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28 サルが一声、吠えた

 クマザサをかき分けかき分け進んだ。

 蛇が追ってきているのかどうか、もうわからない。

 ササに埋もれて、いつ何時、背後から襲われるか。

 恐怖に苛まれながらも、足を運ぶしかない。


 いよいよ径の痕跡はかすかになり、進めなくなった。


 正面は盛大にクマザサが茂り、茎がびっしりと屏風のように行く手を阻んでいる。

 超えてくのは骨が折れる。いや、無理だ。

 左に回れば緩い上り坂。径はあるようなないような。

 右に回れば、急な下り斜面。径はなさそう。


 躊躇している場合ではない。

 登っていこう。


 と、すぐ目の前の枝にサルが腰かけているのが見えた。



 白銀の毛を持つ大きなサル。

 見た目はニホンザルだが、二回りほど大きく、オラウータンほどの体躯を持つ。


 サルの賢人様か……。


 そいつが、右に降りろというように、左手を挙げて、人差し指まで突き出している。



 ん?


 何を言う。

 径はこっちの登りだ。

 それに、山で迷ったときは、谷へ降りるな、尾根へ上れというぞ。



 サルが一声、甲高く吠えた。


 ビクッとしてサルを見上げると、また下を指さす。



 くそ!

 こいつを信じればいいのか。

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