本の話をするとか、さ。考えただけで、気が滅入ってくるから。
なんていうか――、思い出に残る夜なんだから、たとえば、恋バナの一つでもしようとか、そうした発想は出てこないわけ?」
摩希は、ついつい、挑発的な物言いをしていた。
「恋バナ……。
あっ、あれだよね……? ラブストーリーみたいな――、そのっ、好きな人と、目が合ったことで、どきっとしたり……、男子から、ちょっと優しくされただけなのに、一日中、そのことを考え続けたり……。
うん、つまりぃ、そういう主人公に、なりきればいいんだよね? できるできるできるっ。あたし、わりと、妄想を膨らませるのは得意で、だから――」
すると、黙っていた梨瑠香が、舌打ちし、
「あのさあ、雫――。わからないかなあ――。
摩希は、優しいから、はっきり言わないけど、あたしも摩希も、本当は、思ってんの。
いい? あんたと、あたしたちじゃあ、友達として、釣り合わないでしょっ?」
と、呆れ果てた顔で言う。
雫ちゃんは、それを聞いて、言葉を失った様子を見せる。
摩希も、自らダメ押しする。
「要するに、そういうこと」
雫ちゃんは、絶望感ゆえか、力無く宙を仰ぎ見た。まるで、天に祈るかのようだった。
摩希と梨瑠香は、そんな雫ちゃんを置いて、教室に戻っていく。




