共闘
「・・・・・・」
パーラ湾、竜騎兵訓練所。
がれきの撤去作業が終わり、再建の音が響く中、パーラ湾の戦いで落命したヴェルベットの墓参りを終えたアイーラは教練に向けて準備を整える。
仮設の部屋の外には資材運びを手伝う竜騎兵たちの姿。
幸か不幸か、カレッサの与えた休暇のおかげで教え子たちは無傷であり、全員が訓練に勤しんでいる。
「教官、客人です」
教官室に、部下が来客を知らせると、アイ―ラは書類を机において応対する。
「これは、カレッサ将軍、どのようなご用件で?」
「アイーラ、もう俺は将軍じゃない」
前線指揮官に降格されたカレッサ。
きらびやかな勲章はすべて外され、鎧も見た目よりも機能性を重視した地味なものになっている。
「ここは、何とか機能しているようだな」
新兵の竜騎兵が空を飛ぶ様子を見上げるカレッサ。
リューの駆る魔龍の姿も上空に見える。
「して、どのような用で?」
「…ここだけの話だ、近々王国の北方で極秘作戦が行われる」
「ドラゴン討伐か」
北方の作戦と聞いて、内容を察するアイーラ。
「それでだが、選抜した戦力を投入するそうだ。
そこでここの竜騎兵を一騎、推挙したい」
「カレッサ、まさかとは思うが…」
そう言って、リューの駆る魔龍を見上げる。
先日の攻撃で味方が壊滅する中、航空戦力相手に果敢に挑んだリューとチィ。
その勇敢さから、竜騎兵から一目置かれるようになった。
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「本当に、これでよいのか?」
王城、エヴァルカ協定による密約書を読みながら、アレクサンドルは半信半疑で外務大臣のハルトマンに声をかける。
「残念ですが、王国の被害を最小限に抑えるにはもはやこれしかありません。
ヴァルディアの要求通りに戦争状態を維持しつつ、かつ本土への侵攻を停滞させ、それでもってあわよくば北方にある魔石の鉱床を手に入れる。
そのためならば、旧レイリア領は手放しましょう」
「都合がよすぎるぞ…
それに、それでは此度の戦争の意味がなくなる」
「それに関しては、北方の領土を開拓してしまえばよいかと。
魔石と、ドラゴンを手中に収めてしまえばレイリア以上の利益になります」
「そうか…」
「寝言は寝て言え」と内心、ぼやくアレクサンドル。
「しかし、本当に良いのか?
戦争中の敵と共闘など…」
一枚の書類を手に取り一瞥するアレクサンドル。
そこには、北方征伐に参戦する戦力として、ランデル国の軍艦が羅列されている。




