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46 皮肉を込めて、「傾聴財団」
「アイボリー」
授業を受けている三回生。
「バイト?」
「はい」
アイボリーは、ケイキちゃんの着ぐるみで、イベントを盛り上げるアルバイトをしている。
細いが身長はある。あの巨大着ぐるみに入るにはうってつけだ。
「ジンも来てます?」
「来てるよ」
「どこかで会えるかな」
ニコリとした。
二人、仲が良い。
一見、優しい娘だが、実は活動的で頑張り屋。
勉強第一で真面目。正直だし信頼して任せられる。
授業から受ける印象として、そんな評価をこの娘にしている。
「バイトって、お昼休みの時じゃないのか?」
「ええ。でも、いつもこの時間に来るんですよ。打合せとか準備があるので」
あの日と同じように、イベントは今も、昼休みに開かれる。
通称「再生財団」の利用者拡大のためのPRイベント。
正式名を、日本再生・活力創造・しあわせ度向上財団という。
お年寄りの人材発掘と再活躍を推進することを目的にして設立された団体だが、実態は、話し相手ロボットレンタル業。
一人暮らしの高齢者の生活の質向上のためのサービス。
皮肉を込めて、「傾聴財団」などとも呼ばれている。




