61 安心して、というニュアンス
「どうして、ここに……」
かろうじて声を出したが、ふと別の記憶が蘇ってきそうな予感があった。
「北側の一階インフォメーションの裏で……」
と、メイメイの声が聞こえる。
被さってくるフウカの怪訝な声。
「先生、エスコート券、もらったんじゃなかったんですか? 参加しなかったんですか?」
「行った」
「じゃ、なぜ……」
「それが……」
ルリイアが駆け込んできた。
「先生! 大丈夫ですか!」
「や、あ……」
「心配してたんですよ。地下馬道から上がって来られないので」
「それが……」
「でも、よかった。ご無事? のようで……」
ルリイアが、心配顔を少し緩めた。
「すま、ない」
額に手を当ててくれる。
「そもそも地下馬道に一般の人が使える出入口って、ないし」
と、これはフウカに言ったようだ。
あれ以降の記憶が、滲み出るように脳内で形になってきた。
そうだ。
ハルニナが……。
今のルリイアと同じように、顔を覗き込んで……。
「大丈夫」と、言ってくれたような気が……。
心配からそう言ったのではなく、安心して、というニュアンス……。
だが、ハルニナはすぐに視界から去り、誰かに何かを指示し……。
そしてまた意識は途切れた……、のだと思う。
メイメイがルリイアに説明をしている。
「意識を失ってて、急いで人を呼びに行って」
メイメイも、紅焔女子大の三回生。同じ学科。
ジン、ラン、アイボリー、同級生。
授業も受講してくれている。




