70 いわゆるビギナーズラックってやつ
「メインレースの方は? 当たったの?」
「いいえ。そっちは全然」
「でも、十分な回収率ね。二倍以上」
「ありがとうございます」
「ミーティングでは、購入理由、的中理由をみんなで考察するのよ。じゃ、メイメイ、その馬連が的中した理由、なんだったと思う?」
「ええっ! 私から?」
「誰からでもいいのよ。特に意味はないから」
フウカの進行は流れが良い。
時に無駄話も混じるが、恒例のテーマはさっさと終えてしまうのが彼女の流儀。
「たまたま。いわゆるビギナーズラックってやつ、です」
「それじゃ、考察にならないよ。買った理由が何かあるでしょ。それともコンピューター馬券?」
「あ、そういうことなんですね。そうですねえ……、私、体、小さいでしょ」
牝馬しか買わないと決めていたという。
「一番馬体重の軽い子にしようと」
「なるほど」
「三百キロ台の子が二頭いたから。それだけ。参考になった?」
「なるか!」と、ジンが笑い出す。
「メインレースも同じ理由?」
「まあ、そうです。でも、ダメ」
「それ以外の理由、なにかあった?」
「ないです。パドック見て、なんとなく。オッズは無視。ジョッキーも無視。前走がどうのこうのも無視。当たるはずないです」
「ううん。オッズを無視せず、ジョッキーも考慮して、前走の成績も見たからって、当たるはずもなし」
「重馬場得意とか、右回り得意とか、輸送が有る無しとか、も知っていたからって当たらないですよね」
「あら、メイメイ、案外、詳しいんだ」
「言葉だけ、です。ずっと競馬場でバイトしてるし。耳年増」
「そうかあ、馬体重の最も軽い子。そんな視点もあるかもね」
「増減は意識する人、多いけど」




