71 楽しみ どんな話?
ミーティングと言えど、所詮は単なる感想や愚痴の言い合い。
「いつも、そのブローチつけてるよね。葉っぱのやつ。それって、なに?」
「これ? お守りみたいなもん」
「幸運の?」
「そんなんじゃないけど」
「いいご縁があるってやつ?」
「ちがうって」
緑色の服に緑のブローチでは、赤毛の人が赤い帽子を被るようなもので、あまりピンとこないが、メイメイなりのこだわりもあるということ。
ジンらも、突っ込むことなく、雑談はコロコロと転がっていく。
「髪型、ウルフカットっていうの? おしゃれー」
「へへ。ジンの編み込みも。モノトーンの服に編み込み、そのギャップがかわいい」
「それ、褒めてる?」
もしかすると、ジンとメイメイ、同学年で同じクラスなのに、今日初めて話すのかも。
これでいいのだ。
サークルR&Hは、競馬は楽しむためのもの、というスタンスを貫いている。
競馬は楽しみのための軸であって、枝葉はいくら茂ったっていいのだ。
競馬に対するこの考えが揺らぐことはない。
「今日もルリイア先輩、帰って来なかったね」
ミーティングもそろそろ終了。
ジーオが差し入れてくれたものも、ほぼ胃の中に落とし込まれた。
「メイメイ。サークルのルール」
「パドックを見る。でしょ」
「うん。それはポリシーかな。自由時間に誰かを拘束しない。先輩後輩の区別なし。敬語なし。私は今、部長だけど、だからといって立てる必要なし。いい?」
「はい。わかりました」
「微妙にダメ。その言葉遣い、NG」
「あ、はい。なるほど」
「慣れてね。もちろん、先生や卒業された先輩方は別よ」
さてと、帰るか。
「先生、今日もありがとうございました」
と、立ち上がりかけたジンをフウカが押し留めた。
「ちょっと話があるのよ」
座り直したジンの瞳に期待がキラキラと現れた。
「楽しみ。どんな話?」
フウカは咳払いでもしそうなほど背筋を正し、まっすぐ見つめてきた。
「先生、ノーウェ先輩のことなんですけど」




