↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/25

三日後 グループ決め



「雫ちゃん、キャンプファイヤーの、グループ決めについてなんだけど――、ごめん、あたしと梨瑠香(りるか)のところには、入れられない」


 摩希は、抑揚のない声で告げた。

 

 登校するなり、摩希と来栖(くるす)梨瑠香(りるか)は、(しずく)ちゃんの件をどうするか話し合った。二人の意見は、やはり合致した。そのため、授業が始まる前に、二人は、茂川(もかわ)(しずく)ちゃんを廊下に呼び出したのだった。


 雫ちゃんの目は泳いでおり、相当、動揺しているらしいことが(うかが)える。


「え、ど、どうして……?」


「ねえ、そもそもさあ――、あたしたちと、グループを組みたいっていうこと、なんで、自分の口から言えなかったの? その程度の勇気も出ないって、いくらなんでも、気が弱すぎない? あたし、雫ちゃんの、そういう、臆病なところ、どうにも好きになれないんだよね」


 摩希は、雫ちゃんの顔を、冷ややかに眺める。

 いつにも増して、スクールカーストの底辺だという先入観が働くせいか、雫ちゃんの容姿の、欠点ばかりが目につく。

 ブサイクだな――。


「ご、ごめんなさい……。そうだよね……。あたしって、本当に、情けないよね……。自分の、こういうところは、変えていかないとダメだって、ちゃんと、自覚してる……。

 でも、あ、あの、でも……、摩希ちゃんとは、本のことで、話が合うから……、それで、色々と喋れるかなって――」


「あのさ、お願いだから、勘弁してくれないかな? キャンプファイヤーの夜に、みんなが、賑やかに楽しんでるなか、あたしたちだけ、暗く本の話をするとか、さ。考えただけで、気が滅入(めい)ってくるから。

 なんていうか――、思い出に残る夜なんだから、たとえば、恋バナの一つでもしようとか、そうした発想は出てこないわけ?」


 摩希は、ついつい、挑発的な物言いをしていた。


「恋バナ……。

 あっ、あれだよね……? ラブストーリーみたいな――、そのっ、好きな人と、目が合ったことで、どきっとしたり……、男子から、ちょっと優しくされただけなのに、一日中、そのことを考え続けたり……。

 うん、つまりぃ、そういう主人公に、なりきればいいんだよね? できるできるできるっ。あたし、わりと、妄想を膨らませるのは得意で、だから――」


 すると、黙っていた梨瑠香が、舌打ちし、


「あのさあ、雫――。わからないかなあ――。

 摩希は、優しいから、はっきり言わないけど、あたしも摩希も、本当は、思ってんの。

 いい? あんたと、あたしたちじゃあ、友達として、釣り合わないでしょっ?」

  

 と、呆れ果てた顔で言う。


 雫ちゃんは、それを聞いて、言葉を失った様子を見せる。

 

 摩希も、自らダメ押しする。

 

「要するに、そういうこと」


 雫ちゃんは、絶望感ゆえか、力無く宙を仰ぎ見た。まるで、天に祈るかのようだった。

 摩希と梨瑠香は、そんな雫ちゃんを置いて、教室に戻っていく。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。