再編成
御前会議の翌日、ヴァーゼリアは艦隊の編成に向けて動き出していた。
「竜艦を増やす…ですか?」
中将であるレゾナンスがヴァーゼリアにそう聞き返す。
飛竜を乗せて運用する竜艦。
帝国海軍では主力である戦艦隊の目として偵察用に運用されるか、対空戦闘に出撃するのが主であるが、今回の報告を受けて航空戦力のさらなる可能性に気が付く。
「確かに、飛竜は戦艦に比べて体は小さく防御力も低い。戦艦の対空射撃で簡単に撃ち落とされる。
それ故に、海戦においては戦艦の補佐として運用されてきた」
「はい、教官からも、そう教わってきました。
『飛竜隊は、戦艦の目である』と」
「それをこれから変える。
飛竜を…いや、すべての航空戦力を戦争の主役にする」
立ち上がり、そう宣言するヴァーゼリア。
早速、海軍が保有するすべての航空戦力のリストを開き、再編成に向けて動き出す。
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竜艦エンドランス。
白波をあげて大海を進む、三百メートルある魔導艦。
もともとは大型輸送艦として運用されていたが、戦艦隊の増強に伴って大規模な竜艦に改装された。
シルエットはランデル国の空母と大きく変わらず、ミスリル製の平たい甲板に艦橋がそびえている。
「退屈そうだな、アルック」
甲板でパートナーの飛竜と一緒に日向ぼっこをしていたアルックに、同期の緑髪のケスアが話しかける。
「軍人は退屈な方がいいだろ」
「確かにな、それじゃ、俺はパートナーと会ってくる」
艦内の厩舎。
一室ごとに収められた飛竜たちは専任の飼育員によって食事から体の掃除までお世話されており、飛竜が快適に暮らせるように配慮されている。
「パートナーの様子はどうだ?」
「は、ケスア少尉。
パートナーは相変わらず元気です。
むしろ食欲が旺盛でエサの確保が大変なくらいで」
「それは何よりだ」
そう言ってパートナーの顔に触れる。
緑の鱗と甲殻に覆われた空色のワイバーン。
氷のブレスを吐き、敵を凍てつかせる能力を持つ。
「飛竜たちの様子は問題なさそうね。
実にエレガントよ」
「これは、艦長!」
右手を心臓部に当て、ブリリア艦長に対して敬礼を示す。
紫色のツインテールの女性。
ファーのついた扇子で自分を仰いでいる。
「先ほど、ヴァーゼリア提督から連絡がありましたわ。
今後は航空戦力を中心に運用するとのことです。
正直、何を考えているのかは理解しがたいですけど、新体制に向けて訓練に励みなさい」
「は、了解しました」




