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81 いわゆる顔パスというやつ

「具体的な行動を決めた方がいいかなと。その方が、意見が出やすいかなって」

「そうだね」


 と言っているうちに、大学に到着した。

 フウカは、さっさと車を降り、振り返りもせずに歩き去っていく。

 これでいい。

 先生と学生が一緒のタクシーで登校した図は、どう見ても褒められたものではない。

 特別な関係が、などと妙な噂が立たないとも限らない。



 おはよう、という声があちらこちらから聞こえてくる。

 ちょうど、学生でぎゅうぎゅう詰のバスも到着した。

 フウカはその群れにたちまち紛れ込んでいった。

 守衛が、ちらと目を向けてきて、遠くからでもはっきりわかる会釈をよこしてきた。



「振りますなあ」

 守衛が手招きをしている。

「先生、ちょっと見て欲しいものが」



 大学構内に入る場所はこの正門のみ。

 裏山からも入れないことはないかもしれないが、そんな物好きはいない。

 当然、この筋肉質でメタボ気味の守衛に見られず構内に入ることはできない。


 女子大である。

 特に男性には厳しい目が向けられるし、教師陣であっても、入構時に身分証の提示と全身スキャンが求められる。

 とはいえ、スキャンは守衛室手前のエリアで自動的に行われ、身分証提示は、守衛との親密度によって対応は異なる。

 旧知となれば、いわゆる顔パスというやつだ。



「お急ぎでなければ」


 誘われて、守衛室に入った。

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