27 いつもあいている口とやらに
が!
だめだ!
蛇はたちまち鎌首をもたげたかと思うと、クワッと口を開いた。
人間の首など、ひと噛みで喰いちぎってしまう巨大な口、巨大な牙。
親指ほどの巨大な歯が並んでいるのさえ見える。
おい、おい。
巳さんよ。
俺を食らう気があるってことか?
そんなことはないんだろ。
そんなら、もうとっくにとっつかまって、ぐるぐる巻きにされて、頭から飲み込まれているはず。
「巳さん、巳さん、お願いです。通してくださいませんか」
また一歩。
が!
飛びかかってきた!
すんでのところで蛇の跳躍は届かず、地面に落ちた。
またも走りに走った。
いい加減にしやがれ!
なんてことだ!
なんでこんなことに!
最初にランがおはぎを置いたところまで戻ってきていた。
振り返るとまだ蛇が追ってくる。
じり、じり、と。
やむなし!
茶屋町の家まで戻るしかない!
ん?
違うような気がする。
三叉路だったはず。
道は消えていた。
そうか。
茶屋町の口は、鍵が、と言ってたな。
用が済めば道も消えるってわけだ。
さすれば、こちらだが。
直進。
径は細く、すぐそこから笹に埋もれて判然としない。
けもの道のように、人の目にはかろうじて痕跡が残るのみ。
振り返ると蛇が口を開けている。
もう迷っている時ではない。
行くしかない。
いつもあいている口とやらに行きつくと信じるほかない。




