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REINCARNATE  作者: 翠星蟲
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第6話 姉の日記③「ゴーヤのキーホルダー」

2018年8月14日(火)晴れ

 数か月ぶりに実家に帰っていた。今東京の下宿に戻ってきたところだ。相変わらず実家は息苦しかった。両親のことは嫌いではないしむしろ好きではあるけれど、あまりにも理想を押し付けすぎる。それに応えて来てしまった私も良くはないのかもしれないけれど、ちょっと度が過ぎている。私のことを豪華な家のパーツとして考えている傾向がある。まあどうせ私のことなど何も知らないのだ。適当に盆と正月に帰っていれば満足するだろう。悠樹は変わらずぼんやりしていて何を考えているのか分からなかったが、勉強は問題なさそうなので高校受験も大丈夫だろうと思う。


2019年1月5日(土)晴れ

 数か月ぶりに実家に帰った。両親が寿司やら肉やらを用意してくれていたのはありがたかった。大学はどうだと聞かれたので楽しくやっていると答えた。私が同性の先輩に恋しているなんて知ったら泡を吹いて倒れそうである。そういえば悠樹は同性とかに興味があったりするのだろうか。というか、私がレズだと知ったらどういう反応をするのだろうか。気になる。色気づくような年齢だと思うが、相変わらず母が買ってきた服を着ているようだったので、そういうことにはまだ疎いのかもしれない。


2020年1月5日(日)くもり

 実家に帰っていた。半年に一度しか帰らないので、見るたびに悠樹の姿が結構変わっていて面白い。背は私より大きくなっていたし、なんとなく声も変わった気がする。あまり悠樹と話したりすることはないが、たぶん悠樹は私のことが苦手なのだと思う。私が実家で猫をかぶっているのが原因だろう。東京に染まって悪い子になったというストーリーで優等生キャラを壊してみるのはどうだろう。そうすれば悠樹とは気兼ねなく話せるようになるし、両親も夢から覚めて私個人を見てくれるのではないか。まあ、やらないけれども。


2020年8月12日(水)晴れ

 実家に帰っていた。珍しいことに、悠樹が修学旅行に行ってきたと言って、キーホルダーをくれた。半月切りにカットされたゴーヤのキーホルダーである。どんなセンスをしているのだろう。自分の弟ながらちょっと面白い。そういえば、実家に帰った時しか悠樹のことを認識していない気がする。普段からやり取りもしていないし、悠樹も私に興味がなさそうなので別にいいのだが、なんとなくお互いに薄情な気もする。意外と面白い話とかができるかもしれないと思うが、次帰るときは受験で忙しいだろうし、落ち着いたらゆっくり話してみてもいいかもしれない。


2021年1月4日(月)くもり

 実家に帰っていたが、いよいよ彼氏はいるのかなどと親が聞いてきた。いないに決まっている。私は女の子が好きだ。親が気に入るようなイケメンハイスペック彼氏は申し訳ないが100%できない。子孫は悠樹に期待してほしい。悠樹はたぶん女の子が好きだと思う。知らないけど。頭もたぶん悪くないと思うし、変なキーホルダーを真面目に買ってくるような少しずれた面白いところもある。性悪でない限りは結婚相手は見つかるだろう。


2021年3月10日(水)晴れ

 悠樹が第一志望の大学に落ちたらしいという知らせを受けた。他に出願もしていなかったらしいので、浪人するとのことだった。まあそういうこともある。親が許してくれるなら気にすることもない。受験ごときで死んだりしないのである。でも私が言うと嫌味のようになるので、悠樹にはゴーヤのスタンプを一個だけ送ってエールとした。悠樹の印象がゴーヤになりつつある。たったあれだけのことをいつまで擦るつもりなのだろうか私は。


2021年8月15日(日)晴れ

 終戦記念日。今年は実家への帰省はしていないせいか、なんとなく感覚が狂う感じがする。院試の勉強が忙しいとかなんとか言ったが、通じるものだ。さすがに院試なんて楽勝である。私を舐めないでいただきたい。悠樹の受験勉強は順調だろうか。高校レベルの範囲なら全然教えられるのだから、頼ってくれてもいいのに。小学校の頃はよく勉強も見ていた。当時から物静かで何を考えているかわからない感じだったが、ずっとそんな感じで成長している。


2022年3月10日(木)くもり

 悠樹が大学に受かったらしい。良かった。ゴーヤチャンプルのスタンプをわざわざ探して送ったのに、(笑)って返ってきた。嫌われているかもしれない。そういえば機会があったら悠樹と落ち着いて話してみてもいいかもしれない、みたいなことを大昔の日記に書いていたような気がするが、そんな機会は果たして訪れるのかどうか。まあ実家に帰った時に普通に話せばよいのだが、毎年ハードルが上がっていく感じがしてなかなか切り出せない。悠樹から話しかけてくれたらいくらでも話すのだが。悠樹の高校生活のことなど本当に全く何も知らない。いつか聞いてみたいものだ。


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