可能性
「次に、現在の兵站事情についてお話します」
食事を終え、空になった容器をテーブルの隅に置くと、ペルーダは内部事情について話し始める。
「現在陸軍は十万人の兵力を派兵する準備を進めております。
第一波として五千人の兵力を揚陸、そこから二万ずつで部隊を上陸させ占領を進めていきます」
ファイルを二人の前に広げる。
そこには軍が備蓄していた食料と放出した量が記されている。
「ご覧の通り、民間からの買い上げはありません。
確かに戦争の長期化によっては民間業者からの買い上げや配給制への移行などもありますが、現時点ではニ年分の食糧を確保しており、食糧事情がすぐに困窮することはありません」
「それは何より、だ。」
すっと立ち上がるケスタとギオ。
乗車すると、開発の進む金鉱山への視察に向かう。
「さて…」
応接室から執務室に向かうペルーダ。
筆を執って兵站をつかさどる内務省宛ての指示書をしたためていると、そこにチャーリーがやってくる。
「どうされましたか?」
「ヴァルディア戦に向けて、本格的に協議を進めたい」
用意された椅子に座り、机を挟んで対面する。
「外務省から急報が入った。
和平交渉は決裂した。
国家総力戦に向けて体制を整えたい」
「わかりました。
第一海軍を戦線に投入できるように、海軍省に要請します。
また連合艦隊の投入に関しても本格的に検討を進めてゆきます」
山のような巨龍さえも粉砕するほどの強力な兵装を持つ第一海軍と複数の主力艦隊を統合した連合艦隊。
三つの大陸を巻き込んだ戦争に向けて、より強大で大規模な戦力の投入を画策する。
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「そうですか」
エヴァルカの一室で、クロウは外務大臣のハルトマンから交渉の結論を聞く。
「陛下はヴァルディアとの友好を重んじ、貴国と徹底抗戦する道を選ばれました。
交渉の余地はありません」
「残念です、これ以上の血は流したくなかったのですが」
残念そうな表情で、クロウはネクタイを外す。
「では失礼いたします」
「おまちください」
起立したクロウに対し、ハルトマンは呼び止める。
「…これは、あくまで個人的な話です。
はっきり言って当国に貴国と事を構えるほどの力はありません。
しかし、和平を結べばヴァルディアに滅ぼされることとなります」
そういって、ザラードから渡された外交文書を見せる。
「なるほど…」
考え込むクロウ。
「結論から言いましょう。
当国に対するヴァルディアの圧力を解消できれば、陛下も考えを改める可能性があります」
「承知いたしました、では政府にお伝えします」




